【第四夜】

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ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


ぴっぴの上手な歌声に
おじちゃんまたまた上機嫌!
次の昼には、
おじちゃん自慢のすり餌をほんのちょっぴりくれました。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


あぁ本当におじちゃんすり餌は最高さ
想像以上に美味しいね!
おじちゃんやっぱり天才だ!


おじちゃん段々上機嫌!



そして午後には
北の泉に水浴びに行かせてくれた!
一人水浴びぴっぴには
段々面白くなってきた!
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ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
東のオレンジのお星さま!
ぴっぴは面白くなってきた!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
あと二つ朝に昼に眠ったならば
やっと都に帰れます
半分越した!半分過ぎた!
都だ!都だ!
ちゅちゅちゅのちゅん


そしてぴっぴはまた想う。
そしてまたまた歌います。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、なんだか淋しそう
おじちゃん、なんだか哀しそう
せめてぴっぴが居る間
おじちゃん癒してやりましょう


北の泉からおじちゃんの
宿屋に戻ったぴっぴには
おじちゃん煎り豆と
北の胡桃と
オホーツクのお魚がのご馳走が!!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、おじちゃん炒り豆最高さ!
おじちゃん、北の胡桃はなんてこっくり!
おじちゃん、お魚なんてプリプリなんだろね!
ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


おじちゃん、またまた上機嫌!


けれどもぴっぴの目に映る
おじちゃんなんだか淋しそう。。
おじちゃん、鬼ほどデカけれど
ぴっぴの赤子に見えてきた!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、どうして哀しいの?
おじちゃん、なにして淋しいの?
あぁこの小さな都鳥
おじちゃん癒してあげましょう



ぴっぴが歌った唄歌は

哀しい歌に
恋の唄
喜びの謡に
命の謳よ



ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


おじちゃん泪を流しながら

ぴっぴよ、
ぴっぴ!
お前は不思議な鳥だねぇ~!
お前の声はまるで北の海の波の如く
寄せては返し
お前の歌に瑠璃色の湖ほどに
吸い込まれる
おじちゃんはもうお前の歌が好きになってくるよ!


おじちゃんまたまた上機嫌!
おじちゃん力が湧いて来る!


おうおう!
ぴっぴよ、お前さんに
西の竪琴の音も
南の太鼓の音も聞かせる番だったね!



ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
あぁあぁ!おじちゃん、それなんだ!
ぴっぴは金の鳥籠も
銀の寝床も欲しくない!
ただただおじちゃんの
レコヲドを聴かせてもらいに
はるばる海越え来たんだよ。


おじちゃん聴かせたレコヲドで
夜啼きウグイスぴっぴは
舞います
おじちゃんの肩から肩
頭からお膝
左の手から右の手に!


おじちゃんレコヲドの太鼓の
なんちゅう
ドクドクドンドク
ヅクヅクヅン
おじちゃんレコヲドの竪琴の
なんちゅう
きゅんきゅんきゅんきゅきゅきゅん


ぴっぴはすっかり上機嫌!


あぁあぁおじちゃん
これなんだ!
ぴっぴの惚れたおじちゃんの
ぴっぴの愛する音なのさ!


想像以上のかっこよさに
ぴっぴも嘴、赤らめます。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、もっともっと
聴かせておくれ!


酔っ払いおじちゃん、言いました!

ぴっぴよ、今夜はこれまでだ!
続きは明日のお楽しみ!

【第三夜】

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ぴっぴの友達、東のお空のオレンジ色のお星さま
ぴっぴはどしたらいいでしょか?
お星さま、ただただきらりと煌めいた。



ぴっぴはぴっぴは
考えて、
せめて次の大きな風までは
おじちゃんの好きな歌を歌おう!!


ぴっぴの必死の歌声に
鬼のおじちゃん、上機嫌!
海を渡ったことなけれど、
風から教わった
東の歌に
西の唄
南の謡に
北の詠
必死になって謳います!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


ぴっぴの上手な歌声も
まだまだおじちゃんに届かない。


朝餉も昼餉もなけれども
ぴっぴは悲しく眠ります。

でもでもまたまた歌います。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、ほんとは大好きさ
ただただぴっぴは疲れた小鳥
堪忍してね許してね


ぴっぴの上手な歌声に、おじちゃん段々上機嫌。



その夜は満々丸丸満月で
ぴっぴに水浴び行かせてくれた。

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ぴっぴはまたまた歌いながらます。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん。
おじちゃんホントにありがとう!
ぴっぴは水浴び大好きよ!
おじちゃん、なんて優しいの!


