~チャンミンside~
──────え、・・・//////。
これって、なんて言うんだっけ?
大きな部屋に大きなベッド。
乱雑な机の上。
バスケ雑誌や漫画だらけの本棚に。
深いみどりのラグまで一緒。
「────デジャヴ。」
「なに?チャンミナ。」
「や、・・な、なんにもです。////」
動揺を悟られないために、とにかく背を向けて逃げるように離れたのを。
「なんだよ?怪しいな!」
って、こんな時だけ妙に勘の鋭いヒョン。
「チャンミナ、・・なに?教えてよ。」
背中からぎゅうっと抱きしめられて、
「わっ///!」
思いきり肩が跳ねる。
「ちょ、///いきなり、・・なんですか?は、離して、」
「や~だよ。こういう事するために部屋に呼んだんじゃん。」
「え?///は?・・な、なに言ってっ!///」
動揺しまくりでカチンコチンに固まった僕。
スッと肩先から覗きこんでニヤッと意地悪な笑い。
「でもさ、・・教えてくれたらやめるよ?────デジャヴの意味。」
─────なんて、正直に話してしまった僕はやっぱり恋愛経験値が低いからだろうか?
「っ!////わっ!・・ぅぎゃ///!や、やめ、!!!」
なにがどうして僕は今、まるで夢と同じようにベッドに押し倒されているのか?////
「────何をいまさら。」
ああ、ヒョンのセリフまで夢と一緒だ。
「おまえが悪いよ?なに?その夢。」
「なに、って・・言われても、・・って、ちょっと近い、ヒョン!」
10㎝先にヒョンの顔があって、恥ずかしくて目なんか見れないからずっと鼻を見てた。
────きれいな鼻筋、・・って思ったところでくいっと顎をひかれ、強引に合わさった目線。
ふっ、と細めた瞳、角度をつけたヒョンがゆっくりと僕に重なった。
ヒョンとのキスは体育祭以来。
久しぶりの感触にとろりと靄がかかったようで、身体の中心が痺れる。
「────ん、・・っん、・・あ。」
ヒョンが角度を深くするたび漏れる声。
なんてリアルな夢だと思っていたのに、現実はそれどころじゃなくて。
───ヒョンの息遣いに、匂いに、・・思ったより余裕のなさそうなヒョン自身に。
「はぁ、・・やっぱ、弟なんて、・・無理。」
そんな悩ましげなセリフに心臓が飛び出そうなほど胸が早鐘をうつ。
「───ヒョ、・・ン、・・ま、待って?///」
首筋に埋められたヒョンの唇が何度もそこを啄むのを、
隙間のないほど密着した身体、
右手がもぞもぞと僕の脇腹からシャツを捲りあげようと試みるのを、
真っ白な頭で、────ただ未知への扉のまえで怖さが先立っていくのが、
「─────チャンミナ。」
掠れた声を合図にヒョンの手が僕の中心に触れた時、
───パンッ、と弾けて。
「───っっ/////////、うぅ・・・。」
せき止められたものが一気に崩壊するように涙が溢れた。
「え?・・チャ、チャンミナ?////」
「・・・うぅ、・・ふぅ、・・や、やだ、・・ヒョン。」
ぽろぽろと涙を流す僕を心底びっくりしたように身体を浮かせたヒョン。
「ご、ごめん。・・そんなに嫌だった?チャンミナ、・・ごめん!」
上半身を起こして、両手で顔を覆う僕の肩を焦って揺らすけど。
一度溢れた涙はなかなか止まんなくて。
しゃくりあげて泣く僕の頭を何度も撫でながら、
「ごめん、・・もう何もしないよ?・・ごめんな?」
優しく言い続けた、───。
ベッドヘッドに上半身を預けたヒョンの間におさまってヒョンにもたれるように抱き込まれながら。
しばらく言葉もないまま時間だけが過ぎていた。
ヒョンの左手は僕のお腹にまわって、右手は優しく頭を撫で続けている。
やっと落ち着いた僕は今度は恥ずかしさのあまりクラクラしてきて、───ヒョンの前で思わず泣いてしまった事も、そしてこの体勢も。
少しずつ縮こまる僕に気づいたヒョンが、ぎゅうっと両腕で抱きしめてきて。
「チャンミナ?・・大丈夫、もう嫌なことはしないから。」
優しく、でも寂しそうに呟いた。
「ユノヒョン。」
パッと振りかえったら切なそうに笑う顔があって、ギュッと胸が締め付けられる。
「ヒョン、・・違うよ。・・嫌なんじゃなくて、・・その、僕、・・初めてで、・・急には、・・怖い。」
消えそうな声でポツポツと。
うん、うん、って頷きながらもやっぱり切なそうなヒョン。
───違うよ、・・好きの想いは負けていないから。
