こんにちは、並木@エルサレムのパレスチナ側です。
さて、昨日は終業後、イスラエル側へ「プライド・パレード」を観に行きました。
「観に行った」のであり「参加した」のではない理由については、
後述したいと思います。


イスラエルでは毎年プライド・パレードがありますが、
テルアビブとエルサレムで実施されます。
テルアビブの方が規模が大きく、今年は6/2に実施。
参加者はメディアによると20万人。
7/21に行われたエルサレムのパレードは、参加者2.5万人だそうでした。
ここでの実施は15年目ですが、過去最大とのことで、
同行させてもらったイスラエル在住歴7年のにいちゃんS氏は
「こんなに大きくなったんだなぁ…」と感慨深げ。

ただこのエルサレムのパレードについては、
軍と警察により厳戒態勢が敷かれていました。


開始前、封鎖される道路。


封鎖。


ここがパレードが始まる道路。


それもそのはず。エルサレムのパレードでは、殺傷事件が度々起きています。
去年は反対する超正統派の男が入り込み、16歳の少女を殺害、6人が負傷しました。
犯人は以前も事件を起こした男で、釈放後の犯行でした。現在、終身刑
今年も何か事件を企んでいる…という疑いがかかり、兄弟が逮捕され、
この日は彼の家族がエルサレムから追放されていたらしいです。



反対派は、道の反対側でデモをしていました。
おそらく多くがユダヤ教の信仰が深めな人々だと思いますが、
そうでないヤンキー系もちらほら。
逆に、パレード側にも宗教派がいました。


「エルサレムはソドムではない」と書かれたプラカード等。


「イェルシャライム・ヒー・ロー・ソドーム」……。
この「ソドム」という単語を見て、
信仰が無いうえ勉強も浅い私はピンと来なかったのですが、
友人に聞いたところ、「ソドムとゴモラ」のソドムなのでした。
あああ…そういう話があった……。そうでした……。(恥)
風紀が乱れに乱れ、神の罰が下ったといわれる街なのでした。

世俗的なテルアビブに比べ、数々の聖地を抱える宗教的なエルサレムは、
こういったアンチも根強いのだと思われます。

近くで見ていたイスラエル人に少しだけ話を聞いたところ、
「この国は民主主義だけれど、必ず宗教が問題になるの」
とコメントしてくれました。
「複雑な国だよね〜。民主主義だとは思うんだけれど、
 この国、4分の1はアラブ人でしょ?」と返すと、
うん、と真面目な顔でうなずく男女2人組。
深入りはしませんでしたが、フツーの一般市民に見える彼らが
それぞれどんな風に物事を考えているのか、気になる並木でした。



なお、イスラエル政府内はプライド・パレードを
(どちらかといえば)容認し、推進する立場の発言が多く見られます。
宗教派にも基盤を持つエルサレム市長は立場の明確化を避けていますが、
首相なんかは大絶賛。
去年の事件の影響もありますが、ビデオメッセージまで寄せる支持ぶりです。

一方で、この政府の支持が「ピンク・ウォッシュ」なのではないか、
という指摘があります。
つまり、LGBTQの権利を擁護していることをアピールして、
他の人々の人権を守っていないことを隠してしまおう、というものです。
(特にパレスチナ人の人権侵害、イスラエル国内パレスチナ人の苦しむ格差等。)

そういった意味合いもあり、私は「参加」は避けていましたが、
性的マイノリティについても「政治」のツール化されてしまうイスラエルの状況が
何だか悲しいな、不本意だな、と思った次第でした。
一番不本意なのは、ほんとうに人権のことを考える当事者たちでしょうね。


別途、職場のブログのほうで、後日もうすこしまとめたいと思います。
今日はこれにて!