~イジュンside~
「…遅いなぁ、チャンミン。」
焦れったそうに部屋の中をうろうろする俺に、…お仕事忙しいんじゃないの?って呑気な鼻歌まじりの声が聞こえた。
───それにしても遅いよな?なんか嫌な予感がする。…昔から嫌な予感は結構当たるんだよ。
最近ずっと一緒の通勤電車。
朝の15分ほどのデート。
今までよりほんの少し早く家を出て、チャンミンを待つ。
………あ、来た。
少し俯いて歩く細身のシルエット。
こちらに気づいて──おはようございます。──くりくりの瞳を照れくさそうに細めて微笑むのが。
ああ……今日も、可愛いなぁ。
今日は高校時代の話。
バスケ部のキャプテンで生徒会長、…いろいろな苦労話や楽しかった話、…チャンミンも片手を口に当ててクスクス笑って聞いてくれる。
「……あの、…ユンホさんは、陸上部で何してたんですか?」
────は?…ユンホ?
「…ああ、…あいつは、短距離と高跳びだったかな?」
「………そうなんだ。」
納得したように、…少し頬を染めて俯いた。
ねぇ。…その前に俺のポジションとか…聞いてくれたっていいのに。
「俺さ、トレーニングの為に朝はジャージで走って通学してたんだ。…早めに家出て、学校で着替えてさ。」
「へぇ…。……ユンホさんも?」
────だからっ!…ユンホのことはどうでもいいじゃん。
なにかとユンホに繋げるチャンミンにイラっとして、──ユンホに最近彼女が出来たんじゃないか?的な話をした。
「へぇ…。……そうなんですか。」
────わかりやすいくらい肩が落ちてない?
「あいつさ、…何にも言わないけど、結構やることはやってると思うんだよな。いつも女の影がチラホラ見えるし。」
「…………。」
さらにうなだれたチャンミン。
───なんなんだよ!もう!…嫌な予感しかしねーよ。
そのままチャンミンはクルッと横を向いて、窓の外をずっと見てた。
──────カチャリ
「あ…!……来た!」
待ちわびたその人を迎えるべく玄関に走る。
───扉を開けた先に。
「………………ユンホ?」
落胆が思いっきり顔に出てた?
「…悪かったな、俺で。」
……そう呟きながら、身体を斜めにして、その人の名をよぶ。
「…………チャンミナ?」
ユンホと同じくらいの背なのに、なぜかユンホの影にすっぽり隠れたチャンミンが現れた。
ちょっと待って?…なんで一緒に来ちゃうわけ?
だってさ、ユンホは今日は彼女と一緒じゃないの?
それに……チャンミナ…って呼んだ。
あの、無愛想極まりないユンホが…兄として聞いてて恥ずかしいくらいの甘い声で、…チャンミナ、って。
衝撃を受けてる俺には目もくれず、ズンズン歩いていくユンホ。
「…母さん。ごめん、……俺もいい?」
って、キッチンに声かけてて、母さんも、…もう、来るなら来るって、もっと早く言いなさいよ!って言いながらも、かなり嬉しそう。
「遅くなっちゃって、ごめんなさい。」
すまなさそうに俺に向かって謝るチャンミン。
───上気した頬、…瞳は微かに潤んで、嬉しさを隠しきれないように緩んだ口許に。
やっぱり、…嫌な予感しかしない。
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やっぱり第三者目線は楽しい♡♡
今回言わせたかったセリフww
「…悪かったな、俺で。」←なぜ?^^;
照れくさそうにドヤッてるユンホさんを想像してください(*^^*)