役者はその情景なり感情なりを、どれだけ正確に伝えられるかで、演技の深みが変わってくる。


たった一言のセリフ
「深い深い森の中」


このセリフからどのような情景をイメージして、
どう表現するかによって、聞いている側のイメージも大きく違ってくる。


薄日が微かに入る昼の情景なのか?
月明かりすらも入らない暗黒の情景なのか?
吐く息が白くなるくらいの凍てつく情景なのか?
蒸し暑いわけではないけど、ジメっとした空気が肌を通過する情景なのか?


それをきちんと細部までイメージして、それが聞いている側に正確かつ細部まで伝えられるか?


たった一言で簡単なように思えるけど、これは相当難しいんだな。

ポイントは「細部まで」ってところにある。


セリフや声のトーン、スピード等のテクニカル的な要素によって、
イメージの全体像というのは、案外簡単に伝わるけど、
「細部まで」は、セリフを語る者が細部までイメージ出来て、
ちゃんと伝えられるかにかかってくる。



たった一言をあなどるなかれ。

芝居は、この一言一言の集合体がセリフになるのであって、
一言の表現が出来ないのに、情景だけではなく感情まで加わる芝居のセリフが
語れるわけがないのだから。



ってなかんじで、今日はこのへんで!