「やっと終わったぁ!
なぁ、この後飲みに行こうぜ!」
同じ沿線にある支店に配属され、度々の研修で仲良くなったキュヒョンに誘われる。
「週末だし、いいね。」
僕はそういいながらも、何気に講師を終えて研修室を後にした彼を探してしまう。
3階にある研修室からは、この研修施設の正面の門にそびえる二対の桜の木が青々とした葉をなびかせ、心地よい風が頬に気持ちいい。
ふと、門の外を見ると派手なスポーツカーが真ん前に付けられ、
やはり派手なモデルのような女性がハンドルに手をかけて、誰かを待っているようだ。
キュヒョンも気付き、
「すげえいい女…誰か待ってんのかな…?」
窓から身を乗り出すと危ないって!
キュヒョンの腰を支えながら…
「……あっ……。」
正面玄関から颯爽と出てきた彼は、正面に止まってとにかく目立っている車に苦笑いをしながら、チラッと周りを一瞥し乗り込んだ…
「さすがだよなぁ、チョンさん?」
隣で溜め息を漏らすキュヒョン…
「あの人、すごいやり手で超イケメンだから、全店で有名人なんだよね…
知ってた?チャンミナ?」
「ふぅん……あまり、興味ない…」
「でもさ、今回の辞令でチョンさんの支店にチャンミナが配属されてさ、女子行員の間ではすげぇ、クレームだったらしいぜ。
2大イケメンが同じ支店なのは、不公平じゃないか、ってさ。」
…えっっ??僕??
「何言ってんの…?」
耳まで赤くなる僕に、キュヒョンはクスクス笑いながら、
「同じイケメンでもまったく自覚のないイケメンと、確実に自覚しててそれを大いに活用してるイケメンの差だな。」
「でも俺はおまえの方がいいな…」
なんて言うから、僕はまたまた赤くなる…
そっか…彼にはあんなに綺麗な彼女がいたんだ…
少しざわついた胸を自覚しないように、バタバタと資料を片づけだした…