海外在住の日本人・日本の年金は受け取れる? | 日本で働く外国人についてのブログ

海外在住の日本人・日本の年金は受け取れる?

こんにちは。


今日は、先日、私が日本人の友人から受けた、下記の質問に関して、書いてみたいと思います。


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韓国人男性と結婚して韓国に永住する予定なんだけど、日本で今まで掛けていた国民年金はどうすればいいの?


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そんな訳で、本日のお題は、


日本人が海外に移住する場合の日本の年金についてどうするか


いまどき、国際結婚に限らず、仕事などでも、これから日本を出て海外に長期間滞在される予定の方や既に海外に長期滞在されている日本人の方は、とても多いと思います。


そんな皆さん、海外滞在中の間、日本の年金は払い続けたほうがいいのか、また払い続けたとしても、払った年金を将来もらえる可能性はあるのか、といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。


今回の相談者で、韓国人男性と結婚して韓国に移住する予定Aさん(日本人女性/30代半ば)も同様の疑問があるらしく、


・ 韓国の年金にも加入しなければならないの?


・ これまで加入していた日本の年金はどうなるの? 海外に移住したら、今加入している日本の国民年金は脱退しなければいけないのかな? そうするとすると、今まで払った保険料は掛け捨てになるの?


・まだ結婚生活が永久に続くかどうかわからない! 離婚したら日本に戻ってくるけど、そのときに無年金になっていたらどうしよう?(←...オイオイ...)


といった質問を矢継ぎ早に受けました。


ですので、今日は、そういった海外移住(予定)者の方の疑問に答えてみたいと思います。


なお、本日の解説内容は、条件を下記に限定しています。


【 海外移住者は日本国籍保持者で、直近で加入していた年金制度は、「国民年金」 】


皆様もご存知のとおり、日本の年金制度は国民年金、厚生年金、共済年金がありますが、この3つを一緒に説明しようとすると、あまりにも範囲が広く、また内容も複雑になりすぎてしまいます。


従って、今回は、「国民年金の加入者」が海外に在住するする場合の取扱、将来もらう予定の年金も、「国民年金」という前提で説明していきますので予めご了承ください。



■ 外国に移住した場合、日本の国民年金は脱退しなければいけないの?


必ずしも脱退しなければいけない訳ではありません。


外国に移住した場合でも、日本国籍を持っていれば加入し続ける事ができます。


国民年金に加入しなければいけないのは、基本的に、日本に住所がある20歳以上60歳未満の方(外国人含む)なのですが、日本国籍を持っていれば、20歳以上65歳未満の方は、「任意加入」という形で、海外にいながらにして国民年金に加入し続ける事ができます。



■ 任意加入をしておけば、外国に永住しても日本の年金をもらうことはできるの?


できます。


ただし、日本の国民年金は、最低「25年」加入しなければ老齢年金をもらうことはできません。



■ 外国に住んでいて、25年も日本の国民年金の保険料を払い続ける事ができるかどうかわからない。 最低25年継続して保険料を払い続けなければ老齢年金はもらえないの?


ちょっとわかりにくいのですが、「最低25年」の加入期間というのは、実際に保険料を払った期間だけをカウントするわけではありません。


日本国籍をお持ちの方が外国に在住していた期間の内、その方が20歳から60才までの期間については(例え、その間保険料を払っていなかったとしても)、「最低加入期間25年」として計算してもらえます。


ですので、例えば、ある日本国籍保持者の方が、20歳から65歳まで海外に在住し、20歳から50歳までは、日本の国民年金の保険料を全く払わず(任意加入をせず)、50歳から65歳までの15年間だけ、(任意加入をして)保険料を支払ったとします。


この場合、実際に保険料を払ったのは15年ですが、20歳から50歳までの30年間も「加入期間」として認められますので、合計加入期間は、「45年」となり、最低加入期間の25年はクリアします。


ただし、この場合、この方が65歳以降、もらえる老齢年金の額は、実際に支払った15年間分の保険料に基づいて計算されます。


つまり、保険料をもらうための期間計算に関する条件はクリアするものの、保険料はご自分が払った分だけということです。...まぁ、当然のことですが。


ですので、日本国籍の方が外国で暮らす場合も、将来もらえる年金額を増やすためには、任意加入をして、ひたすら保険料を払い続け、コツコツと年金額を増やしていく事が大切です。


正直なところ、日本の公的年金制度が将来どうなっているかわかりませんが、もしも、円高が今後も続いていくとすると、(続いていくとは思えませんが)、将来、外国にいながら日本円でもらえる年金は貴重です。


老後の資金を日本円で積み立てていく事も、外国で暮らす皆さんには一つの選択肢にもなるのではないでしょうか。


それから、もう一つ、これも大切な点ですが、外国から国民年金に任意加入している場合、保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく2年間が経過した場合は、任意加入者としての資格を自動的に喪失(特に日本の年金事務所からの督促などの連絡はないようです。)しますので、この点は十分ご注意ください。



■ 外国ではその国の年金制度にも加入しなければならないの?  その場合、外国と日本の制度両方に絶対加入しなければならないの?


