総悟夢小説*素直 | I LOVE 銀魂~夢小説~

総悟夢小説*素直



久しぶりの短編、3Z設定で沖田くんと喧嘩ばっかの女の子です!



執筆中にアメンバーのゆーみん様から

ちょっとしたリクエストもいただきまして



ご希望のシチュとセリフもねじ込んでみました!



そして諸注意。



この短編、糖度が高いです。



甘く仕上げました、どうぞ!!


―――――――――――――――――――――




素直







もし私が普通の女の子だったら、彼に見合うだろうか。



素直で、甘え上手で、よく笑って。



彼に本心を言った事なんてない。



彼に頼ったことなんてない。



彼をいつも、睨んでばかり。




「―――沖田君、帰ろ?」



「…おー」




騒がしいZ組の入り口に立つのは、そこに似つかわしくないような



華奢で可愛くて、大人しそうな女の子。



「ねぇ、今日ちょっと図書館で勉強しない?」



長い髪を耳にかけながら頬染める表情は、まるで、恋する乙女。



そんな彼女に軽く笑いかける彼。



その空間だけが、誰も踏み込めないような世界で。




――勉強、しなきゃ。



気にも留めてないようなフリをして教科書に目を落とす。



受験生なんだからしっかりしないと。



…あいつのことなんか。







―――――




「…沖田くん、どうしたの?」



「…あ、いや、なんでもねェ」



気づかれないようにそっと教室を振り向いて、



視界に入るあいつの姿に、つい足が止まりかける。



こっち向け、と心で唱えてみたところで叶う筈もない。



「…やっぱ、好きなんだ」



「っは、なに言ってんでィ」



一瞬跳ねた心臓を悟られないように、じろりと隣を睨む。



――清楚系、と謳われたこの女の心の中は



俺みたいに真っ黒なのは気づいてる。



嫉妬の色で汚くなった目で、教室にいるあいつを睨むこの女を



利用するなんて俺も相当、嫌な奴だ。



「さっさと行くぜィ、図書館」



「あ、ちょっと」



ちょっとでも嫉妬させてみたくて。



わざとこの女の手を握ってみたところで、見てるはずなんてねェけど。





――冬はやっぱり日が短けェ。



日が落ちて暗くなり始めた帰り道は、肌寒い。



「それでね、この前――」



隣で次々にだされる話題が、耳を通り過ぎていく。



適当に相槌を打っていれば、さすがに気がついたのか



「ちょっと!」と腕を掴まれた。



「…なんでィ」



「全然話聞いてないでしょ」



「聞いてらァ。あれだろィ、銀魂の映画第二弾があれ、」



「ぜんっぜん違うし!てかそれ結構前だけど!」



もー!と頬膨らまして俺の腕からするりと手を下ろす。



…そのまま、自然に指を絡められた。



「…もっと私のこと見て?」



「…見てまさァ」



「見てない。だってまだ、告白の返事もらってないし」



ああ、そうだったような。



こいつの告白をさらっと流した事はなんとなく覚えてはいるが。



俺の手をぎゅっと握って上目遣い。



…やり慣れてんのが、分かりやすいんでィ。



「…振られたんでしょ?あの子に」



「…まぁ、な」



「もう忘れなよ、見る目ないんだよきっとあの子!」



見る目、ねェ。



いや、見る目はあんだろィ。



俺なんかをちゃんと振ることができるくらいには、しっかりしてらァ。



「ね、やっぱり今日、沖田くん家行きたい」



「…やっぱ俺、学校戻りまさァ」



「え?な、なんで、」



「お前なら他に頼る男いんだろィ、じゃ」



ぽん、と頭に手をのせてそのまま背を向けた。



後ろから聞える抗議の声なんて聞えないフリ。



――やっぱ、このままあいつがいつか他の誰かに



頼って、甘えて、素直になったりしたら。



多分きっと、絶対に我慢なんてできねェから。