ぴっぴはホッと一息で、
おじちゃんすり餌をいただきます


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
あぁ、おじちゃん!なんて美味しいことだこと!
おじちゃんホントに天才ね!
ぴっぴにすり餌をくれたヒト!
なんて情けが深いんだい?


けれども油断はなりません。
砂の一粒さえも残らず食べねば
またまた握り潰されちゃう!!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん
おじちゃん、すり餌は最高さ!


ぴっぴがあんまり上手に食べるので
ぴっぴがあんまり上手に歌うので
またまたおじちゃん上機嫌!


おうし、
今夜ぁ、おじちゃんの仲間に逢わしてやろうじゃないかいな!


おじちゃんの手の中の
都の夜啼きウグイスは
おじちゃん仲間に
羽根艶、
嘴、
褒められます!
お目目もお声も
誉められます!


おじちゃんまたまた上機嫌!


おうさ
こいつぁ都でも上物の
しかもウグイスの中でも珍しい
夜啼きのウグイスってもんだからな!
俺さまくらいしかぁ、
こいつは手に入れらんねぇのよ!


おじちゃん、段々とろけます。


それはぴっぴの歌声が
おじちゃんの悲しみも
淋しさも苦しみも
段々癒していくのだから。。


ぴっぴはこっそり囁きます。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


おじちゃん、ぴっぴの鳴き声は
実は魔法の笛なのさ
ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


おじちゃんのその苦しみは
きっときっと楽になる
だからどうぞお手手に乗せて
鳴かせておくれよ
ちゅちゅちゅのちゅん

【第二夜】


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さてさて今日は
おじちゃんの肩にのり
ぴっぴは最果てのおじちゃんの宿屋へと向かいます。


そこでぴっぴが見たものは
歌を忘れたカナリヤの、
淋しい淋しいおばさんでした。


おぉ、小さき夜啼きウグイスさん、
よく来たね!
お前さんも都からかい?
あたしも生まれは都だよ。
都の風が恋しいねぇ~。
最果ての地じゃあ雪も多くて飛べねぇんだ!



今夜は北のお国も
まん丸お月さんがお出迎え。
ぴっぴは水浴びに行って来ます。
けれどお月さんの雲行きもなんだか怪しいの。。


長らく行水したならば
おじちゃん怒ってご飯抜き。


おじちゃん、おじちゃん
金の鳥籠、どこですか?
銀の寝床はどこですか??


おじちゃん、ぴっぴに怖いお顔で言いました!
いいかい?お前はこの竹のカゴだよ!
黒鉄の籠は、おばさんカナリヤのものだからね!



ちゅんちゅんちゅんちゅん
騙された!
おじちゃん、それはあんまりよ!
金の鳥籠、銀の寝床を夢見て
おじちゃん信じて来たのに!
ちゅんちゅんちゅんちゅん
しくしくしく。


したらばおじちゃん、
形相変えて、忽ち鬼へと大変身!


おうおうぴっぴよ!
小娘よ!
俺を怒らせちゃあいけねえぜ!
今すぐこの雪空に放り出してもいいんだぜ!


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん。
しくしくしくしくしくしく
ちゅちゅちゅのちゅん。


ぴっぴは都恋しさに啼きます。


今すぐ都に帰りたい!


けれど風切り羽を切ったぴっぴは
次の大きな風に乗らなきゃ帰れません。


ちゅんちゅんちゅんちゅん
ちゅちゅちゅのちゅん


元盗賊の親方だったおじちゃんは
ぴっぴに餌もくれません。


ぴっぴの小さなこの命
今はおじちゃんの掌中に。。


ぴっぴは必死で命乞い!

おじちゃん、おじちゃん、
ぴっぴが悪うございました!
ぴっぴが我儘でした!


金の鳥籠も要らないの!
銀の寝床も入りません!

おじちゃん、ホントに男前!

どうか次の風が来るまで
ここに置いてくだしゃんせ!


怒ったおじちゃん言いました!
高そうな鳥だと思ったが
そいつぁ俺の勘違い!
こんな鳴けない鳥だとは
ここに置いてもおけねぇよ!

だが俺も
情けのちっとはある鬼だ、
カナリヤおばさんの邪魔せずに
大人しくしてるんなら
置いてやる!
ただし、俺を今度怒らせたら。。。
と大きな大鉈(おおなた)見せながら
お前の首なぞ、しゅっぽーーんだぞっっ!!


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