総悟夢小説*スキ
久しぶりに短編です(*^_^*)
3Z設定で、とってもショート。
さくっと読めます。
天然な後輩×沖田先輩
どうぞ~!!
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スキ
沖田先輩には、彼女がいます。
とっても綺麗で優しくて、素敵な人が。
私なんか到底、敵いもしないってことは分かってます。
「おう、何してんでィ?こんなとこで」
---今日だってそう、私はただの、後輩なのです。
「...日向ぼっこです。暖かいので」
ぽかぽかの陽気。やっと春がきた。
静かな屋上で体育座りをして空を見ていれば、
後ろから聞こえた先輩の声。
どきどき鳴りだした心臓の音を悟られない様に、
目をそらしてまた空を見上げる。
「授業さぼって日向ぼっこかィ。普段は真面目なくせに、やっぱ変な奴でィ」
ぽん、と頭に感じる暖かい重み。
頭を撫でられたと気づいた時には、すぐにその手は離れていた。
「沖田先輩こそ、こんなところで何してるんですか」
すとん、と先輩は私の横に腰をおろした。
隣から風にのって香る柔軟剤の匂いが心地よい。好きだな、この香り。
「んー...なんか、お前がいる気がしてねィ。そしたらほんとに居やがった」
ふっと笑いながらこちらを見た沖田先輩。思わず、目を丸くして私も彼を見る。
...そんなことを言われたら、思い上がってしまう。先輩に彼女がいることを、忘れてしまう。
忘れて、口から零れてしまいそうになる。
言いたくて言いたくて、でも言えない、コトバが。
「...それは、すごいですね。先輩エスパーです」
「お前が分かりやすいんでさァ」
先輩、好きです。
好きで、たまりません。
できれば、先輩の彼女になりたかったです。
「...沖田先輩」
「なんでィ」
「...私、生まれ変わったら、先輩の彼女になりたいです」
ーー今世はなれっこないので、来世に期待します。
来世はもっと素敵な人になれるように
今を幸せに生きて、幸せに死んで、幸せに生まれ変わって
そしたら、先輩の彼女になれるでしょうか。
「...ほんと、欲のねぇ奴でィ」
ーー沖田先輩にしては、低い声だった。
ゆっくり隣を見れば、交わる視線。
少し悲しげな目をした先輩は、そっとこちらに手を伸ばした。
「...こっちは、欲だらけだってのに、」
す、と前髪をはらって、そのまま頬を撫でる。
先輩に触れられている部分が、熱い。
沖田先輩は、なにを言いたいのだろう。
私なんて、欲張りなのに。
先輩の来世を欲しがるほど、欲張りなのに。
「沖田せんぱ、」
「...俺は、今がいいでさァ」
まっすぐ、まっすぐ目を見つめて、
沖田先輩が囁いたコトバに、瞬きをする。
「こっちはお前で頭いっぱいで振り回されてんでィ。分かってんのか、おい」
むっとした表情で私を見る先輩は、私の頬を軽くつねった。
「いてて...えと、あの、えっと、」
ああ、何を言ったらいいか分からない。
頭がごちゃごちゃして、分からない。
「...責任取りやがれィ」
ーーー最後の先輩のささやき。
唇に熱を感じたのは、その、3秒後。
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なにこの終わり方!
これ、続きます(笑)