翌日の講義開始前、我々はさっそくの鳩首会議を執り行った。
まず、別れちゃったら仕方がないが、別れさせるのが目的ではないので、別れの原因となるようなことは×。
Sちゃんには罪はない(E原にヤラれちゃったんだし)ので、ダメージを与えるのは極力E原のみとする。
全般的に笑えるものとする。
これらをコンセプトとして作戦を練るのだが、あくまでもE原の思い上がりを叩くのだから、ここはドッキリカメラ的なコトをしてやることとなった。
んで、E原はどーでもイイのだが、Sちゃんはクリスマスを楽しみにしているだろうから、その前の作戦とした。
まずは調査。
Sちゃんは目黒区にある実家住まいだが、E原は世田谷にある、学校が民間のアパートを借り上げて学生寮扱いにしている所に住んでいる。
外でデートしても、E原はそんなに裕福ではない(だから寮に入れた)ので、恐らくは野郎の部屋で、とかになるだろう。
目黒区と世田谷区の寮なら遠くはないから、日曜日なんかは彼女が部屋に来るハズである。
そこで煮えたぎるハラワタを抑え、努めて冷静に聞く。
「Sちゃん、手料理とか作ってくれんの?」
「おお、そうなんだよ。
土曜の夜とか日曜日の朝とかにさぁ~…」
と、何のために聞かれているかも知らず、やれシチューが美味かったの、アイツの作った肉じゃがは最高だの、こっちが聞いてもいないことを嬉しそうに話す。
血圧が急上昇していくのを感じながら、これに耐えて聞いていく。
それによると、彼女は土曜の夜か日曜日に必ず来て掃除や洗濯、料理なんかをしていくとのこと。
しかし平日にE原の部屋を訪ねると、彼女のものらしき女の子を感じさせるものは特に見当たらない。
こうなると彼女が日曜日の朝、E原の部屋に来るタイミングを狙うのがイイようだ。
そして、そのタイミングはすぐにやってきた。
その週は、彼女にバイトが入っているので土曜の夜はダメなようで
「今週は日曜日の朝に行くね」
と彼女が言っているのをキャッチした。
まだ火曜日だから仕込むには十分で、まずはE原の部屋の鍵を手に入れる手筈を取る。
とは言え、本物の鍵は入手不能なので、カバンにキーホルダーと共にくくり付けられていた鍵の型を取った。
型の取り方はナイショ(笑)
んで2部(夜間部)の学生はサラリーマンだったり商店主の子息だったり、家の経済的な事情だったりと、昼間はアルバイトも含めて働いている学生ばかりである。
今回の連合軍の中に、実家が金物屋のヤツがいたため、こやつに型を渡し、合カギを作らせた。
続いてE原を、まずは“天国”へと導くエサの手配である。
やはり普段、我々がツルんでいる女の子にさりげなく聞くと
「ったく…カノジョが出来て嬉しいのはわかるけどさぁ~…。
いちいちノロケるなっていうか、自慢すんじゃないって感じだよね~…(本当に言った)」
と、やはりE原に“天誅”を加えてやりたいと思っていることが判明した。
コイツぁイケるぜ…。
そのため一番ノリが良く、E原とは接触が少ないコに計画を披露して協力を要請すると
「やる」
と快諾(笑)
この他、各種小道具をそれぞれが調達して、作戦当日を迎えた。
(続く)