何者でも何物でもない。



鋸歯のある器の象形という
字の本義をすてて
ただただ一人称の代名詞に
用いられる。

だからこその
「我」なんだ。

揺れながらも
バランスを取りながら
わたしは
我が道を歩く。

「我」





↑ 見るからに

我(が)が在って

なかなかのシャープさのある

この字体が好きだ。


概ね

人って自分のことを

いい人に見られたいと思う気持ちが

はたらいているものだ。

多かれ少なかれ。

わたしの場合

“打たれ弱さ”を

カバーするみたいな感覚でも

あったりする。


個性という括りを

すこしだけ超えた

我の強さをみせる。


それは

わたしにとっては

作品で表現することで。


書く文字に

その人が滲みでる。

その時も滲みでる。


いたわるような

“自分を大切にする”ではなく

前に出す強さを含んだ

個を強調する意味の

「我」を尊重しよう。

 
もっと。もっと。



『感じる書』アーティスト 石川呼穹