走って走って学校まで道を戻る。



夕日が沈みかけていた。








――――「…うわ、もう真っ暗」



英単語に夢中になっていれば、気づけば外は夜だった。



Z組のみんなももう誰もいなくなっていて、



静かになった教室に私1人、寂しく残っていた。



そろそろ帰らないと、と教科書を鞄にしまう。



ふと視線の先に入った机は、神楽ちゃんの机。



ぎっしりと置き勉されてるその机に思わず苦笑い。



神楽ちゃんったら、一体卒業したらどうするつもりなんだろうか。



そこまで考えて、ふと思う。



…卒業したら、あいつはどうするんだろう。





『…そろそろ卒業だし、言うけどねィ』



あの日もこんな静かな教室だった。



いつも言い合いばかりしてた私達にしては、真剣な雰囲気で。



いつものように『なによ、』なんて冷たく返せば



あいつは私をまっすぐに見つめて、そして薄く微笑んだ。



『…好きでさァ』



――何も言い返せなくて、私をからかう冗談にしか思えなくて



だってあいつが、そんなことを言うなんて思えなかったから。



『そんな、簡単な女じゃないから』



いつものように、そうやって強気で返してしまった。



喉元まででかかった、“私も”という文字は



いらないプライドの壁で閉じ込められて。



あーあ、私何言ってんの、訳が分からない。



そうは分かっててももう弁解なんて出来なくて、



そのまま教室を飛び出してしまった。



――それから、奴とは距離を置いてしまって。



一方的に避けてしまっていた。



そしたらいつのまにか奴の隣には、清楚な女の子がいつもいるようになって。



噂では、もうすぐ付き合うだとか。



…勝手に、すればいい。



「…私より、百倍良い子そうだし」



ぽつりと呟けば、無性に虚しくなった。



遠くから聞える野球部の声、吹奏楽部の音。



こんな惨めなまま、私の学校生活は終るんだなぁ~なんて。



鞄を持ち上げて、席を立った――時だった。




「…は、やっぱり、まだ居やがった」



「え…そ、総悟?」



――できれば今、一番会いたくなかった人が目の前にいた。



よりにもよって、こんなぐちゃぐちゃした気持ちの時に…!



少し肩で息をしている総悟は、走ってきたのか「あちー」と言いながら教室に入ってくる。



なんで?あの子と帰ったはずじゃ…あ、忘れ物?とか?



「あ、えっと…じゃ、私帰るから」



何も話すことなんてない、はず。



マフラーを首に巻きつけて、顔を隠すようにうつむいて隣を通り過ぎる。



…つもり、が。



「うっ…!」



「待ちやがれィ」



こいつ…!!!



通り過ぎようとした私のマフラーをぐいっと引っ張った総悟。



思わずつんのめって変な声がでた。



有り得ない!やっぱこいつって…!!



「ひ、ひどい!苦しかったんだけど!!」



「いや、だって帰ろうとしやがるから」



「べ、別に私が帰るのなんて自由でしょ!」



「それじゃ、俺がわざわざ戻って来た意味ねェだろィ」



「なにっ…て、え?」



めんどくさそうに自分の頭を掻いて、私から目をそらす総悟。



聞き間違いではないはず。



わざわざ戻って来た。って、今言ったよね?



本当に訳が分からなくなってきて眉を寄せる。



ってことは総悟は私に用があって戻ってきたって…ことだよね?



「…私に、なにか」



目をそらしながら、マフラーに顔をうずめてそう呟く。



あの時以来の2人きり、心臓がうるさい。



顔を見られるのが恥ずかしくてマフラーだけが頼り。



よかった、冬で。なんてことを呑気に考えていれば、総悟はゆっくり私を見た。



「……好きでさァ」



「………はぁっ!?」



思わずマフラーから顔をあげて、口を開けてしまった。



なに、を、いきなり…!?



