前回、ピカソプロジェクトのエデュケーターの仕事は「こどものなかから、考えや表現を導き出すこと」とお話しさせていただいて、
そのために【ほめ】【導き】【環境】という3つがポイントになってきますよというのが前回のお話しでした。
今日はその中の一つ【ほめ】について、少しお話しさせていただきたいなと思います。
よく、私たち造形イベントをさせていただいていると、
大人の方がこどもに対して「上手上手!すごいすごーい!」といっていらっしゃる場面に出くわします。
その方は、まっっったく悪意はなくて、全然悪意はなくて、むしろこどもをほめたいと思ってその言葉を使っていらっしゃるんですけれども、実はそれって、ほめじゃないんですね。
『こどもをほめて育てなさい』ってよく言われていて、
「確かにそうだそうだ」と、そのことに異論を唱える方はそんなにいらっしゃらなくて、多くの方が、それはそうだとおっしゃると思います。
でもじゃあ、どうやってほめたらいいの?というのはあまり浸透していなくて、今の「すごい」とか「じょうず」とかが、ほめるということだと勘違いしている大人の方が非常に多くいらっしゃるなぁと思います。
私が数年前ですね、このほめ方について、保護者の方に講演としてお話しさせていただく機会がありまして「すごいすごい上手上手というのはおだてているだけ。ほめるというのは、こどもたちのしたことをそのまま言うことです」というお話をさせていただいたら、終わってから、ひとりのお母さんがこんなお話をしてくださいました。
そのままは「上手」と「すごい」しかほめ言葉をしらなかった、とおっしゃったんですね。
こどもが描いたお絵かきとか持ってきてくれて、作ったブロックとか持ってきてくれるんだけど、「すごい」「上手」しか言葉をしらなかったから、
全然すごいとも思わないし、全然上手だと思わないものに対しても「すごい」「上手」って言ってたんですって。
その時に、彼女は「いや、本当はそう思ってないけどね」って、心の中で自分に対して、NGを出していたみたいなんですね。
でも、その講座でほめ方をお伝えしたら、
「あぁ、うそをつかなくていいんですね。ほめるって、私今までこどもをほめなくちゃと思ってたくさんうそをついていました。でも、本当にほめるって、全然うそをつかなくていいんですね。なんか気楽になりました。」
そんなお話をしてくださいました。
なので、ちょっとみなさん、【ほめる】っていうことに対して、「すごい」「上手」というのを、いったん使わないように意識してみてください。
今日もご視聴ありがとうございました。