『温室デイズ』瀬尾まいこ著




【amazon bookより引用】

内容(「BOOK」データベースより)

みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。

【かんたん感想】

これまでの作品を読んで、瀬尾まいこ=ハートウォーミングという公式ができていた中、温室というタイトルに緩みを感じ手にとった本。

しかし、読み進めていくと全然ハートウォーミングじゃない。いじめ、不良、学校崩壊…残酷な感じがたくさん出てきて、心がずどーんとなる。
他の方のレビューにも「詐欺」という言葉が出てきていたほど作者のイメージが崩された感じ。
 
後半、だんだん良い方向に変化していく様子もみれるけど、あまりスッキリしない結末。
 
いじめや学校崩壊が起きている中で、加害者にも被害者にもならないためには、こんな風に行動すればいいのかと何となく知恵をもらった感じもする。キーワードは距離感?!
 
そして、周りの大人、もっとしっかりしろよー!と突っ込みたくなる。スクールサポートとして登場する吉川先生も頼りない感じで描写されていたけど、本当は力を発揮するんでしょ…?!と期待していた分(瀬尾まいこ=ハートウォーミングの公式が染み付いてるのもあって)、最後の対応は期待外れというか…論外!!  
斉藤くんの言動のほうが数段賢くて有能!!
 
そして、改めて、傾聴や話をすることって大事だし、その中で自分の心の奥底が分かるんだなと感じた。
そしてそして、やっぱり、親や家庭環境って、子どもへの影響力が半端ないんだなと痛感。

 

 

 
でも、登場人物も言っていた言葉↓その通りだと思う。
「親と子どもだって違う。いろんなものが、自分を作っていくんだから。自分は自分で変えられるでしょう?この先出会うものとか、自分が体験することとかさ、……」(本文引用)
 
色々悩むけど、何だって自分の力で変えられるとおもう。
 
この本は思春期の子どもたちやそれに関わる人たちに読んでもらいたい。もがいているモノから抜け出すヒントが載っているかもしれない。
 
また、瀬尾まいこさんのこれまでの作品と少し違う味を楽しみたい方へもオススメ。
 
 
 
【参考:瀬尾まいこさん作品の読書記録】