真っ黒のコンクリートの地平が続く
そんな風に見える

静かな夜の琵琶湖の水面

右手のとおくにはオレンジの雷を放つ雷雲

左手のとおくにも青い雷を放つ雷雲

真上にはたくさんの星

少し斜めには半欠けのおっきなお月様

じゃぶじゃぶゆっくり夜の湖につかっていく、、

ねっとりと入り込んでいく半身
波紋が静かに規則正しくはるか遠くまで、ぐわんぐわん広がっていく

頭がおかしくなりそうになるくらい
不思議な光景

波紋が

果てしなく

こちらの動きに合わせて

広がってく


ちゃぷん。

水面下は闇

腹をなでる水草に愛を感じる

全身をうねらせて
イルカをイメージしながら
両足を揃えて背骨で泳ぐ

回転
水面を水面下から眺めながら
水平に移動

水面下に映る僕の腕が四本に見える
水面下から裸眼の眼にも解る
月の光

沈む、背中を地面にくっつける
後頭部を地面にもたせかける
月光をながめる

静かだ


回転しておそらく誰もキスしたことのないであろう、湖底にキスして浮上

ゆっくりと水面から顔を出すと
再び夜の広い世界に僕は産まれる

ありったけの本を読んできたつもりだけれど

まったく言葉で説明できない
感覚がある

それを目指してここまで来たわけだけど、言葉にならぬ思いを悩む

焚き火の前で僕は平然としてる

いろいろ考えてみようとするけどもだめだ、全て忘れてしまっている。

何か、考えなくてはいけないことがあった気がする。

何か、やらなくてはいけなかったことがある気がする。

何か、やりたかったことがあった気がする。

過去が遠い
夢を語る僕はどこにいった
今、ここにあるのは、今だけだ

僕は湖に悩みを打ち明ける
言葉にならない意義をもたない悩み
それはカラダが動くことで
湖に質問する
カラダに応えることで湖は回答する

問いと応えが、イコールで会話する
ゼロになった体に水が染み込む

ただ楽しい、が果てしなく続く
photo:01



世界が見たいなぁ

そういえば

僕は「ほんとうの旅」というものをしたことがない気がする

旅をしてるようなことを言ってたら、それは全部きっと嘘だな

僕は世界に尋ねなかった
嬉しい自慢できることだけをノートに綴っていただけだ
その半分を、自分のしなかったことを
見なかったことを、出会わなかった人々を、無視した戦争たちを、無視した子供たちを、無視した差別たちを、無視した世界を。

無責任な笑顔
わがままに僕は笑う
毅然と笑える

それもいいと思ってる

でも半分がなぁー
でも半分がなぁー

森で一から根をはって生きると同時に世界の隅々にまで関係しあえるような方法は、、

湖の底を連れて
世界の舞台の真ん中で踊れるような
なにかいい方法はないものか

俺ってだれだっけなぁー
何やったっけなぁー

一生懸命尋ねることだけは
やめてはいけない気がする。

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