DUMBLEアンプ エピソード5 クローンの攻撃(前篇) | おんがく・えとせとら

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 著名ヴィンテージ・ギターと同様、希少種で入手の難しいDUMBLEアンプにはたくさんのコピーモデル、所謂「DUMBLEクローン」があります。
「幻の一品を自分の手で再現してみたい」ということで、アンプ製作を志す人には一度はチャレンジしたくなる目標のようでもあります。

 さて、海外のサイトに「Who makes the Best Dumble Clone? 」というのがあります。「一番良いDUMBLEクローンアンプを作ってるのは誰だ?」
 ここでノミネートされているものをまずチェックしてみましょう。

1. Two-Rock  2. Bludotone 
3. Fuchs         4. Ceriatone 
5. Glasswerks 6. Carol-Ann 
7. Fargen        8. Other Maker

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K&M/TWO ROCK


tworock


k&m J.Mloganoski & B.Krinard


 現在、最も人気の高いクローンアンプのようです。
 ビル・クリナード(Bill Krinard)とジョー・ムロガノスキ(Joe Mloganoski)の2人が1999年、カリフォルニア・TwoRockにて創設。K&Mは創設者ふたりのイニシャル。2010年にはプレミア・ビルダーズ・ギルドという会社の傘下に入ったようです。事業拡大のために大手から資金援助をもらった、というところでしょうか。話題のFanoギターズも同グループの一員です。

 ジョン・メイヤー(John Mayer)の使用で有名ですが、腕利きのプロが使っていることが何にもましてのPR。
 ただし高価ですね。最高機種のCustom Reverb Signature(写真参照)は約90万円! 外観は、ダンブルの特長でもある3つのトーンコントロール用トグルスイッチがなく、若干異なります。他にいろいろなモデルがあるようですが、出力の違い以外にはその差がよう分からん。


BLUDOTONE AMP WORKS


bludo


brandon B.Montgomery


 最近のラリー・カールトン愛用アンプとしてお馴染み。今年2月rockschoolという音楽講座サイトに彼のインタビュー記事が掲載されました。

「最近は、ブルードトーン・アンプを使っている。ダンブルは3年ほど前から使わなくなった。私のダンブルはだんだん消耗してきたのでメンテしてもらいたいのだが、ダンブル氏は健康状態に問題があり、だんだん連絡を取るのが難しくなっていた。そんな時、小さなカスタム・アンプメーカーだが、ダンブルの正確なコピーを作っているブルードトーンのブランドン・モンゴメリー(Brandon Montgomery)に出会った。私のダンブルを提供したら、そっくりなトーンの出るセットを作ってきてくれた…今ではそれにすごく満足している」ということです。

 上の写真はLカールトンも使用している「ブルード・ドライブ」、その上に乗っているのは、ダンブルのエフェクター・ループ用ドライバー「ダンブルレイター(Dumblelator)」のコピー「ルーパレイター(Loop A Lator)」。
 気になるお値段。Steel String Singerのコピーモデル「ハイ・プレインズ・ドリフター」がかつて68万円で販売されていました。やはり高い。受注生産で約2年待ちだとか。
 

FUCHS AUDIO TECHNOLOGY


fuchs

MMmod


ANDY A.Fuchs


 日本人には難読な名前ですが、アンディ・フュークス氏(Andy Fuchs)が2000年頃から製作するアンプ。
 主力のOVERDRIVE SUPREME(ODS;写真参照)のほか、Steel String Singerのコピー・Clean Machine(現在は廃版?)なども。ダンブル本家はポイント・トゥ・ポイント配線ですが、フュークスはプリント基板を使用しているため、若干軽量な仕上がりになっているようです。また、本家製品はリバーブがついてませんが、こちらは良質のリバーブを内蔵しており非常に使い勝手がよろしい。
 同社は「適切なアンプを用意いただければダンブル風にモディファイします」というのがウリでもあります。適用品はフェンダー、ミュージックマン(写真参照)、トレイナーの指定の真空管アンプ。(詳細はこちらを参照ください。)
 製品は日本国内でも結構流通しており、価格はODSの30Wモデルが2855ドル(約23万円)からと、上記2メーカーよりも価格はやや低めです。オークションでは50Wクラスのモディファイ中古で時々10数万円の出物があるようです。



CeriaTone

ceriatone

NIK N.S.Azam


 マレーシアのニック・アザム氏(Nik Azam)が2003年頃から製作。一部国内楽器店でも輸入販売されており、つくりもしっかりしてて価格的にも最も入手しやすいコピーモデルだと思います。新品が20数万円、中古ならOvertone Specialで12万円くらいから。個人輸入でキット購入も可能。
 主なダンブル・コピーモデルは以下のとおり。
・Overtone Special…80年代Overdrive Specialのコピー
・Overtone Special FM(Ford Mustang)…Robben Fordカスタマイズのコピー
・Overtone HRM(His Royal Majesty)…Hot Rubber Monkyカスタマイズのコピー
・SSS…Steel String Singerのコピー
・C-lator…エフェクト・ループ用ドライバーDumblelatorのコピー

 同社ラインアップにはダンブル以外の名器のコピーモデルもあります。こちらもネーミングにひと癖あり! Matchle$$(Matchless)、Hey What(Hiwatt)、Plexi(Marshall)、TW clone(Train Wreck)など。



GLASWERKS AMPLIFICATION

glaswerks


glaswerks


GARY G.Johnson


 ゲイリー・ジョンソン氏(Gary Johnson)が、Boogieと同じアリゾナ州メサにて家族経営でアンプを製作・販売。
 上は主力のOverdrive Deluxeのフロント・コントロール・パネル。左から入力ジャック(1個だけ)、ゲイン、トグルスイッチ×4(ブライト、ミッド(ブースト)、EQ1、EQ2)、トレブル、ミッド、バス、クリーン・マスター、リード・ドライブ、リード・マスター、プレゼンス。ダンブルの仕様を改良してありクリーンとオーバードライブ個々にマスターボリュームがあります。上位機種のSuper Overdribe llでは、オーパードライブが2チャンネル設定できるようになっている。
 価格は、主力のOverdrive Deluxe50Wが2750ドル(約22万円)、小型のZingaroコンボ25Wが1950ドル(約16万円)。国内市場には滅多に出回らないようです。




CAROL-ANN AMPLIFIERS

carol-ann


alan A.Phillips


 アラン・フィリップス氏(Alan Philips)がニューハンプシャーで製造するアンプ。地名度は低いものの、Fractal Audio SystemsのAxe-Fxという強力なサウンド
・プロセッサーにアンプ・モデルとして収録されたり、ジョー・ボナマッサ(Joe Bonamassa)のシグナチャー・アンプを出したりと、存在感を増しつつあるようです。
 が、如何せん高価です。写真のOD-2が約55万円。パワー管はフェンダー系6L6が主流ですが、EL34仕様のものもあるようです。本家ダンブルも90年代以降は、マーシャル風の味付けを好むプレイヤーが増えたことに対応してEL34仕様のアンプも作っていますね。


FARGEN


fergen

BEN B.Fargen


 カリフォルニア・サクラメント在住のベンジャミン・ファージェン氏(Benjamin Fergen)が一人で手掛けているアンプ。ホームページを見ると、現在、通常ラインはマーシャル、フェンダー・ブラックフェイス系が主で、ダンブル・クローンは受注生産のようです。

 上記はカスタム・オーダーのV.O.S(Velvet Overdrive Special)。
12インチ×1スピーカーキャビネットとセットで国内販売価格約70万円。やはり高い!