「パレスチナには3種類の外国人がいる。
 エイド・ワーカーか、外交官か、ジャーナリストだ」

 

誰が言ったのか知りませんが、言い得て妙なこの言葉。
私がいま住んでいるシェアハウスが正にそうで、

NGOスタッフの日本人(のんびり系)、
領事館勤めのフランス人(頭脳明晰系)、
新しく来たジャーナリストのスペイン人(活発系)、
の女性3人で共同生活をしています。しかも全員がアラビストです。

 

「ねえ、豚肉買えるお店知ってる?」「ちょっと待って、その話は聞き逃せない」
「第二次インティファーダから今までで3,000人が旧市街を出ていて…」
「それ、いただき! 記事にできそう。ソースはどこ?」
「イスラム国ってパレスチナで受けてるの?」「え、真反対だよ!」
「フランスの和平案、ぶっちゃけどう?」「うーん…そうねぇ…」
「だんなさん、寂しがらないの?」
「それぞれの夫婦に適切な距離があってもいいでしょ?笑 彼氏はどうなの?」

 

恋バナから時事ネタまで話題には事欠かず、日々が面白いです。
いいルームメイトに恵まれました。本当に素敵な人たちなのです。

 

* * *

 

西岸に暮らす学生だった10年前に比べると、
私はずいぶんと「話題を提供できる」人間になったと思います。
以前もドイツ・スペイン・フランス・日本・パレスチナの5人で暮らしていましたが、
こんなに自分から積極的に喋れた記憶がありません。

 

それは別に語学力が伸びたのではなく、
(私はTOEICの点だけは良いものの、未だに英語圏へ留学できていない)
「伝えたいことが増えた」「話したいことが増えた」
ということなんだと思います。

 

誰もが行ける訳ではないガザのこと、
勉強して歩き回って知ったエルサレムのこと、
以前の姿からどんどん変わっていく西岸のこと。
子育て、パートナーのうつ病、そして日本のいま。NGOの視点。

 

伝えたいことが増えました。
そして、彼らから知りたいことも。
垣根が低くなり、言語は案外、障壁ではなくなりました。
好奇心。これさえあれば、私は私を伸ばしていけるように思います。

 

ここで会う日本人学生さんや旅行者さんたちが、
「英語力がまだまだで…」とこぼすのをよく聞きます。
だいじょうぶ。まだまだこれからです。
だから、自分が安心できる、そして少し背伸びできる環境に、
身体と心を晒してあげてください。私も、これからも頑張ります。

 

私は、自分の「次の10年」が楽しみです。
だって、10代の頃よりも20代、
20代の頃よりも30代の今の方が、
伝えたい、やりたいことが増えて、明確になっているから。
年を取るって、悪くない。生きていて楽しいです、皆のおかげで。