Monkey Mind/King Crimson | おんがく・えとせとら

おんがく・えとせとら

音楽のこと,楽器のこと,いろいろ。

 

 8月末に発売されたキング・クリムゾンの新譜ライブ盤は「Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) 」という、また、プログレらしい小難しいタイトルでした。

 同盤に入ってた日本語解説では「心猿の抑制を解き放つ抜本的行為」とありますが、しがみつく心猿を振り落とすような激しい行動、というようなことでしょうか。しかし、仏教用語の「意馬心猿」にある後者の言葉はMonkey Mindと同じと考えてよいのか?

 人間の煩悩や情欲、いわゆるスケベ心はコントロールしきれない馬や猿のよう、ということ(馬や猿にとってはいい迷惑。牛はどうか? 原子心母—これは意味違う)ですが、これは仏教用語・ヨガ用語としても世界に広く知られておるようで、同一と考えてよさそうです。そういえば昔読んだ石川達三の「心猿」も同じテーマを扱ってましたね。不倫の話。

 

 さて、本作は昨年12月19日、私も見に行った高松公演がメインになっているということで話題になってましたが、青いカーテンを背景にしたステージレイアウトはどの会場も同じらしく、作品中にはことさらライブin高松をアピールする記載はありません。映像の一番最後に観客が初めて登場しますが、私は映ってませんでした、残念。

 高松公演の座席は前から5列目のやや左で非常に良い位置でしたが、やはり不覚にも途中寝てしまいました。ひょっとしたら新曲の「心猿(Radical Action〜)」の時だったかしれない。聴き返してみるとイントロは監獄ロックみたいですね。うーむ、馴染まん。

 あ、「RED」演奏時にステージ両側からスタッフがいきなり数人出てきて、前方左のお客さんを連行していったのも目撃しました。結構手際が良くて、シルクドソレイユの演出のように余興として仕込んであるのではないか、てな感じでした。

 サンポート高松ホールはMax1500席、地方でのプログレ公演としては程よい規模だったかもしれません。随分昔、トレヴァー・ラヴィン時代のYesが同じく香川にやって来た時は県民ホール(2000席)が会場で、こちらは結構スカスカだったのを思い出しました。

 

 

 70-80年代にはプログレの難解・哲学的なところに自己陶酔してましたが、さすがに30年以上を経た今は昔の話、という感じです。クリムゾンに関しては個人的には「ディシプリン(Discipline)」時の衝撃がすごく印象的で、それ以降のクリムゾンは現在に至るまでオマケの時代のような感じがしてます。

 ダブルトリオ、トリプルドラムなど実験的な試みは頑張ってるね!と評価したいと思いますが、あの時を超える興奮がない。エイドリアン・ブリュー(Adrian Belew)のギターとトニー・レヴィン(Tony Levin)のスティックという飛び道具と、陽気なアメリカ人vs陰気なイギリス人の融合というシュールなパフォーマンスはまさに突然変異だったんでしょうが、1981年、浅草国際劇場に行かなかったことを未だに後悔してます。

 

DGM提供のライブ映像 サックスが入ると随分雰囲気が変わります