一年前に購入した丸島和洋『戦国大名の外交』(講談社選書メチエ、2013年)を再読。

戦国大名の「外交」 (講談社選書メチエ)/講談社
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戦国期の知識がある程度積み上がってきたので、去年よりも興味深く読めます。

面白かったのは、第六章「外交の交渉ルート」。積年の宿敵同士であった上杉謙信と北条氏の同盟「越相一和」を巡る外交交渉を、手筋(外交ルート)の乱立と集約といいう観点から緻密に追っていて、外交の虚々実々の駆け引きを味わうことができます。

謙信と北条氏の同盟交渉の手筋(外交ルート)として、浮かび上がる、北条氏邦ルートと北条氏照ルートの競合。
氏邦ルートに一本化した後の氏照に対する氏康の気遣い。外交ルートの本流から外れた氏照の書状を敢えて関東味方衆に回付した謙信の策略。
同盟締結の推進役であった氏康が、病に臥せて以降の形成の変化。主導権を父から奪う氏政。権威失墜する氏邦に対して、発言力を得る氏照。

外からは一枚岩に見える北条氏内部の確執や、謙信の意外な策士ぶりが、一次史料から解き明かされていくのは、なかなかに刺激的です。

現代にも通る形成の読み方、“乱世”の身の処し方を学べる書籍と言えるかもしれません。

※ 我らが太田資正も、それなりに登場します。

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