逢いたくて逢いたくて(50)ーYー~ミノ篇~ | えりんぎのブログ







「なぁ、俺さぁ、…おまえに何かしたっけ?」


「……………………。」


「…なんでいきなり嫌いとか、言うわけ?」


「……………………。」


「なぁ、…仲良くしよーぜ?…チャンミナの弟なんだろ?」


「…!!弟とか、言わないでください!僕は、…僕はあなたの存在自体が嫌なんだ。…僕のヒョンに馴れ馴れしくするな!!」

……さすがにムッとしたけど、相手は高校生だし、…ようはブラコンなんだから可愛いものだって自分に言い聞かした。


「なぁ、…チャンミナはおまえのチャンミナかもしれないけど、…俺のチャンミナでもあるんだぞ。…みんなで仲良くしよーぜ。」なんて、ホントは俺だけのチャンミナだけどな。って思いながらも、ミノに向かってニッコリ笑いかけた。


冷ややかな視線にぎゅっと結んだ唇。


「……そんな事思ってないくせに。…もう話しかけないでください!」


クルッと背中を向け、足早に行ってしまった。


……チッ。…バレたか。



完全に拒絶した背中を眺めながら、「おーいっ。ミノー?案内される奴が前歩いてどうすんの?」「機嫌直せよー。そうだ、学食でコーヒーでも飲む?」……なんとか普通に話そうと努めるけど…。


「…!!…ウルサい!!!」

……取り付く島がないとはこの事だ。



「……あれ?ユノ?」


背後から……救世主の声?


「……ドンへ!」


「ん?…誰?初めて見る顔だな。」


とりあえずドンへも巻き込もう。この2人だけの重い空気には、ちょっと耐えれなくなってきた。


チャンミナの地元の幼なじみで志望校の下見で来てること。
チャンミナが教授の手伝いで代わりに案内を頼まれたこと。


手短に説明する俺を見てニヤニヤし出すドンへ。

「ふーん。…チャンミンねぇ~~。」


「あん時はドタバタとさ、マジうるさかったし。」

「……は?」

またニターッ、と厭らしい笑い。

……あん時…って、あん時?
まじ?…なんか聞こえた?

「…ばか/////!!…ぜーったい、チャンミナには言うなよ!」

赤くなる俺の横で……おぉ、睨んでる睨んでる!


「あの…ドンへさん?…僕のヒョンとは、どういう関係ですか?」

「ヒョン?…あぁ、チャンミンの事ね。…え~っと、ユノがダンスの練習に連れてきたのが最初かなぁ?」

「…ダンス?…ヒョン、ダンスなんてやってんですか?」

……ドンへとは普通に喋ってんじゃん。

「ミノ。…チャンミナは見学に来ただけ。でも、見るのもすげー楽しそうだったぞ?」って俺が言えば、
「………ユノさんには聞いてません。」
って、また冷たく言い放つ。

……こいつ、どんだけ俺が嫌いなんだよ?

ドンへも最初は目を丸くしてたけど、突然納得したように、またニヤリと笑った。

「俺たち、サークルでダンスやっててさぁ。…今から練習で集まるところ。ユノ、行かねーつもりだった?」

「ん…まぁ、ミノいるしね。今日はやめておくな。」

「…ちょっと、待って!僕、ダンスの練習行きます。ユノさんとフラフラ歩くよりよっぽどいいや。…ドンへさん、いい?」

ドンへに向かってニッコリ笑うミノ。

「ん…まぁ、全然いいけどね。…じゃあ、行く?」

「はい!」

まるでドンへの後輩のようにドンへにくっついて歩き出した。


…………置いてけぼりの俺。


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