小説「おばけのおうち」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

私が今まで住んだことのあるお化け屋敷のおはなしです。私はどうもそういうものに縁がある。

雨女とか晴れ男とかさまざまなカテゴリがあるように、私はなんだか

お化け屋敷女

に当てはまりそうなんです。こんないい方をするとおうちが良くないのか私がお化けなんだか分からなくなりますね。
ともかく私が住んだことのある三つのお化け屋敷のおはなしです。

先ずは結婚してすぐに越したアパートの話です。
二階建てのアパートの階段が十四段で上がりきっていたら、そこはお化け屋敷だと聴いたことがあったんだけど、
そこは正に十四段目が二階になるアパートだった。普通アパートの階段は十三段目で二階に着くようになっているそうだ。

私たちは一回の一番端に住んでいたんだけど、二階の部屋には誰も居ない

居ないはずだった。
でも毎夜テレビの声や人がぎしぎし歩き回る緒とが聞こえた。古いアパートだった。

二つ目は大学生の時に入っていた寮のおはなしです。
その寮では昔焼身自殺を遂げた人がいた。ガソリンスタンから灯油を買ってきて自分で被って火を点けたのだ。

その人の遣っていた部屋は改築されて釘付けにされて、誰も出入り出来ないようになっていたんだけど、私も何度か見たことがある。
寮の玄関の出入札を、外出するときは青にして帰ってきたら赤にするんだけど、

時々寮生全員が寮内に入るときに、
誰のものでもない札が青になって玄関で揺れていた。

最後は私が幼い頃過ごした家で、これはもう間違いなくお化け屋敷だった。
この家に何も出なかったら日本全国どこにもおばけは出ない、
そんな代物だった。
窓は割れ、障子は破け、床は抜け、梁は落ちてきていた。
そんな家で私は、高校生までを過ごした。
一緒に住んでいたのは影のように実感の沸かない人達で、私はそれが父なのか叔父なのな良く分かっていなかった。

つまり私はおばけに育てられたのである。
そんな私が、自ずからお化け屋敷を引き寄せても仕方無い。
所で今新しい家を建てる話がすすんでいるんだけど、

果たして?