こんにちは。食育カウンセラー・株式会社コルコルの伊藤協子です。
「早期食育のすすめ」シリーズ、これまで
についてお話ししましたが、
今回は、もはや「早期食育」ではありませんが、
とても大切な時期である「小学生期」にどんな食育をしてきたかをご紹介したいと思います。
妊活・妊娠期・授乳期は、子どもに栄養を与えるお母さんがしっかり栄養をつけることが大切で、
幼児期からは、子ども自身の食育の土台づくりがスタートとお伝えしました。
そして、小学生になったら、今度は、
子どもたちがいろいろ理解できるようになり、自分で考え行動ができるようになってくるので、
更にステップアップした食育を進めていきました。
お手伝いをさせる
小学生になると、食器も運べるようになるので、ごはんの前の食卓準備を手伝ったり、食後の片付けも手伝わせます。
食後の片付けは、食器洗いまでいかなくても、
食卓に出ているものをキッチンまで運ぶとか、桶に水をはって食器をつけておくとか、テーブルを拭くとかいうことでもOK。
全部食卓にセットされたものを食べるだけ、食べたら置いてどこかに行っちゃうなんて言語道断ですよね。
食器は何を準備したらいいのかを考える、
食器を並べる、
みんなのごはんをつぐ、
味噌汁をよそう、
みんなで準備していただきます。
食べたら自分のものは片づけてごちそうさま。
最後の人は他のものも片づけて、食器を洗いやすいようにしておく。
これぐらいのことはできるようになってほしいので、これも毎日教えました。
また、料理については、ごはんを炊く、味噌汁を作る、卵焼きを作るなど、小学生時代はかんたんなものを作れるよう教えました。
お手伝いは、まだ言わないとできないこともありますが、将来、家を出ていく時までには、しっかり叩き込みたいです。
子どもに栄養の話をする
文字通り、ごはんの栄養について子どもたちに話をするということです。
例えば、
なぜ人はごはんを食べるのか?
なぜ1日3回ごはんを食べるのか?
なぜ好き嫌いをせずにバランスよく食べた方がいいのか?
なぜお菓子をたくさん食べてはいけないのか?
なぜ食卓に出されたものを食べた方がいいのか?
なぜ野菜を食べるのか?肉を食べるのか?
などです。
これ、子どもに聞かれたらどのぐらい答えられますか?
年齢や生活習慣によって活動量は異なり、その活動量で失われたエネルギーを補うためにこれだけ食べよう。
そのエネルギー量を補うには、子どもだったら一日3回と補食などに分けてこれだけの量を食べよう。
栄養には五大栄養素があって、それぞれ異なる働きがあるので、バランスよく摂取して栄養を補い、健康をサポートしているんだよ。
そのお菓子やジュースにはどんな栄養素が入っているか知ってるかな?
糖質が多すぎないかな?添加物はどのぐらい入ってるかな?
そのお菓子をたくさん食べると、ごはんが食べられなくなってしまうよね。
だとしたらバランスよく栄養が摂れるかな?量に気をつけようね。
市販のお菓子よりも、野菜や果物・穀類などを活用してエネルギー補給しようね。
ごはんは食べる人のことを考えて一生懸命作ったり準備して食卓に出されているから、その人に感謝して食べよう。
この野菜にはビタミンCがたくさん含まれているよ。
ビタミンCは免疫力アップしてくれるから風邪をひきにくくなるよ。
それからお肌をきれいにしてくれるから、これを食べるとツルツルになるよ。
お肉は筋肉を作ってくれて強い体になるよ。もう少し早く走れるようになるかもよ。
子どもから質問が出てくるので答える形で、こんな話をしょっちゅうしていました。
なぜ?に対して答えられると、子どもは納得します。
食事のこと以外でも、
なぜ?に対して答えられない、大人も理解していない、大人も実践していないと、子どもは納得しないです。
「うるせー!つべこべ言わないで黙って食え!」といっていた戦後日本とか昭和の日本の食卓とは違って、
食べ物があふれている時代ですからね。
子どもの「なぜ?」に対して答える食育を何年も何年も続けていると、好き嫌いなく食べるようになります。