当然、外国にも内容は違えど、日本の国民年金や厚生年金と同様の年金制度が存在します。


各国の制度によりますが、外国人(日本人)がその国に移住した場合、日本と同じように、その国の年金制度に強制的に加入しなければならない場合もあります。


日本の場合は、外国人であっても、日本に住所がある20歳から60歳の方は国民年金への加入が求められます。


※ 一方、今回、相談されたAさんが移住する韓国は、外国人が韓国の公的年金制度(日本の国民年金に近いもの)に加入することはできないそうです。


そうなると、日本人が移住先国の年金制度に加入する必要がある場合、日本の国民年金にも移住先の制度にも二重に加入しなければいけないのか、という問題が出てきます。


国によって、年金をもらうために必要な、「年金加入期間」は異なります。


日本の場合、最低加入期間は「25年」ですが、米国・韓国は「10年」、ドイツは「5年」です。


例えば、日本の国民年金に強制加入する必要がある外国人が日本に10年間滞在し、その間、国民年金に加入した後、母国に帰国したとします。


この方の場合、日本の年金をもらうために必要な加入期間は「25年」なので、加入していた10年間では年金加入期間を満たせず、原則論でいくと、払った分の保険料がまるまる掛け捨てになってしまうのです。(脱退一時金という、最長3年間分、払った保険料を取り戻せる制度もありますが、ここはとりあえず割愛します。)


払った数年~数十年分の保険料が掛け捨てになるのはあまりにも酷だということで、その保険料の二重払いの問題を解決するために、日本と外国の二国間で締結されているのが、


社会保障協定


という協定です。



■ 社会保障協定については、下記、社会保険庁のホームページをご覧ください。


http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/index.htm



■ 社会保障協定については、当ブログでも以前詳細に解説しています。ご興味をお持ちでしたら、以下過去ログもご覧ください。


http://ameblo.jp/eriw-office/entry-10958517831.html


さて、この社会保障協定とは、上記、過去ログを読んでいただければご理解いただきやすいのですが、簡単に言うと、



一人の人間が、母国・移住先の年金制度に二重に年金に加入して保険料を二重に支払わなければならない、困った問題を解決しようね。


という趣旨で作られた二国間同士の取り決めです。


具体的には、移住先の年金制度(日本の国民年金に該当する公的年金制度)に加入していた期間も、日本の年金制度に加入していた期間(=25年)として計算してあげますよ...という協定なのです。


日本は2011年8月現在、合計、下記10カ国と、この社会保障協定を結んでいます。


・ドイツ
・イギリス
・韓国
・アメリカ
・ベルギー
・フランス
・カナダ
・オーストラリア
・オランダ
・チェコ
(現在、イタリアと発効準備作業中)


例えば、日本国籍をお持ちの方が上記8カ国(注:イギリス・韓国は除く/説明は後述のとおり)の内、いずれかの国に移住し、移住先の年金制度に加入した場合、(日本の国民年金に任意加入をしていなくても)、移住先の年金制度に加入していた期間を、日本の国民年金に加入していた期間として計算してもらうことができるという事です。


つまり、日本国籍の方が上記の社会保障協定国に移住し、相手国の年金制度に加入した場合、(海外移住期間中)日本の国民年金に任意加入していなくても、相手国の年金制度に加入していた期間が25年に達した場合、又は、相手国の年金加入期間と日本で国民年金に加入していた期間が25年に達すれば、将来、日本の老齢年金をもらうことができるということです。

※ 実際に年金保険料を積み立てていたのが、移住先のみであれば日本の保険料をもらうことはできません。


ただし、ここでも一つ、重要なポイントが!