一気に真っ赤になっていく私とは裏腹に



総悟は真面目な顔でこちらを見下ろしていて。



「この前の、お前あまり信用してなさそうだったろィ」



「え?えと、いや、その」



「俺が誰にでも簡単に言うとでも思ったんだろィ?」



それは、その…



何も言い返せなくなって口ごもる。



確かに私をからかう冗談だってそう、思った



私はそんな簡単に騙されないって、思った



「じゃあ、お前ェが信じるまで言いまさァ」



「信じるまで、って…」



「好きでさァ…」



今度は囁くように、そう言って。



するりと優しく私の頬を撫でた。



それからゆっくりと近づいて、あまりの近さに思わず目を瞑る。



そうすれば、ちゅ、と額に柔らかい感触。



「ちょっ…!!」



「これくらいなら許されるだろィ」



い、い、今、おでこにちゅーされた…!!!



顔から火がでそうな勢いで体温が上がる。



慌てて自分のおでこを抑えれば、意地悪く笑われた。



「こんなこと、お前以外にはしたくなんねェ」



そう言いながら、必死におでこをおさえていた私の手は簡単に取り払われてしまって。



顔の熱い私に容赦なく、また額にキスをされた。



「ちょっ…と、あのっ」



「ん?なに、足りねェって?」



「ちがっ…!」



心臓、痛い!うるさい!



鼻先が触れる距離で、総悟は目を細めて笑って。



今度は焦る私の頬に、唇を落とした。



「俺は、こんなんじゃ足りねェけど」



耳元で低く囁いた声が、全身に響く。



もう返す言葉がなくて、ただただ唇を噛みしめて奴を睨み上げる。



息苦しくて、頬が熱くて、全部、こいつのせい…!!



睨む私と、総悟の視線がまた交わる。



また馬鹿にしたみたいに笑われる…のかと思いきや、違った。



一瞬目を見開いてから、困ったように顔をしかめて。



耳が、赤く見えた。



「――んな赤い顔見せられたら、挑発としか思えねぇぜィ」



するりと、頬を撫でた指は私の唇に触れる。



金縛りにあったみたいに動けなくなった私は、ただただ見上げるばかり。



熱をもった目にじっと見つめられて、総悟の親指はゆっくり私の唇をなぞって。



「めちゃくちゃにしてやりましょうか?」



ふ、と口角を上げた総悟はそう言ってゆっくりと、私に近づいた。



頭を引き寄せられて、総悟との距離がだんだんと縮まる。



吐息が重なって、鼻先が触れそうになって、あいつの顔が傾いて。



このままじゃっ…――!!




「す、すとーっぷ!!ストップ!ストップ!!!」



やっと動いた体はなんとかギリギリで総悟の肩を押し返していた。



緊張の糸がほどけて思わず肩で息をする。



危なかった。あのまま黙ってたら私きっと…あああ!恥ずかしい!!



未だにばくばくうるさい心臓を落ち着かせるように、ゆっくり深呼吸をする。



そんな私に呆れたように総悟は「なんでィ」と口を尖らせた。



「欲しがりな顔したのおめぇだぜィ?」



「誰がそんな顔するかっ!!」



心底残念そうな顔をした総悟は、むっとした表情で顔をそらした。



…別に、嫌だとかそういうのじゃなくて。



ただ想いが通じ合ったわけでもないのにこんなことをするのは、



やっぱりおかしいと思っただけで…!



「…こ、こういうのは、付き合ってからするべきだと、」



「俺は付き合って欲しいんですけどねィ。誰かさんが嫌がるもんで」



「い、嫌がってなんかっ…!」



「…嫌がって、ないんですかィ?」



あ、と思わず自分の口を押さえた。



思わず本音がでた、まずい。



キョトンと目を見開いて私を見る総悟から目をそらす。



いつものくせでつい言い返してしまったけど…



ほんとは、付き合いたい。



素直に好きって言いたい。



けど、どうやって言ったらいいか分からない。



総悟の本気は充分伝わった。簡単なものじゃないっていうのは伝わった。



…あとはただ、私が素直になるだけっていうのは分かってはいるけど…!



