アルフォンソ、あっぱれ!お見事な無重力ー!ナイスだ、ジョージ!・・(爆) | オッサン君の映画DEぼーん!

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映画に愛を!
ゴジラから2001年宇宙の旅まで。
古今東西、思う存分映画を語るもんねっ!
愛と怒りをこめて、カーツ1発!
(独断偏見ごめんくさい!!やな人はスルーのコトよ!)


前回の「かぐや姫」といい、
何で今さらこんな映画撮るんだろー?と思ってました。
「他の、いらんのちゃうん」の言葉、
この映画に限り、撤回いたします。

アルフォンソ・キュアロンと言えば
ハリーポッターの「アズカバンの囚人」とか
ギレルモ・デルトロ(「パシフィックリム」)と組んだ
「バンズ・ラビリンス」なんかがあるけど
一般には知名度低いし、

個人的には「トゥモローワールド」で初めて知った監督。
何せ割と設定が「易い」感じがして(子供が生まれない世界の話)、
「適当に」観に行ったわけ。

そしたら、初っ端の爆弾シーンに始まりラストまで、
これはかつてのキューブリックや
コッポラの衝撃に匹敵する凄い作品であったのだ。
一躍私の中での「天才リスト」に登録されたのは言うまでもないが、

その後ひょんなことから「陰謀論」に触れるようになった私は、
ある社会告発映画を知ることになる、
その短編の監督がなんとキュアロンではないか。

それで先の「トゥモロー」を見直して見ると、
なんとこの映画は、現実に迫る世界を描く、
一つの警告、告発映画だったのだ。

そんな「他人とは思えない(誕生日も私と3日違い!笑)」
彼の新作は、
「何で今宇宙??」

・・正直、宇宙空間で事故が起こり、帰還する、なんて映画、
ハリウッドでは山ほど作られて来たはずで、
まさか「2001年」な表現を繰り返すはずもない、
そう思ってこれまたそれ程期待せず、
3D眼鏡を掛けて観た、

すぐに「解かった」。
あーー、これがやりたかったのか・・、
宇宙空間に小さく浮かぶシャトルから、
カメラは事故までほぼカットを割らない。

この手口は「トゥモロー」でも同じだが、
徹底的にリアルな体感映画でありながら、
キューブリックやコッポラのような「破綻」を見せない「巧さ」!

逆に言えば「天才」というのとは違うかも知れない、
知性派の職人を感じさせる(哲学を専攻してたらしいね)表現は、
ほぼたった2人しか登場させずに見事にエンターテイメントしている、
まさに「サスペンス!」。

毛利さんとの対談でも、
毛利さんもリアルさに驚いてるが、
一体どうやって撮ってるんだろう?

キャメロンとスピルバーグが絶賛してるというが、
(キャメロンは「アビス」で「海の宇宙」を撮ってる。)
二人とも「ファンタジー」や「SF」として作る人だが、
この映画は徹底的に「現実」、
その描写の「練り込み方」が圧倒的だ。

何より「あっぱれ!」と個人的に、
「映画馬鹿」として言うならば、
ここ数十年に観た映画、素晴らしい映画も勿論多い、

しかし何年ぶりだろう、
思わず画面に向かって
「そこだ!掴め!!」と身を乗り出しそうになったのは!

「カプリコン1」や「グロリア」、「ジョーズ」、
「ダイハード」を始め、
そんな風に映画と一体になっちゃうなんて、
すっかり「忘れてしまっていた」。

そう、キュアロンは、
最新のCGと、3Dをもって
一番「映画的な」原点的感覚を呼び起こしてくれたのだ。
映画とは、こうである。
飛んで来る破片なんかよけちゃったもんね!(恥)

で、サイコーなのはジョージだな(笑)。
いいキャスティングだわー、ホントに。
なんでこんないかにも「ハリウッド」な二人を起用してるんだ?
ハリウッドに魂を売ったかキュアロンよ、お前もか!

とか(笑)思ってたけど、
「トゥモロー」の地味なキャスティングではないのも、
この「たった二人」の設定を、
本当に見事に生かしてる。

何から何まで「お見事!」としか言いようがない。
そのジョージの再臨はケッサクで、
思わず笑う、そこの処理の巧さ。

ちゃんとキュアロンは、
より「可愛らしい形で」
(ファンタジーの手口など使わずに)、
人間の真実を見せた。

徹底的なリアルの中で、
「ちゃんと」サンドラブロックに、
「娘によろしく」と言わせる、
これが「人間」なのだ!
これが真実なのだ。

コッポラが「空気を撮る」と言われたが、
キュアロンは「魂を撮る」監督だ!

何より先に述べた「短編」を知る私は、
彼の真意は、ラストの「立つこと」であり、
「人類は自由だ」という宣言であり、

今、世界の大多数の人間は、
「ある勢力により完全に敗北」しているかに見える、
しかし「負けるな」と言っている、

「ここは、この地球は、私達が、動物や生物達と共に共存して生きる場所だ、私達の地球だ!」と、ラストのサンドラブロックの
逞しくセクシーな脚が語るのだ。

希望は殆ど1%に過ぎない状況であっても、
ここは我々の地球なのだ、
と圧倒的な表現によって宣言する。
「生きろ」と言って映画は終わるのだ、

実に映画的、素晴らしい90分の宇宙旅行、

さあ、もう一回行ってこようかな。