それだけは伝えなきゃ、───そう思ったときには不自然に捩った身体でヒョンの唇に僕のそれを押しつけていた。
ピクッと身体をひくけど、ベッドに挟まれて動けないヒョンの首に腕をまわしてギュッと抱きつく。
「好き、・・ユノヒョン。好きです。」
背中がじんわり滲むほど熱いけど、
「チャンミナ。────俺も////。」
その零れるような笑顔が見たかったから。
最初は恥ずかしかったこの体勢も慣れてしまえばヒョンの鼓動を背中に感じて温かく馴染んでくる。
「・・僕とヒョンはタイプが全然違うから、・・僕にとってはヒョンの行動がびっくりの連続なんです。」
ヒョンの長い指が僕の手の甲をなぞるように行き来していてくすぐったい。
「だから、・・もう少しゆっくりで、・・いい?・・ユノヒョン。」
ふっと照れくさそうに、
「俺からしたらチャンミナがびっくりの連続だけどな?」って笑う。
常に注目を浴びてそれに応えてきたヒョンと、出来るだけ目立たないように生きてきた僕だから、今のこの違いはしょうがない。
「これから少しずつ近づいていけばいいよ。・・たまには急かしちゃうかもしれないけど、俺、チャンミナなら待てるからさ。」
────はやく俺と同じ気持ちまで登ってきて?
なんて、さっそく急かしてくるヒョンに口元が緩むけど。
あ、と思いたって。
ずっと謎だった1,800m走でのヒョンの言葉。
「ラスト1周の時、目、・・合いましたよね?それで、何か言いましたよね?」
おずおずと遠慮がちに聞いたのに。
今さら?って顔したヒョン。
「ラストどころかずっとだろ?チームの前を通るたびにチャンミンの熱い視線感じたもん!」
ってか、///チームの全員がヒョンに熱い視線送ってましたけどね。
「ふふ、嬉しくてラストスパート頑張った。聞こえた?───チャンミナ、好き!ってさ。」
─────//////・・ほら?やっぱりヒョンってびっくりな人だ。
あんな大勢のなか、・・しかもその後僕に相槌求めてきたよな?///
「し、知りませんっ///」
恥ずかしくて、・・握られた手をぶんっと振りほどいて隠すように近くにあった枕の下に差し入れた。
「あれ?」
枕の下からぐちゃぐちゃの布。
だらしないなぁ、ってそれをつまみ出したら。
「あっ!///それは駄目!」
ってヒョン、///────これ、僕のハンカチ。
シーンとした沈黙のあと、へへっ///って苦笑いのヒョン。
僕は恥ずかしいのと、呆れたのと、・・とにかく言葉がでないのに。
「おまえはいいね。・・俺はこんなんしててもなかなかおまえの夢見れないよ。」ってポツリ。
格好いいんだか、可愛いんだか分からないヒョンにやられちゃったな、って何だか可笑しくなってきて。
「僕はヒョンのことばかり考えてるから、・・夢にまで出てきちゃうんですよ。」
そう言ったら、それはそれは嬉しそうに満面の笑みを浮かべたヒョン。
「チャンミナ、・・俺やっぱ待てるかどうかかなり怪しい。」
────だから、はやくここまでおいで?
ゆっくりおとされたキスは優しいのにどこまでも甘くて、
────出逢って一日にして、人見知りの激しい僕の内にスッと入りこんできた不思議な人。
そして・・2人のこれから。をずっと一緒につくっていきたい、と、
────そう思えた僕の、僕だけの応援団長。
泣いたっていいよ 涙が涸れるくらい
そして最後に 笑って見せて────
fin.
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完結しました(^^)
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ありがとうございました♪
まだまだ始まったばかりの幼い2人です。
つき合わない、って言いながら、やってることはほぼつき合ってますね^^;
もう少し大人になった甘~い2人をそのうち書いてみたいです( ´艸`)
さて。
前にもお知らせしましたが、暫くブログをお休みします。
次は放置中の《StrawberryCandle》で戻ってきます!
予告編的な番外編を明日アップしますので、よかったら覗いてやってください♪
momokoさん《cheering26》前記事コメント欄より♪
萌えシチュエーションです(//∇//)♡♡