ヘルメットバッグ 解説編 | DSA167のブログ

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昔好きだった服の事、バイクの事を思い出しながら・・・
熱い思いを笑いで綴ります。

みなさんこんばんは。

変態のDSA167です(笑)

 

今日は久しぶりにコテコテミリタリーをお送りしますので、最近ミリタリーもんに興味が出てきた方からギットギトミリタリーマニアの方まで、最後までハラハラ・ドキドキ お楽しみ下さい!

 

てか、最後までついてこれるかね?  キッキッキ

 

 

 

 

では、参りますぞ

 

 

 

 

(初級編)

 

さて、下の写真はみなさんよくご存じ?の

US ヘルメットバッグでございます。

 

 

 

何に使うバッグかと申しますと、パイロットがヘルメットを持ち運ぶ為のものであります。

 

価格は実物中古で5千円~8千円ぐらい。

1万越えはちとマニアックな要素を含んだ物でしょう。

 

以上、ヘルメットバッグならどんなんでもいいと言う皆様、良いお買い物を! Good Luck !

 

 

 

 

 

(中級編)

 

このヘルメットバッグは、ミリタリーバッグの中でも最高傑作として、多くのメーカーからリプロ品が販売され、又、中古市場においては昔から安定して人気のある品です。

 

 

”あの” 吉田カバンがアレンジを施したリプロ品。

※ちゃんと"カバンの方"を見て下さい。

 

 

人気の理由は軽量(外側ナイロン、内貼りポリ)で大容量(側面に大きなポケット2つ)でありながらシンプルなデザインにあると言って良いでしょう。

実物は人気ゆえ、最近ではすっかり数が減ってしまいました。

 

名称に関してはミリタリー業界のみならず、アパレル、古着業界においても単に「ヘルメットバッグ」と呼ばれておりますが私の様なオタクにとっては、ヘルメットバッグと言えば以下の

様に大きく4つの区分で認識しており、今回紹介した様な一般によく見かける形のものは「3rd」及び「4th」となります。

尚、1st、2ndは形が大きく異なり、特に1stはコレクタブルな希少品であります。

 

 

 

1st 1956-1958  AF

 

”1st”

 

 

 

2nd 

初期  1959-1962  AF(巾着式)

後期 1963-1966  AF(巾着式、AFデカールなし)

 

”2nd 初期 巾着式”

 

 

3rd 

初期 1967-1971  AF NV MC AM (アルミZIP)

中期 1972-1974  AF NV MC AM (ブラスZIP)

後期 1975-1979  AF NV MC AM (大型ブラスZIP)

 

4th 

初期 1980-1984  AF NV MC AM (センター上部にスプリングフック)

後期 1985-(大型ブラスよりプラスティックZIPへ変更)(2020.3/16サーチライトさんで85のスコービルのデカブラス確認)

 

※90年代以降もほぼ同型のものがマイナーチェンジを繰り返しながら継続使用されています。

 

 

80年頃以降に現れた”スプリングフック”

 

”4th後期 プラZIP(スライダーは金属)”

 

 

※上記の他、NAVY専用として以下の物が存在します。

  ・50年代末期 コットンとナイロンベルトでカムタムメイドされた非正規品。

  ・60年代全期 「ボーリングバッグ型」と呼ばれる正式制定品。

 

”NAVY 67年製 ボーリングバッグ型”

 

以上の区分については、大阪 MASHさんがカテゴライズされコレクターの間でデファクトスタンダードとなっているもので正式な名称・年代ではありません。

 

以上が50年代から90年代におけるヘルメットバッグの変遷と区分の説明でした。

 

ここで1つ気付くのが、66年頃迄はAF、NAVYがそれぞれ正式のヘルメットバッグを持っていたが、67年頃に4軍共用の物(3rd)が開発されており、まさしくベトナム戦争の激化に伴う戦争の効率化?だったのではと考えさせられます。

 

さて、ここで話を”一般的なヘルメットバッグ”でもあり、”戦争の効率化”で生まれた3rdに焦点を当てて話を進めて行きましょう。

 

 

 

 

 

(上級編)

 

ヘルメットバッグの事を”3rd”や”4th”と呼ぶ事は

よほどの変態でない限りありません。

実際の現場(どこやねん?)では3rdのディティールを持つものを”ナム戦もの”、3rd後期以降のものを”ナム戦以降もの”と言った方が通じ易いでしょう。 

 

そんなもん分かっとるわい!と言っているアナタ。なかなかの変態です。

しかしまだまだ上の下レベルの話なんでこれから

です。 COME ON !

 

 

 

こちらはDSA所有の3rd初期、いわゆる”アルミZIP”(上)と3rd中期”ブラスZIP(小)”です。

 

最近、M65フィールドジャケットのZIPが”アルミ”か”ブラス”かによって2ndか3rdに明確に区分して販売される様になりましたね。

 

この影響か、M65パーカやヘルメットバッグにおいても同様の動きが見られ、ヘルメットバッグにおいては”アルミZIP!”と明記されているのをたまに見かけます。

 

上記一覧の通りZIPがアルミからブラスに変更になったのは71年頃と考えられておりますが、そう言えばM65ジャケットやパーカもだいたい同じ頃だったと思うので、こういう所を調べたりするのがミリタリーの面白いところであります。

 

変った理由は使えばすぐにわかる事ですが、アルミはとにかくボロい。

注意して扱わないとよく刃こぼれを起こします。

また、ブラスに比べて動きが悪く、少し古い物にいたっては、たいてい”引っかかり感”が有り、ワクワク イライラします。

 

 

 

 

だがしかし!  である。

 

 

 

 

それでも俺たちは”アルミ”を求めるのである!