「い、嫌じゃ、ない」



「じゃあ?嫌じゃなけりゃ、なんでィ」



「えと、その…」



「俺のことどう思ってるんでさァ」



「総悟のこと、は…す、」



そこまで言って、総悟と目が合う。



す、の文字まで言った私に、総悟はにやりと口角を上げて。



「す?で、次はなんでィ」



まるで分かりきったかのようににやにやと笑って続きを煽った。



「な、わ、わかってるんじゃん!!むかつく!」



「全然分かんねェや~ちゃんと言ってくんねェと」



「棒読みじゃんか!」



怒る私に総悟はけらけらと笑って、「はいはい」となだめるように私に腕を伸ばした。



そのままふわりと引き寄せられて、両腕が私の背中に回る。



「俺は、好きでさァ」



私の耳元に顔をよせた総悟は、甘くそう囁いた。



また全身が熱くなって、心臓がうるさくなる。



「聞かせてくだせェ。…お前は?」



――そんな風に、優しい声色で言われたら、困る。



そっと腕をあげて、総悟の制服を握り締めた。



これがきっと初めて私が彼に見せる、素直、だ。




「……好き」




―――かすれた声で囁いた。



これ以上大きい声でなんて絶対に無理だ。無理、絶対。



恥ずかしくて顔をあいつの胸板にうずめれば、優しく頭をなでられた。



「やっと言えたねィ」



「…うるさい」



くすくすと笑う声が頭上から聞える。



余裕そうにそうやって笑ってるみたいだけど、



私が胸に顔をうずめていることを忘れないでほしい。



…さっきから鼓動が速いよ、なんて。いつ言ってやろうか。



すっと私の背中を抱きしめていたあいつの腕が解ける。



つられるように私も離れれば、総悟は顔を傾けた。



「…付き合ったら、良いんだろィ?」



少し頬の赤い総悟はそう言って、私の頬を撫でた。



恥ずかしさに目をそらした私の両頬を掴んで



降ってきたのは――甘すぎる、キス。



触れ合ったまま、数秒間。



少し離れて目が合って、もう一度、ちゅっと音が響く。



本当に大事にしてるみたいなそれに、もう何も考えられなくなる。



「…悪ィ、もう少しだけ、」



「へ?…んっ…ん」



甘い眼差しにくらくらしていたのも、束の間。



今度は啄ばむように、何度もキスをされて



総悟と私の間に一ミリも隙間なんてなくて



「んぅっ…ん、はっ…ちょ、んん…!」



息つく暇もなく、すぐに口を塞がれる。



ちょっとは、しゃべらせろ…!!



「んっ…!!はぁっ!あ、あのねぇ!!」



夢中になってる総悟の胸板を思いっきり叩いて抗議を示せば



なんとか唇を離してくれた。


顔が熱すぎる…!!



「いや~夢中になっちゃいやした」



「なっちゃいやしたじゃないよ!あのね、仮にもさっき付き合ったばっかでその、これは、」



「はいはい。ほら、手始めに図書館デートでもしようぜィ」



「ちょ、ちゃんと聞きなさいよ!」




子供をなだめるように私の頭をなでて、総悟は私の手を引いた。



やっぱこいつ、むかつく…!!



今後一切、素直になんかなってやるもんか…!!



上機嫌で廊下を歩く総悟の背中を睨みつけ、心の中でそう決めた。





素直で、甘え上手で、よく笑って?



そんな子になんて、ならなくたっていい。




『好きでさァ』




そのままの私を、そう言ってくれるんなら、ね。







fin.

―――――――――――――――――――――





あっっっま!甘い!



いちゃつきすぎて画面を壊したくなりませんでした?え



久しぶりにこんなん書いたな~と恥ずかしくなりました…。



リクエストくださったゆーみん様、どうでした?(/ω\)笑



ご希望のシチュ(受験生)という設定がかなり薄れてる気はしますが…



そしてご希望のあのセリフもなんか無理矢理ねじ込んでる感はありますが…



楽しんでいただけてたら嬉しいですっ!!!




というわけで、久しぶりの短編でした~!



読んでくださった皆様、ありがとうございました^^!



ポチッとしていただけると幸いです(/ω\)!



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