今月で既に7回目を迎えるクッキングリッシュの会。昨日がその第7回目の会実施日でした。



今月の題材は、英最西端の州・コーンウォールの名物料理・コーニッシュパスティーと、イギリスの伝統的なスイートの1つトライフル。どちらも私が大の得意とする料理です。



しかしその得意な料理には、破れ易いショートクラストペイストリー作りと、火加減調節が難しい調理室のオーブンでスポンジを焼くという難関があり、果たして参加者のみなさんにご披露できるようなものが出来上がるかどうか不安と緊張で一杯でした。



いつもは時間の節約の為に一部の作業は自宅で準備し持参するのですが、今回は私的に“これぞイギリスの伝統料理!”と胸を張ってご紹介したいもの2品だったので、どちらも1からその作業をご紹介することにしました。



その為、限られた時間内にすべてをこなし、いつも通り十分な試食会の時間が持てるか、これも不安の種でした。いつもは準備したことのないタイムテーブルを、今回に限って作成し持参しました。



しかし、参加者の皆さんがいつもながら手際よく作業して下さったので、私の予想したタイムスケールより大幅に早まって料理が完成し、いつも通り楽しい試食会の時間をたっぷり持つことができました。参加者のみなさん、今月もご協力ありがとうございました!



今回の会でご紹介したお料理のレシピは、明日以降にブログで詳しくご紹介するとし、ここでは昨日の会の模様だけを順を追ってご紹介したいと思います。



まずはトライフルのスポンジ作り。私にとっての第1の難関から会はスタートしました。



トライフルのスポンジは、材料/粉、卵、砂糖の割合等ロールケーキとほぼ同じですが、違いが1つあります。小麦粉にコーンフラワーを混ぜて焼くのです。そうすることでしっとりした、日本のカステラのようなスポンジが焼けます。


クッキングリッシュの会


スポンジをオーブンに入れ焼き上がるのを待っている間、3つのグループに分かれて次の準備に取り掛かりました。その内の1グループはコーニッシュパスティーの詰め物作りの下準備を。



詰め物には牛肉、たまねぎ、じゃがいも、にんにく、パセリなどを加えます。毎回材料は殆ど自宅で切って準備して行きますが、じゃがいもだけは変色を避けるため、毎回当日にみなさんに切ってもらっています。今回は5つのじゃがいもの皮むきとみじん切り。ご苦労様でした!


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そしてもう1つのグループはトライフルに入れるゼリーを作り、残りのグループは同じくトライフルに入れるカスタードクリームを作りました。


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このカスタードが今回の失敗の1つ!木べらの代わりに泡立て器をつかったものだからなかなか固まらず、おまけに次第に卵が分離しだし、とんでもないことに...(泣)



カスタードの味は最高に美味しかったのですが、如何せん、見かけがよろしくなかった!(苦笑)



そうこうしていると、第1の難関と心配していたスポンジが、この通り綺麗に焼きあがりました!ホッ。竹串があるはずの調理室にそれが見当たらず、結局、ナイフを刺して焼き加減を調べました。真ん中の穴がそれ!


クッキングリッシュの会

カスタード作りの終わったグループは、粗熱の取れたスポンジでジャムサンド作り。スポンジを6等分し、さらに各1/6のスポンジを横2つに割ってイチゴジャムを塗りジャムサンドにします。

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ジャムサンドになったスポンジをさらに6等分し、計36個のミニスポンジジャムサンドを作りました。

クッキングリッシュの会

1グループがジャムサンドを作っている間、残りの2つのグループはコーニッシュパスティーの生地作り。

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ショートクラストと呼ぶこの生地は、バターの温度に気をつけないと必ず失敗します。溶けたバターの脂分で粉が湿ると水を含まなくなり、そうなると水に反応するグルテンが十分に発生せず、ぽろぽろに壊れる生地になってしまうのです。



昨日の会の第2の難関、いや、これさえうまく行けば万事成功する、難関中の難関がこのパイ生地作り!



しかし皆さんさすがお料理が好きな方ばかり。手際よくバターを粉に擦り込んで、十分水分を含んだ生地を練って下さいました。ホイルに包んで冷蔵庫に入れグルテンの発生を促しました。



みなさん本当手際が良くって、ここまでの作業をほんの1時間足らずでこなし、ティーブレイク前の最後の一仕事に全員で取り掛かりました。



36個のジャムサンドを2.5リットル入りのパイレックスボールの底に、写真の様に並べました。正確には29個。残りの7個はみなさんお味見。(笑)


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そしてスポンジにたっぷりのドライシェリーをかけ、イチゴをジャムサンドとジャムサンドの隙間を埋める様にして並べすっぽりと覆って冷蔵庫に入れ、スポンジとイチゴにシェリーの風味を吸込ませました。

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やっと前半の作業終了。時刻は12時。ここでいつものティータイムです。



クッキングリッシュの会では、私愛飲のイギリスの紅茶“ヨークシャティー”を、イギリス風のいれかたでいれて、毎回参加者の皆さんに飲んでいただいています。


クッキングリッシュの会


みんなでお料理を手分けして作るのも楽しいけれど、ティータイムと試食の時間の歓談もとっても楽しい!


