最近、我が家の乳児(生後2ヶ月未満)は、
自分を取り巻く1.6-1.8m級の巨人たちをカテゴライズして把握するようになった。
則ち、「ママ」と「ママじゃないやつ」である。

そして機嫌が悪くなると、後者の接近を全力で拒否する。
あまりに泣き喚くため、孫を目に入れても痛くないくらい可愛がる義母も
抱っこし続けるのを諦めて「ママ」に引き渡してくれるようになった。
(以前はなかなか返してもらえないような微妙な緊張感があったことは否めない)


正直、母親として嬉しくないといったら嘘になる。超絶可愛い。

そして驚きもある。何で今更、「ママ」以外がダメだというのか。
だって私は毎日5時間、日中混血児として産まれた娘の中国語のレッスンと親孝行を兼ねて
義母(上海出身)に彼女を預けていたのだから、
娘が「ママ」以外に抱っこされる機会は存分にあったはずだった。
更に言えば、母乳とミルク混合で育てているため、
母乳=「ママ」から離れても生命の危険に曝されることがない認識もあるはずで。
全くもって、子どもというのは不思議な生き物だなぁ。


可哀想なのは「ママじゃないやつ」にカテゴライズされた「パパ」。
抱っこしても泣かれる、風呂に入れても泣かれる、
寝かしつけをお願いしたときなんぞは30分ノンストップで泣かれていた。
私が風呂から上がって髪を乾かす時間を貰い、
慌てて駆けつけて娘を引き取った時の彼の疲れきった表情といったらなかった。
(ちなみに娘は私に抱かれた瞬間ピタリと泣き止んだ。)

せめて両親に抱かれる時は泣かないでいてほしい…。
仮にだんなくんがくじけてしまったら彼のケアもしなくてはならないので、
この事態は微笑ましくも私にとってはある意味深刻である。



そう思っていた矢先、タイミングよく横浜市某区の保健師さんが我が家へやってきたので
訊いてみた。


この乳児、ママ抱っこ抱っこ星人になっちゃったんですけど、
これはどうにかならないんでしょうか。


保健師さんは
「そりゃ、ママは特別ですから!」と満面の笑みで答えてくれた。

「でも、子どもは適応力が高いから、
 最初は大変でもそのうち慣れてくれるし、
 ママ以外の人も、そのうち『その人なりのあやし方』を身につけますよ。
 保育園も、子どもはちゃんと適応しますから心配ありません」


…ううむ、プロだなぁ。
母親の嬉しい気持ちも、聞き手がアレンジする「のりしろ」も残っている柔軟な回答。
そしてちゃんと子どもの力を信じるよう暗に伝えてる。



つまりは、「ママじゃないやつ」の皆様は
「とにかく今は耐えて、あれこれあやし方を探すしか無い」
「そのうち子どもは慣れてくれる!」
ということに尽きるらしい。
私も、泣き喚き始めたらすぐに反応して引き取ることを少し控えよう…。


というわけで、頑張れだんなくん。頑張れ世の中の「ママじゃないやつ」の皆様。
今その瞬間は辛くても、いつか報われる日が来るらしいです。
(そういえば、この子が生まれたばかりの頃は私すら泣かれていて、
 一人であれこれ必死に試したからこそ今があるんだよなぁ。)