塩山の辺りはほぼ斜面で、クリスタルラインに向かうというコトは山を登って行くコトになります。

 

 

クリスタルラインは山梨市牧丘町窪平から北杜市高根町清里まで、標高1,000m以上の森林地帯を抜ける総延長68.1kmのいわゆる林道です。

 

塩山からクリスタルラインに向かうには、国道219号を登り乙女湖を目指すルートと、206号を鼓川沿いに焼山峠に登る大きく二つのルートがあります。

私は若干距離が短いので、山梨市牧丘町の鼓川沿いの高台にある鼓川温泉を通り、標高1700mの焼山峠を目指しました。

 

 

恵林寺からも登りという事もあり道を間違えると面倒ですから206号に入る目印は必要です。川を渡る橋の手前のガソリンスタンドを右(実はここからが206号)、馬刺し屋?のある交差点を左に曲がると206号という事をザックリと頭に入れて走り出します。

 

 

上の写真がその馬刺し屋です。山梨はそれなりに馬刺しが有名で子どもの頃から食べていましたから、馬刺しをつまみながらビールなんて考えましたがここは先を急がねば!間違ってしまうとここで旅が終わってしまいかねません。

 

 

 

国道の他に平行する脇道があればもちろんそちらを優先ですね。多少道の悪いところがあったとしても国道と比べて昔と変わらない風景が多く残る脇道の方が自転車での旅にはしっくりくるからです。

 

 

 

実は今年は雨などもあって桜をゆっくりと観に行けなかったのが心残りでした。もう5月だって言うのにこれが咲いているんですね桜!それに菜の花や桃の花まで。標高が高くなると気温も下がるからなんでしょうね、登れば登るほどに桜が見頃になっていく、これは最高に嬉しかったです!

 

 

 

国道は山の側面を山肌を縫うように走り、田畑は鼓川に添って谷になったところに作られてます。家は国道寄りかそれよりも高いところに建てられているのがほとんどです。この辺りは谷間が緩やかに広がっていて心のふるさと的な眺めです。昔の人は自然の地形と上手に寄り添って生活していたんですね。

 

 

坂を登るほどに風は涼しく心地よく、葉と葉のすれあう音と川の流れる音が耳によく届きます。もうだいぶ登ってきましたからそろそろ一休みしてコーヒーを飲む事にしました。

 

 

妙見尊という車道のすぐ脇の小さな神社が桜吹雪で、適度に日陰にもなっていましたから腰をかけさせてもらって湯を沸かします。

 

 

コーヒーはインスタントですし大して美味くもないはずなんですがこういう時は悪くないんですよね。車もほとんど通りませんから車道の脇とは思えないほど静かで、いつもガチャガチャしている私の脳みそが動くのをやめてるみたいに落ち着いていました。普段の生活も、仕事の事も考えない、優しく流れる風が頭の中の余計なものを全て運んで行ってしまったみたいです。

 


もっとゆっくりしていたかったんですが時間も押していますので程ほどに、右手に鼓川温泉を見ながらペダルを回します。この鼓川温泉は山梨市市営の温泉で風景を楽しみながらゆっくりと露天風呂につかることができるそうなんです。

地図だと結構近く思えたのですが流石に登りは標高が高くなるほどにキツくなっていきました(涙)

 

 

 

 

坂はきつくても、初めて目にする景色に心が奪われます。

徒歩では距離が稼げず、車は制約も多くスピードが速すぎる。最小限の荷物を積んで、時速20km/hくらいで走るツーリングバイクは何とも丁度いいスピードなんです。

 

 

 

道の色々な場所に小さなお地蔵様や仁王様がいらっしゃいます。立ち止まって手を合わせ旅の無事を祈ります。

 

 

 

まさか登りで10%の斜度標識に出会うとは思いませんでした。スピードも一桁代、これはもう自分との戦いです!とか書きたいところですが度々自転車から降りては脚を休めます。とてもじゃありません、心はポキポキと軽い音を立てながら折れ続けました(泣)

 

 

 

写真が小さいので分かりづらいと思いますが、最終的に斜度表示は14% !! そしてその後に現れたのはいつ終わるとも知れない九十九折の坂道でした(泣)

 

 

13時、遅めの昼食を頂き焼山峠に着いたのは14時近くだったと思います。それにしても道があっても標高1,700mは山の中です。晴れていても薄気味が悪いと言うか、恐ろしさを覚えました。街灯もありませんから日が落ちれば月明かりでもない限り一面真っ暗闇でしょうし、昔の人が山を神格化したのもわかるような気がします

 

 

12時には焼山峠に到着予定でしたからこの時点で2時間の時間オーバーです。ここで大人しく来た道を引き返していたら『ちょっと辛かったけどホント!最高のツーリングだったね!えへへっ!』とかって綺麗に締めくくれたんですけど . . . 。

 

怖い思い出は次第に頭の中から抜けていくようです。最終の次回はできるだけサラッと書きたいと思います。