ブラジルに学ぶ!アジア人留学生受け入れのススメ | 南米日本人サッカー監督の挑戦

南米日本人サッカー監督の挑戦

FIFAクラブW杯2012優勝のSCコリンチャンス・パウリスタにてサッカー指導者をしています。

Jリーグ南米戦略や苦悩、面白ネタなどを綴っていきたいと思います。

世界が認めるサッカー王国で、いよいよ今年となったW杯の開催地ともなっているブラジル。


今世界で最も旬なこの国から学んだものを、日本へ向けて還元出来るというのは非常にありがたい事で感謝しています。



僕は現在ブラジル1部リーグ3位になったアトレチコ・パラナエンセのU13でアシスタントコーチをやらせていただいているのですが、今回はもう少し小さなクラブ、ブラジルの街クラブを見て感じた事を執筆させていただきます。



と、その前に、現在の日本サッカーの現状と課題について少し触れておきます。


Jリーグ開幕から20年余りが過ぎ、Jリーグ開幕前はW杯にも一度も出場出来ず、欧州で活躍したり、プロ選手すらもいなかった日本が、今では今年のW杯には当たり前の様に出場し、昨日は本田圭佑選手が世界のACミランに10番として加入するなど凄まじい成長を見せてきました。




しかし、これから更に日本サッカーが発展していきたいのならば優秀な指導者を更に増やす必要があります。


日本は欧州などに比べるとサッカー指導者がご飯を食べていける環境はまだまだ整っていないと言わざるを得ません。


1人の優秀な指導者を育てれば、生涯で少なくとも100人、多ければ数万人の選手と関わります。

しかし現実問題として、人には生活がありますから、稼げないのならサッカー指導者に優秀な人材は供給されにくく、特に街クラブの指導者からは生活が大変だという話や、貴重な収入源であるスクール生の取り合いなどのトラブルも耳にします。




しかしよくよく見てみると、"日本で"サッカーの仕事をしている人達は"日本だけで"
サッカーの仕事をしてしまう傾向があり、仕方の無い事ではありますが街クラブほどその傾向があると感じています。



多くの移民から成り立つブラジルと比べ、日本人は島国で異文化外国人苦手、"ガラパゴス"なんて形容される事もあります。



それは僕がブラジルに来てとても感じた事でした。


ブラジル人はとにかく文化とか言葉とかの違いに慣れてるんです。



日本のチームにいた時、とある欧州人コーチがいたのですが、宗教上の理由から彼だけ食事を特別なものにしたり、言葉が片言で異文化の人間なので、周りは「理解出来ない」「変な奴だ」と少し煙たがっていました。



これは日本の会社などでもよく見られると思うのですが、日本の常識に当てはまらない奴は使えないというレッテルが貼られ、外国人のマイナス部分ばかりがフォーカスされてしまいがちです。



しかしブラジル人の考えは違っていて、違う文化を喜んで受け入れ、「やったぜ!俺達とは違う文化(能力)を持った人間だから、上手く使えば仕事の範囲が倍になる!」という考えをしたりします。


例えば今まで商売の相手が2億人の人口のブラジルから、更に日本の1億人をプラス出来る可能性がある、というわけです。


しかも日本人は裕福ですから、ブラジル人から見れば下手すると市場が倍以上にも膨れ上がる感覚を持つわけです。




具体的にブラジルで行われている例を挙げましょう。


ブラジルはサッカー王国ですから、サッカー留学希望者が後を絶ちませんので、国がサッカー留学ビザというものを作っています。まずこれでビザ代が国に入ります。


街クラブも外国人を受け入れ、そこで生活の世話や練習費としてお金を貰います。


また生活していればどうしても消費しますから、地域が潤います。


また、最近は指導者の受け入れを初めようとしているクラブもあります。


あまり知られていませんがブラジルのプロクラブのスポンサーには日系企業も多いです。


僕が意外だった事は、ブラジルリーグで活躍した選手は毎年欧州やその他海外に移籍するのが通例なのですが、それを"奪われる"ではなく、ブラジル人としても「日本は高く買ってくれるから嬉しい」なんて耳にした事すらあります。




ここでタイトルにも出したキーワード、アジアが出てくるのですが、「ブラジルが海外に向けてやっている事と似たような事をアジアに向けて日本がやれるのではないか?」というのが僕が今回提唱したいテーマなのです。



最近になってからJリーグにアジア枠、東南アジア枠が出来、札幌のレコンビン選手、琉球のワンザック選手が加入して話題になりました。

日本からも岩政選手やカレンロバート選手がタイリーグに移籍。


また、僕が以前研修したカンボジアには日系チームが二つ誕生して元Jリーガーの移籍も決まったのですが、そこにはJリーグ共同トライアウトにアジアの選手、スカウトが最近になって増えたからだという背景もあります。



こういった事例もあり、近年急速に加速しているアジア進出ですが、どれもJリーグクラブの話題なんです。


アジアには親日的な国も多く、日本はアジアでは1番強い国なのですから、アジアから日本にサッカー留学したいという子供も少なからずいるのではないか?と僕は考えています。

少なくともラオス協会に研修した際には日本に行ってみたいという方がいらっしゃいました。



もちろん強さという点に関してブラジルや欧州に比べるとまだまだ魅力は足りないかも知れませんが、日本だからこその強みもやはりあって、そこで上手くやっていければ、日本でサッカーでご飯を食べていける代理人や指導者が増えると確信しています。


日本は安全で施設が素晴らしく、食事や練習にも細部まで気が利いている。
海外を回ってみて、この子はブラジルよりも日本の方が合っているのではないか?という子を見る事があります。
そこを説明してあげれば、需要はあるはずです。


東南アジアの国の人は貧しい人が多くて、海外挑戦しようという野心が足りないというのも課題ではありますが、逆に発展していない国だからこそ何かを発展させた功労者は金持ちで野心家でもあります。




日本サッカーの発展に繋がれば幸いです。
平安山