上記10カ国の内、イギリス・韓国の2カ国とは、相手国で加入していた年金加入期間を通算できるという取り決めをしていません。


つまり、移住先がイギリス又は韓国の場合は、移住して相手国の年金制度に加入した場合、その加入期間は日本の国民年金加入期間としては認めてもらえないということです。


※ イギリス・韓国の2カ国とは、相手国で強制加入の対象となる年金制度への二重加入が免除されるのみ...という内容で協定を結んでおり、他8カ国との、「二重加入免除+相手国での加入期間が年金加入期間に繰り入れられる。」という協定内容とは異なるのです。


ただし、日本政府は現在この2カ国とも、年金加入期間の通算を行う方向で協定内容の変更を協議中だということです。


そんな訳で、話しは戻り、今回、私に相談してくれた、韓国人男性と結婚して韓国に移住する友人Aさんに対するアドバイスは下記2点でした。



① 日本の国民年金に任意加入をすること。


ただし、決して本人が心配している離婚などの万が一の事態を想定しているわけではなく、将来、Aさんがもらえる年金を今後も増やしていくため。(誤解しないでね。)


また、前述の通り、韓国と日本の社会保障協定の内容は、お互いの年金制度における加入期間を合算できる制度ではありません。


例えば、もしも、Aさんが韓国で就職し、韓国の年金制度(日本の厚生年金にあたるもの)に加入した場合、韓国の年金制度に加入していた期間=日本の国民年金に加入していた期間と計算してもらうことができません。


いずれにしても、日本の国民年金に任意加入しておくことによって、将来日本の年金からもらえる年金額を増やすことができます。


ただ、任意加入をしなくても、韓国に在住した、20歳から60歳の期間は、年金加入期間として認めてもらうことはできます。ただし、この場合は、年金保険料を払わないので、任意加入と違い、将来受け取る年金額を殖やす事はできません。



② 韓国の公的年制度(※日本の国民年金制度に該当するもの/韓国の企業で加入する被用者年金は別)に加入する必要はない。=外国人であるAさんは加入できない。


ただし、韓国の年金制度については私は、残念ですが正確な知識を持っていません。


間違っていたら申し訳ありません。

韓国の公的年金制度に詳しい方がいらしたら、間違いがあれば指摘していただけると助かります。



さて、最後に、では、海外移住者の国民年金の任意加入手続きはどうすればいいのか?ということについても少しだけ触れておきたいと思います。



■ 日本の国民年金制度に任意加入する手続きは?


国民年金への任意加入を希望する場合は、日本国内における最後の住所地を管轄する日本年金機構の年金事務所が窓口となります。


また、離日前にご本人が住んでいた国内の最終居住地に親族が住んでいれば、その方に加入手続や保険料の納付などを代行してもらうこともできます。


加入希望者が、厚生年金に加入していたサラリーマンの妻(国民年金の第3号被保険者)の場合は、夫の勤務先を通じて手続をすることもできます。


ちなみに、厚生年金に加入していた方ご本人が退職し海外に移住する場合などで、国民年金への任意加入を希望する場合は、勤務先を通じて手続きすることも可能です。


※ 2007年6月まで社団法人日本国民年金協会で手続を行っていた方については、日本年金機構・千代田年金事務所(電話:03-3265-4381/81-3265-4381)で事務を引き継いでいます。



■ 外国で日本の年金を受け取るときの手続きは?


外国に住んでいる方が、日本の年金を受給するための手続(年金の裁定請求といいます)をする場合、手続先は原則として、国民年金のみに加入していた方の年金については、日本における最終住所地の市区町村役場、厚生年金に加入していた方の年金については年金事務所、共済年金に加入していた方の年金については各共済組合です。



■ 日本の年金・社会保障協定に関する問い合わせ先


・ 国民年金または厚生年金に関するお問い合せ(日本年金機構ねんきんダイヤル)


 1)(日本国内)0570-05-1165(ナビダイヤル) 


 2)(海外からのお問い合せ)+81-3-6700-1165 (http://www.nenkin.go.jp


・ 共済年金に関するお問い合せ


 加入されていた共済組合にお問い合せ下さい。


・ 社会保障協定に関するお問い合せ


 日本年金機構事業企画部国際事業グループ
 〒168-8505 東京都杉並区高井戸西3-5-24
 電話:03-5344-1100
 http://www.nenkin.go.jp/agreement/index.html




今日もお読みいただき、ありがとうございました。


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若松絵里社労士・行政書士事務所では海外在住の方の日本の年金に関する裁定請求手続き(年金の受給手続き)もお受けしております。ご希望の方はご連絡ください。


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