私は子どもが生まれる前から食育について勉強し始め、これらのことについて学んでいたので、教えることができましたが、
栄養に関しては、今はかんたんに解説している書籍も出てきていますし、食育絵本もたくさんあるので活用できるかと思います。
食事のマナーを身につけさせる
食べるものについてのQ&A以外に、食事のマナーを教えることも大切な食育です。
先ほどの「ごはんは食べる人のことを考えて一生懸命作ったり準備して食卓に出されているから、その人に感謝して食べよう」は、食事のマナーの土台の土台です。
そこをしっかり伝え続けて、感謝の気持ちを持ちながらごはんを食べるようにすると、おのずと食事マナーはついていきます。
食卓に向かって姿勢よくたべる(ひじをつかない・膝を立てない・ゆらゆらしない・貧乏ゆすりをしない)
よそ見をしない・こぼさない
テレビやスマホを見ながら食べない
おいしいねと感想を言いながら食べる
コミュニケーションを取りながら楽しく食べる
ばっかり食べをしない
迷い箸をしない
正しくお箸をもって食べる
正しくカトラリーを使って食べる
箸をもちながら器を持ち上げない
大きな音を立てて食べない
食べながら口を大きく開けてしゃべらない
など切りはありませんが、
これらも毎日の食事の時に伝え続けたことでした。
我が家の娘たちは、格別に食事マナーが良いというわけでもない普通の子どもたちですが、
それでも、やはり、お友達とごはんを食べると、膝をついて食べていた・スマホ見ながら一言も話さないで食べてた・好き嫌いが多くて全然食べてなかったなどビックリしていることがよくありました。
食事マナーは、ただきれいに食べようということではなく、ごはんをおいしく食べるための基本的なことなのです。
また、ごはんの時間は、食べ方だけでなく、
今日は口数が少ないな、
食べるスピードが遅いな、
量を食べていないな、
あのおかずばかり食べているな。。。
など観察しながら「健康状態を確認する時間」でもあります。
親がテレビやスマホに夢中だったら、この貴重な時間は台無しです。
食卓を囲みながら様子を見て成長を見守っていくことで、
いろいろなことが分かるので、そんな時間を大切にしてほしいなと思います。
ちなみに、我が家は今は、
娘たちの方から私が「テレビ消して」「早く席について」と注意される状態で、
ごはん中のコミュニケーションを大切にする子に育ってくれています。
旬の食材を楽しむ
私が仕事柄、お客様に商品を使った旬のレシピをお伝えすることもあり、常に旬の食材の話をしているので、
小学生のことから娘たちはなんとなくこの時期はこれがおいしいというのが伝わっていると思います。
ある時、小学生のころ、秋に軽井沢に旅行に行ったときに、マツタケの土瓶蒸しをいただく機会があり、
次女が黙々と土瓶蒸しを食しているので、「おいしい?」と聞いたら「すごくおいしい」と言ってとても気に入ってしまい、
以来秋になると「マツタケの土瓶蒸しは食べれる?」と毎年言ってきて、
いただきものでマツタケをもらった時は、土瓶を購入して我が家で土瓶蒸しを作ったりしました。
マツタケはちょっと高級食材の例ではありますが、
季節の旬の食材をおいしく味わうということは、
食に関心を持つきっかけになり、深く記憶に残るのだと強く感じました。
子どもたちの感覚は敏感だから、おいしいものにはしっかり反応します。
そして、おいしいものというのは、やはりその季節の旬のものだったりしますよね。
旬のものは、その時期に必要な栄養素を取り入れたり、またデトックスする効果があります。
健康面で考えても、旬のものを食卓に取り入れることはとても大切です。
農業体験をさせる
私がコルコル食育塾で、東京農大OBの方々と一緒に農業体験企画をしていたので、
春夏秋の年3回、茨城の農家さんのところで体験させていただいていました。
春は田植え、夏は稲刈り、秋は芋ほり、そしてその季節の野菜を収穫したり、
農大の皆さんが作ってくださったごはんを食べたり、そうめん流しをしたり、
