ラマダーンど真ん中の6月19日午後7時、エルサレムの旧市街を歩く。
8時前には断食が明けるから、人々がソワソワしているのが分かる。

お菓子の包みを大切そうに持って、大股で歩いていく少年。
新しい服でめかしこんではしゃいでいる、小さな可愛い女の子たち。
パンや総菜の袋を沢山下げて、楽しそうに歩く家族連れ。
お店のシャッターが次々と閉まった道は、空気が途端に澄んだように感じられて、
ラジオでクルアーンを読む声が、何だかいつもより神聖に聞こえる気がする。

キラキラした電飾のついたダマスカス門。
その下で、手持ち無沙汰に駄弁っている11人のイスラエル兵士たち。
彼らの姿を除けば、あたたかいラマダーンなのになぁ。

7:50を過ぎた頃、頭の上で花火が鳴ったような音が響く。どぉん。
気がつくと、通りから人の姿が消えている。
歩いているのは私とネコだけ。



今頃みんな、家でごちそうを囲んでいるんだろうなぁ。
親戚同士で招き合い、友人同士で振る舞って、
年に一度の辛くて楽しい時間を、共有しているんだろうな。

私もその中に、入っていくのだろうか。
まだここに住んでいる自分が信じられない、到着3日目の夜です。
ラマダーン・カリーム。