『風立ちぬ』(2013年) | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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私は見た派!

「サバの骨の美しい曲線(13.7/23・劇場)」
ジャンル:青春ドラマ
製作年・国:2013年/日本
配給:東宝
上映時間:126分
公式サイト:http://www.kazetachinu.jp/
公開日:2013年7月20日(土)
監督:宮崎駿

風立ちぬ・チラシ
風立ちぬ・チラシ裏 
京都市内のシネコンにて鑑賞。

率直な感想と致しましては、
『崖の上のポニョ』から5年。待望の新作は、これまでのファミリー向けのファンタジーっぽい映画ではなく、まさに今の時代を捉えたような、完全なる「大人向けのアニメ」でしたね。

風立ちぬ・堀越二郎


公開前の4分半の特別映像の予告編の完成度があまりにも高かったので、かなり期待をして鑑賞に臨んだためなのか、あいにくと、私の場合には、泣くまでには至りませんでしたね。

時代は1920年から1930年代。
貧困、不景気、病気の蔓延に、大震災にまで見舞われた、大正から昭和へと元号が移り行く時代。
ゼロ戦の設計主任だった堀越二郎の半生に、同時代を生きた堀辰雄の小説「風立ちぬ」の中の菜穂子という女性との恋愛ドラマの要素を盛り込んだ作品であり、初めて実在の人物を描いた作品ではありながらも、フィクション的な要素を多大に混ぜ込んで、新たなる堀越二郎像を作り上げた映画でしたね。

風立ちぬ・堀越二郎少年
 
お話しの流れ的には、
幼い頃より、飛行機に対して大きな夢を抱く少年だった堀越二郎は、イタリアの航空機の設計技師のカプローニとの交流を夢想するのでした。

風立ちぬ・堀越二郎とカプローニ

それから東大に進学した二郎は、東大の学舎に向かう列車の中で、里見菜穂子と出会い、その際、関東大震災にも遭遇するのでした。

予告編でも再三に亘り、流されてはいましたが、この際の、関東大震災のデフォルメなされた描写が、陰惨でもなく、その凄まじさを、巧く表していて、素晴らしく良かったですね。

その後、二郎は、航空機の設計技師として、軍需産業の中に入り、戦闘機の設計を任されることとなるのでしたが、日本のエンジン技術の乏しさも手伝い、テスト飛行でも失敗の繰り返しでした。

そんな失意の最中、軽井沢にて里見菜穂子との再会を果たし、運命的な恋に落ちる二人でしたが、ただ、その菜穂子は、当時「死に至る病」と畏れられていた「結核病」だったのでしたが・・・。
といったストーリー展開の映画でした。

風立ちぬ・堀越二郎と里見奈穂子
 
これまでの宮崎アニメにも常々共通する部分ですが、あらゆる風の描写が、すごく効果的に用いられており、アニメーションや背景美術も、実に、素晴らしかったですね。

また、ドイツのユンカース社の視察の際の大型爆撃機の翼の中の動力部分の描写をはじめ、細部に亘り、航空機の描写も素晴らしかったですね。

風立ちぬ・里見奈穂子2

映画では、堀越二郎の設計技師としての仕事ぶりのパートと、夢の中でのイタリアの航空機の設計技師・カプローニとの交流のパート、そして、里見菜穂子との恋模様のパートの、大きく3つの世界観の映像が織り成す作品になってはいましたが、よく上手くまとめあげてはいたと思います。

新しい飛行機を作り上げる夢と、その才能を持ちながらも、戦争という時代の渦に巻き込まれて、ゼロ戦という非常に高性能な武器を作り上げることになった青年・堀越二郎の物語ではありますが、この作品は、想像しますには、ゼロ戦の誕生秘話と言うよりも、むしろ反戦的な意味合いを込めた気質の映画かとは思われますが、その割りには、ゼロ戦を誕生させた功罪についての、「罪」の部分に苦しむ堀越二郎の描写が足りなかったのが、少々物足りなく感じたのは私だけでしょうか??

それと、堀越二郎役の声優に、庵野秀明さんを起用した点も、二郎の若き青年時代の声にも拘わらず、庵野秀明さんの非常に年老いた声質で、その点が当初は気になって仕方がなかったですね。

観始めてから、聴き慣れてくると、そんなにも気にはならなくはなりましたが、この声優起用は、やはり疑問でしたね。

里見菜穂子役の滝本美織さんや、同僚の本庄役の西島秀俊さんや、カプローニ役の野村萬斎さんなどをはじめ他の声優担当の俳優陣は頑張っていたにも拘わらず、際立って違和感がありましたね。

私的な評価と致しましては、
上映時間の尺の問題もありながらも、堀越二郎の設計技師としての仕事ぶりのパートと、夢の中でのイタリアの航空機の設計技師・カプローニとの交流のパート、そして、里見菜穂子との恋模様のパートの、大きく3つの世界観の映像が織り成す作品になってはいながらも、よく上手くまとめあげており、あらゆる風や雲を用いたアニメーション描写も非常に素晴らしくて良かったとは思いました。

ですが、公開前の4分半の特別映像の完成度があまりにも高くて期待値のハードルをかなり高くして鑑賞に臨んだためなのか、また、たしかに里見菜穂子の抱える結核病など、哀しいお話しの要素もありはしましたが、残念ながらも、私の場合には、泣くまでには至りませんでした。

また、たしかに清々しい映画ではありましたが、一方では、あの終わり方が余韻を残すという見方もあるかも知れないですが、私の場合には、イマイチ中途半端な終わり方のような感じがしてしまいましたね。

また、私としましては、反戦的気質のある映画でしたらば、最後には、ゼロ戦の誕生による功罪における悲劇的な「罪」の部分に苦しむ堀越二郎の描写も盛り込んで欲しかったですね。

それに、やはり堀越二郎役の庵野秀明さんの声優起用に疑問を持たざるを得なかったですね。

ですが、それらの点を差し引きましても、満点には至らずとも、★★★★(80点)の高評価に値する、大人向けのアニメ映画に上手く仕上がっていたとは思いましたね。

決して、ファミリー向けの映画ではありませんが、一定以上の年齢になられた御方々には、是非とも観ていただきたいお勧め作品ですね。

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●映画『風立ちぬ』劇場用・4分半特別映像の予告編


●映画主題歌:荒井由実『ひこうき雲』 MusicClip


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