先日、インドネシアで広がっているポカリスエットに触れましたが、大塚製薬がインドネシアで売上200億円に迫るまで成長できた要因は、徹底した現地化だと言われています。
(先日の記事 )
とはいえ、インドネシアのポカリスエットが、日本のポカリスエットと味や見かけが異なるわけではありません。
現地化されているのは組織と売り方で、ポカリスエットを扱う大塚製薬の現地子会社であるAmerta Indah Otsuka(アメルタ・インダ・大塚)の社員は、日本から赴任している社長を除いて、営業を含め1000人を超える社員がすべて現地人です。
日本の大手企業でここまで組織の各機能を現地人に委任している会社は珍しいといえます。
当初インドネシアに参入した際は日本と同じスポーツやお風呂後の利用を訴求してプロモーションをかけていましたが、スポーツが盛んでなく、またお風呂にもあまり入らないインドネシアでは簡単には普及しなかったといいます。
広がったきっかけは、デング熱の水分補給に有用だと認知させられたことと、ラマダン(断食月)の利用をターゲットとしたところからです。
特にラマダンでは、日中飲食ができないため夜の水分の吸収が重要で、そこに目を付けて提案をおこないました。
吸収の早いポカリスエットはラマダン後の水分補給にも最適で、小学生に効用を説明して無料で配るなど、サンプリングも使った取り組みをしたことで一気に拡大しました。
今ではラマダンには専用のCMを流していますし、最もポカリスエットが売れるのもラマダン月とのこと。
こうした地域や文化に根ざした視点を持てたのは現地化を徹底的に進めた結果で、日本人だけの組織ではなかなか持ちづらい視点です。
現地化というと、商品を現地のニーズにあわせて変えるローカライゼーションが思い浮かびがちですが、日本としての製品の良さはそのまま活用し、マーケティングと流通チャネルを変えたのがインドネシアの大塚製薬の取り組みだといえます。
(以前触れた本社への求心力と遠心力のバランスの記事はこちら )