新たなチャレンジを受け入れる5つの条件 | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


私が戦略コンサルに参画した際のキャリアゴールは、日本から世界に大きく羽ばたく企業をつくり、日本の多くの企業に夢を持ってもらうことを通じて、日本の産業や経済を元気にしたいということでした。

少し前のトヨタや日産、今のユニクロなどの世界で活躍した企業に夢を貰った企業や経営者、ビジネスパーソンはたくさんいます。

こうしたことを事業会社で実現するとすれば、やはり日本を代表できるような企業でなくてはいけないですし、その中でもらうポジションもいくつかの条件を満たさないといけないと思ってきました。

このため、以下の5つの条件が揃った場合にのみ、新たなチャレンジを受け入れるという強い基準を持っていました。

1.その企業の経営者が本気で組織をいい方に変えようと思っていること
2.経営者との間にだれも挟まないポジションに就けること
3.その企業が海外に誇れる日本固有の強みを持っていること
4.海外の展開を中心にして、今後の成長を目指せること
5.できれば報酬条件もいいこと

変革をしようとすると、社内に大きな歪みや不満、怒りが生じます。現状に甘んじてしまう経営者も多いなか、本当に会社を変えたいと思っている経営者と働きたいという思いがありました。それが1です。

2
は、戦略に経営者の想いを落とし込む際に重要です。想いや戦略は人を挟むほどに減衰します。直接、TOPと議論をしながら戦略を作れるポジションでなければ、受ける気はありませんでした。

また3ですが、日本企業が成長しようと思えば、今後はグローバルに競合に伍していく強みがなくてはいけません。その企業に世界に誇れる商品があるか?そこは大事にしたいポイントでした。

4
は、やはり海外戦略のない仕事はワクワクしません。国内で限られたパイの取り合いをするより、国内では強い基盤があって、海外に目を向けられる環境で仕事をしたいと思っています。新たに参画する企業は国内シェア圧倒的No.1で、海外に打って出る環境は整っています。

最後の5はそれほど重要視はしていませんが、企業が自分をどう評価しているかの目安でもあります。コンサルの給与は事業会社よりも高いわけですが、それだけのコストを払っても呼びたいと思っているか、これはやはり気になるところです。

過去にいただいたオファーでは、なかなか全てを満たす話はありませんでした。

昨日も述べた通り、新たなチャレンジを決めた背景には、その企業が人事制度を改定してまで、すべてを満たすポジションを準備してくれたということがあります。

一方で、30代半ばでそれだけのポジションをもらっている人はその企業では過去誰もいないわけで、それだけ期待のハードルは高いですし、社内の敵も多いといえます。

とは言え目指すところは、世界で羽ばたく会社に脱皮させ、他の企業にも夢を与えること。そのミッションは組織のすべてのメンバーとも共有できるはずだと思っています。

本当は、コンサルが事業会社に出て何が起こるか、新たなチャレンジの顛末についてもここに綴れればと思っていたのですが、上場企業であることもあり、インサイダー含めいろいろなリスクを避ける意味でもそれはしないことに決めました。

また初心に返り、新たな挑戦に向かって行こうと気持ちを新たにしているところです。