ティータイムが終る頃、シンプルにアセロラジュースをゼラチンで固めただけのゼリーも、ぷるんぷるんに固まりだしたので後半の作業開始。まずはゼリーをスポンジとイチゴの上に重ねました。


クッキングリッシュの会


後半はコーニッシュパスティー作りがメイン。まずはフィリングとなるお肉と野菜の調理からスタート。


私は料理のど素人ですが、ど素人なりのポリシーを持っていて、下手に和の素材に変えたりして、オリジナルの料理からかけ離れたものを紹介するのではなく、出来る限りオリジナルの味に近い海外の料理を紹介したいと思っています。



食べている間だけでも海外に行った気分を味わってもらいたいし、自分が長い間暮らしたヨーロッパの料理を誤解して欲しくないからです。



今回もその趣旨に基づき、パスティーのフィリング作りにはイギリスの固形スープを使いました。コーニッシュパスティーの本当の味を食すには、日本の固形スープの素では作れません!



とか、偉そうなポリシーを持っている割に、カスタードに続きここでも失敗を。フィリングにマスタードの粉とホースラディッシュを入れ忘れてしまいました。(苦笑)



そして私が今回一番心配していたショートクラストの生地は、十分水を吸い、十分グルテンを含む、扱い易い生地に出来上がりました!(嬉)



生地を伸ばし、15~6cmの丼鉢を型にして丸く抜き、その丸い生地でフィリングを包みます。

クッキングリッシュの会

まずは私がデモンストレーションを。

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その後参加者のみなさんで手分けして、ジャンボ餃子のようなパスティーを24個作りました。溶き卵を塗って、あとはオーブンで焼き、毎回一番の楽しみ試食の時間を待つだけです。ちょっと破れているのもあるけれど、ドンマイ!ドンマイ!(笑)

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昔はコーンウォールの炭鉱夫のお弁当だったコーニッシュパスティーは、各々好みのフィリング入れて奥さんに焼いてもらい、昼時になるとそれを穴の上から地下に投げ入れていました。



同僚の炭坑夫のと間違えないように、残った生地でイニシャルを入れて焼いていた...そんな昔話をしたら、みなさんめいめいにイニシャルや花柄やと、パスティーに自己主張して焼きました。出来上がったのがこれです!


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ところどころ破れた穴からフィリングが飛び出していたりしますが、みなさん初トライにしたら上出来でした!



そしてゼリーの固まったトライフルも、分離したカスタード(苦笑)と生クリームを重ね、この通り綺麗に完成しました。


クッキングリッシュの会

そして今回も楽しい、楽しい試食会のお時間です!

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ちなみに今回はグリーンサラダを付け合せに準備しましたが、そのドレッシングはうちの旦那ご自慢のラズベリービネガードレッシング。



このドレッシングのレシピもおねがいしま~す!と参加者の皆さんからリクエストがあったので、これも明日以降のブログで紹介しますが、まじ、そんなたいしたものじゃござんせんのよ!(爆)


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パスティーには私が家から持ち込んだ、イギリスならではのブラウンソースや、ポメリーマスタード、そしてフィリングに入れ忘れたホースラディッシュ等、お好みのものをつけて食べてもらいました。


パスティーの中はこの通り、お肉と野菜がいっぱい詰まっています!

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食後にはトライフルを。おたまで大胆に取り分けるのがトライフル。やっぱりカスタードの舌触りがちょっと違和感あり!でも味は100点満点!

クッキングリッシュの会

お集まりいただいた皆様、足元の悪い中、本当ありがとうございました。コーニッシュパスティーのフィリングに、マスタードの粉とホースラディッシュを入れ忘れたり、カスタードが分離したり、毎回の通り今回もハプニングはありましたが、楽しい時間が過ごせました。


来月はクッキングリッシュの会はお休みし、私のメインブログ(当ブログも含め)のサマーパーティー・お好み焼き大会です。



次回は9月。日程はまだ決まっていませんが、地中海料理を題材にし、ひよこ豆とタヒニで作るフムス、たらこで作るタラモサラータ、そしてブルがーウィートで作るタブーレなどを作る予定です。



尚、写真の一部は昨日の参加者のお一人にご提供いただきました。

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