スイカ割をしたり、毎年毎年素晴らしい体験ができました。
保育園の時からずっと続けていたので、
どんなところでどうやってお米が作られるのか?野菜が収穫されるのか?を学び、
みんなで空の下でわいわいご飯を食べるという経験も、好き嫌いをなくすことにつながったと思います。
今現在は食育塾で農業体験は実施していないのですが、素晴らしい体験だったので、
また近い将来、他の子どもたちのためにも再開できたらと思っています。
季節の手仕事に触れる
私は、行事食を作って楽しんだり、家庭菜園や農業体験で季節の食材を学んだりしているうちに、
季節の手仕事にも関心が出てきて、梅雨の時期は梅仕事、冬は味噌仕込みなどをするようになってきました。
最初は、梅シロップや梅酒にとどまっていたのが、
娘たちが梅干しが好きなので、梅干し作りにも挑戦するようになり、毎年、娘たちにも手伝ってもらいます。
また、お味噌も一度作ったらめちゃくちゃおいしくて、家族みんなおいしいおいしいとお味噌汁を飲んでくれるので、
こちらも毎年恒例になりました。
その他、実山椒の季節、柚子胡椒の季節などが来たら作ったりしています。
私が勉強のためにやるようになりましたが、
子どもたちに手伝ってもらっているうちに食育ができていると思いますし、
何より、親がなんだかんだ楽しんでいること、作ったものを料理に使っておいしいねと言っていること、
諸々含めてすべてが食育になっていると思います。
食に全く興味がなくて、料理も苦手だった自分が、まさか手作り梅干しや味噌を作るなんて。。。
子どもを持つまでは考えもしなかったのですが、
これもすべて妊娠前から「食育」を学び始め、
子どもたちと一緒に楽しみたいなと思ったことが影響して至っています。
キャラ弁よりバランス弁当
保育園の時もそうでしたが、小学生の時、遠足や運動会でお弁当を作る機会があって、キャラ弁をリクエストされましたが、
私はとても不器用なので、頑張って作ってもなかなかうまくできなくて、
「悪い顔のミッキー」とか「まったくかわいくない女の子」のおにぎりとかになってしまって、
キャラ弁が作れなかったんですよね。
双子の女の子おにぎり
悪いパンダおにぎり
最後はあきらめて、ディズニーやプリンセスのおにぎりラッピングを買ってきて、ただ包むだけとかだったし笑。
プリンセスラッピングおにぎり
キャラ弁は、子どもが食べることに興味を持つきっかけになるので、素晴らしいと思います。
でも、私はかわいいお弁当は作れなかったけれど、栄養バランスだけは考えて作っていました。
運動会弁当
小学生の最後の方は、中学受験で塾のお弁当があったので、とにかく、おいしくて温かいものをたべてほしく、
仕事から帰ってきたらお弁当を作って、ジャー弁当にあつあつの味噌汁とごはんとおかずを詰めて、ほか弁を届けに行っていました。
夏の塾弁
中学受験は本当に大変で、娘たちにとっても厳しい時期だったと思いますが、
お弁当の時間だけでもホッと一息ついてほしいと思い、栄養バランスを考えたあったか弁当を運びました。
おかげで体調を崩すことなく、最後までがんばってくれて、なんとか受験を乗り越えることができました。
以上、小学生の時はこんな感じで、食育生活を送っていました。
一番、成長が著しい時期なので、とにかく、しっかり食べてほしいと頑張ってきましたが、
分子栄養学の知識もつけた今、振り返ってみて、ひとつだけ「これをやっておけばよかったな」というのは、
「もっとたんぱくしつを摂らせたらよかったな」ということでした。
小学生高学年は女子は急激に体が変化してくるので鉄などのミネラル補給が大切ですが、
鉄補給食材やたんぱく質の量が足りていたかはあまり自信がありません。
肉魚などの動物性たんぱく質、植物性たんぱく質をもう少し多めに食べさせてあげればよかったと思います。
さて、次は、中学・高校生期の食育について書きたいと思います。
また、この時期からは、それまでの食育生活がどう役立ったか?など、
食育効果も見られるようになってきたので、そのお話もしたいと思います。