モテない野郎たち連合(1) | 千切れ雲

千切れ雲

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これは大学1年の時の話。



入学して半年も経つと、似たような年齢であることから、あらかた気心も知れてくる。




私は男女比半々のグループというか、そんなのとツルんでいたが、その中にE原(仮名)という、私と同い年で、やはり浪人を経験した野郎がいた。






この野郎にカノジョができたコトから端を発する。






相手は学部は同じだが所属は会計科のSちゃん。


我々より1つ年下の彼女は現代(か?)でいうところの、モーニング娘。・安倍なつみみたいな顔立ち。


身長は155くらいで、大きくはないが形の良いチチを持つ、なかなかカワイらしい女の子である。



Sちゃんは今まで1人だか2人だかと交際したことがあるようだが、E原にとってSちゃんは初カノジョということ。



双方とも同じ学年ということで一般過程はダブるから、同じ教室で席も並んで講義を受けている。



受けてるだけなら良いのだが、もうまったくの2人の世界である。



我々もはじめの内は微笑ましく見ていたのだが、休み時間や帰りがけには当然ベタベタ。





彼女が休みだったり別講義だったりすると、ノロケるノロケる。





こうなるとコヤツらがハナに突いてくるもんである。



何しろ進学のためにカレシ・カノジョを郷里に置いてきた、別れてきたなんてのもいる。



私をはじめとする、高校時代にはカレシ・カノジョなんていない“不毛な青春”を過ごしたヤツも少なからずいる。



休み時間、そんなやっかみ半分でいつものメンバーが集まり、妙にヌルくて“濃い紅茶”みたいな、売店にある自販機のコーヒーをすすっていたときのことである。




ニコニコした顔でE原がやってきたので、とりあえずやっかみ話は終了させ、もう少し先ではあるが、クリスマスには誰かの一人暮らしのヤツの部屋で宴会を、という話に切り替えた。



「あ、それクリスマス当日なら俺、パスね。

Sと過ごす予定だから(本当に言った)」













いきなりE原が発射しやがった…。














そんなもんは言われんでも、ここにいる連中、全員わかっとるわ!!













「俺も去年までは男同士でコンビニの前でタムロしてさぁ~。

でも今年はSがいるからなぁ~(笑)

じゃあ詳しく決まったら教えてね(本当に言った)」



そう言い残して去っていくE原の背中を眺めながら、私も含め、皆のコメカミに青筋が浮かんできているのがわかる。



「…アイツ、この間まで彼女のこと“Sちゃん”て呼んでなかったか?」


「そう言われてみればそうだなぁ…」


「しかもアイツ、最近はSちゃんに何かカッコつけてないか?

なんかこう…軽くあしらってるっていうか…」


言われてみればと、各自が思い当たる節がいろいろある。

またSちゃんもミョーに甘えたしぐさをするようになっている気がする…。











「…あいつら…ヤッたな…」













メンバーの半数以上はDo-Tで、キスはおろか、女の子の手を握ったのは体育の授業や文化祭の後夜祭で行われるフォークダンスくらいでしかないというヤツラの集まり。



リーダー格のO村がポツリと吐いた一言に、真相はともかくとして“ヤリやがった”との意見統一がなされた。






これは『天誅』を喰らわせなければなるまい…。







全員の頭の中でほぼ同時にこれを思い浮かべ、宴会とドライブ以外では初めて、野郎8人の合同作戦が始まった。



(続く)