 

 

 

 

 

なぜか?

 

 

 

 

 

より、”ナム” であるからである。

 

 

 

 

※ナム・・・ベトナム戦当時の物を中心に収集するコレクターは1960~1975の物、特に1965~1970に強く拘る。

 

 

 

 

話がそれてきたので本題へ戻します。

 

下画像は”アルミZIP”(上)と”ブラスZIP”(下)のラベルです。

 

今までの説明通り、70年と71年でZIPが変わっています。

違う場合もたまにあるので本当の所は”だいたいこの頃”といったところです。

 

そして、別に良く見て頂きたいのが内側のライナーです。

上は”カモフラージュ柄”、下は”普通のO・D色”です。

 

”カモフラージュ柄”は3rd初期にたまに見かけられるディティールで、マニアには”裏カモ”として人気です。

素材はベトジャンでお馴染みのポンチョライナー生地です。

 

さらに、3rdが誕生したての本当に最初の頃は裏地がM51のライナーの様な白いパイル地で、こちらはさらにレアな物となっております。

 

”パイル地の裏地”

※この個体はブラスZIPで70'sだった模様で、必ずしも上記説明が正しいとは言い切れないのでご注意を!

 

 

 

 

M65フィールドジャケットにも”裏グレー”とい人気ディティールが存在しますが、なぜ俺たちはこの ”裏***” というものに惹かれるんですかねぇ。    エヘッ

 

 

 

ここで同意したアナタ! 変態確定です。

 

 

 

変態のアナタにはいよいよ変態編をお送りしますが同意出来なかったそこの坊やは

 

 

 

GO TO BED !

 

 

 

 

 

(変態編)

 

ヘルメットバッグの変遷は縫製工程の簡略化よりも裏地やZIPの変化の方が分かりやすく面白い所ですが、特にZIPメーカーの変遷が興味深いところです。

 

3rd初期のアルミZIPには”GENERAL”が多く、次のブラスZIPには”SCOVILL”が多くなり、これは大型ブラスになっても同様ですが、まれに”TALON”も見受けられます。そしてプラZIPになってからは”IDEAL””YKK”が幅を効かせます。

この様にメーカーも時代と共に変わってゆきました。

 

さて、次にZIP自体の構造をDSA167所有のアルミもんブラスもん(書き疲れて表現がだんだんテキト-に・・汗)で確認してゆきましょう。

 

下止め(左端の金具)の形はただの四角で同じだが・・

 

 

上止めの金具は全然ちゃう。

アルミは”U字”の一発留め。ブラスは左右それぞれに留め具。

 

 

ここで

 

”なんだ、DSA167の奴 パチもんZIPに交換されたブツつかまされてやがる”

 

と思った方、正常です。

 

そう、どちらのスライダーの持ち手にもメーカー名が刻印がされていないのです。

 

 

 

 

だがしかしである!

 

 

 

さらに良く見るとスライダーの形が違うのに、持ち手の形だけが全く同じなのである。

 

さらにさらに良く見ると、ブラスの方は塗装で、アルミ地が覗いている。

要は”持ち手だけ”が全く同じ物であるではないか!

 

 

 

 

 

 

「だからどないしてん」としか言いようの無いこの結末・・・

 

 

 

寒い・・  まだ11月だと言うのに寒い・・

 

 

 

理由はいろんな事が考えられるがたぶん全然ちゃうと

思うから言わん。

 

 

 

きっとアホの私じゃ絶対に思いつかん様なロマン(笑)

に満ちた理由なんやと思う。

 

 

 

私がこの2つのバッグを所有する理由は

 

”アルミ”だの”ブラス”だのではなく

 

こういうところなんやな。

 

 

 

 

どや、キミは変態を超える事が出来たか?

 

 

 

 

終り

 

 

 

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

先日、知る人ぞ知るスカジャンに魅了された熱き漢に

話を伺う機会を得た。

 

彼はスカジャンを作っているが、「作っている」というには

違和感が残る。

 

なんと言うか、ただひたすらに自分が今まで培った知識

の「真実の部分だけ」を形にするだけの作業。

 

当然、技術的、人的、時間等、様々な困難が立ちはだかるが、

決して妥協はしないその姿勢。

 

スカジャンの魅力はやはりあの迫力ある、刺繍だろう。

しかし古着好きには外せないポイントがもうひとつある。

そう、ジッパーだ。

 

わかる奴にはわかる。分からない奴にはわからねぇ。

彼はそう言い切りひたすら理想を追い求める。

 

わずか数十着作成するスカジャンのジッパーの為に

膨大な資料・時間・数百万の巨費を投じる。

 

ビジネス第一の大手メーカーではありえない、

真実の追求こそが全てに優先するその悲しくも

熱き性。

 

そして、その熱き魂を感じ取り、身を削って支援する

漢がいる。

 

 

unsound

 

unsound ・・・

 

 

 

 

俺は変態?

 

いや、まだまだ正常だ。