クラフトビールブームから学ぶ | 高橋正典オフィシャルブログ「価値組日記」

クラフトビールブームから学ぶ

これからの時代を反映する記事を見た。

 

クラフトビールの出荷量がコロナ前に比較し

 

24%増と好調だという。

 

勿論、クラフトビールの人気が高まることが

 

これからの時代を反映しているという意味

 

ではない。

 

 

では、この事実が示すものは何か?

 

一つは、「Needs」と「Wants」の違い

 

である。

 

90年代、我々はよく商品やサービスを

 

発想する際に、上司から

 

「それ、ニーズあるの?」

 

というような質問をされた。

 

「ニーズがない商品は売れない」という

 

判断だが、それも昔の話だ。

 

「ニーズ」は事業者から見たフィルター

 

である。

 

「ニーズがあるか?」の問いに対するリサーチ

 

は多くの場合、誘導型で結論付けられる。

 

極論、一人でも存在すれば「ニーズはある」

 

とも言える。

 

それもそのサービスや商品が世の中に存在して

 

いないのであれば、一定の普及は見込まれる。

 

しかし、あらゆるものが出揃った時代だ。

 

これからはそれを「Wants」で測る。

 

簡単に言えば、顧客の目線から欲する需要で

 

ある。

 

クラフトビールは「Wants」から拡大した

 

商品だと言える。

 

 

そしてもう一つは、記事にもあるように

 

「醸造所数の増加にシェアが伴わない」

 

という問題。

 

人口減少時代においては市場規模に

 

限界がある。

 

それは、その中のパイを奪い合う戦の限界

 

とも言える。

 

クラフトビールの人気により、醸造所が

 

2019年の倍近くに増えたようだが、既存の

 

ビール市場を果たしてどこまで食えるのか?

 

過剰な設備投資が負債になるリスクをはらむ。

 

先の「Wants」もいずれ頭打ちの壁にぶち

 

当たる。

 

そこで、今度は次の「Wants」を探していか

 

なければならない。

 

 

2年ほど前に、このクラフトビールの市場拡大

 

についてブログで取り上げたが、その中で

 

米国におけるクラフトビール市場は

 

ビール市場全体の13%以上のシェアがあり

 

売上規模でみると更に多く、1/4以上の

 

シェアもあると書いた。

 
そういう点においては、市場の拡大余地が
 
まだあると見込んでの、醸造所の激増
 
なのかもしれないが、そこには日本固有
 
の健康志向もはだかる。
 
生産量とは違う「Wants」を探し出せる
 
企業しか生き残れないのではないだろうか?
 
そう懸念する。
 
 
ちなみに、この問題は我々の業界でも同じ
 
ことが言えるのだが・・・