先週末、第27回折紙探偵団コンベンションがオンラインで開催され、盛況のうちに終了しました。ATCのイベントにもたくさんのご参加をいただきました。カード交換やイベントにご参加いただいた皆様、ありがとうございます。
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2020年8月締切の「Kawaii」をご紹介予定でしたが、先に現在の2022年8月開催「夏色」のカードをご紹介させていただいております。時系列が前後してしまいますが、ご容赦ください。
OrigamiATCとは
ATCとは「アーティスト・トレーディング・カード」の略。2.5×3.5インチ(64×89mm)の大きさで、好きなように表現して、交換したりコレクションしたりして楽しむカードの事です。
折り紙を使ったATCを、私たちはOrigamiATC(オリガミ・エーティーシー)と呼んでいます。
2022年8月の交換会のお知らせ
・毎偶数月の交換会は、現在も郵送参加のみで開催しています。
・次回2022年12月の交換会のテーマは「暖」です。
・郵送参加の締め切りは12月15日(木)必着です。
・どなたでもご参加いただけます。詳細は下記をご覧ください。
==>> OrigamiATC交換会参加要項(2022年11月2日更新)
※次回も郵送参加のみ受け付けます。
2022年8月交換会のカードのご紹介
テーマ:夏色
*第3回目*
第1回目はこちら
https://ameblo.jp/hanako-origami/entry-12755549880.html
第2回目はこちら
https://ameblo.jp/hanako-origami/entry-12772532626.html
2022年8月18日締切の交換会には、42人にご参加いただきました。ありがとうございます。
今回は、横構図のカードご紹介(前編)です。
以下敬称略。
左)
タイトル=さわやかに! 作者=美々名草 折り紙作品=シークヮーサー・ハイビスカス:自作
中央)
タイトル=オレンジドレス 作者=しまよ 折り紙作品=ドレス:作者未詳、麦わら帽子:YouTubeチャンネル「おりがみの時間」より
右)
タイトル=森の風景(緑色) 作者=オ・ギョンヘ 折り紙作品=木・山:自作
美々名草さんの作品は、「さわやかに!」というタイトル通り柑橘系の香りがしそうなさわやかさです。シークヮーサーの断面に貼られたラインストーンが、種のようにも見え、酸っぱい飛沫のようにも見え。また、ヘタ部分の真上アングルを表現したのがユニークですね。素材感にもこだわり、背景のアミアミや木目模様が南国ムードを演出しています。
オレンジドレスは、背景の緑とのコントラストが鮮やかです。白いレースの縁取りがとってもガーリー。帽子のテクスチャも効いています。前出のシークヮーサーも緑と赤みのある黄色ですが、こちらはドレスや背景に適度な白が入ってきて、違ったさわやかさに溢れています。
※ドレスは世界中で折られていて、アレンジも多く出回り作者が分からなくなっていますが、創作されたのはそんなに昔ではないはずです。情報をお持ちの方はお知らせください。しまよさんに書いていただいた出典は、他人の作品を無許可で掲載しているサイトなので非掲載とさせていただきました。ご了承ください。
オ・ギョンヘさんは、夏色を「緑」と決めて、とてもストイックな配色と構成でまとめています。背景の沈んだ青緑色の上に、鮮やかな緑の山や黄緑の木を乗せるといった、進出色と後退色を使い分けをして、森の奥行きを表現しています。
左)
タイトル=夏の海 作者=ぽんぽこ 折り紙作品=汽船:伝承、ヨット:山口真
中央下)
タイトル=きもだめし 作者=ミキティ 折り紙作品=おばけ・お墓・卒塔婆:自作
右)
タイトル=金魚すくい 作者=キャベツ 折り紙作品=ゆかた:プチアート工房・作、はっぴ:おりがみくらぶ・作、おわん:自作
ぽんぽこさんのカードは、南国風の空より青い色の海の上を、汽船とヨットが進んでいきます。「広い海で涼しい風を受けたいと思い作りました」とのこと。ぽんぽこさんにとっての「夏色」は、海でしょうか、それとも風でしょうか。
ミキティさんは、「夏色→涼しい色→納涼→肝試し」と連想してこの風景に辿り着いたそうです。「夏色→涼しい色」は、背景の吸い込まれそうな紺色でしょうか。地面は、紙を手でちぎって少しシワにするなど工夫が見られ、オリジナルのおばけはコロッとしていてユーモラスです。
キャベツさんは「夜の花火」を「夏色」に選んだそうです。花火を背景に、お祭りの夜店の風景が描かれています。綿棒を頭にしたり、打ち上がっている花火はキラキラの水引を貼り込んだり、マステで金魚すくいのプールを表現したり、金魚すくいのおっちゃんのハチマキは毛糸で表現したりと工夫がいっぱいです。
左)
タイトル=ヨット 作者=寺村たま子 折り紙作品=ヨット:斎藤静夫・作
中央)
タイトル=夏 翻れ 作者=Pino 折り紙作品=ラガーシャツ:青木良・作
右)
タイトル=イエロー 作者=ひろりん 折り紙作品=ひまわり:作者未詳・作
寺村さんはいつものスタイルで、唄と折り紙を組み合わせています。光沢のある水色(寺村さんのイメージの海の色でしょうか)の上に、色んな形のヨットがちりばめられていて、画面に動きがあります。寺村さんはすごく初期からご参加いただいており、参加回数を毎回書いていらっしゃるのですが、今回が52回目とのことです!
Pinoさんはいつもコンセプトにこだわっています。今回は、夏色のシャツが風に揺れる場面と、中島みゆきの「あたいの夏休み」の一節から連想して制作されたとのこと。抽象的な模様の背景は、菓子箱から切り取ったもので、シャツの色は背景に合わせて選んだそうです。ラガーシャツなので、スポーツに熱中してふと顔を上げると爽やかな夏風が吹いてきた、という場面が浮かびます。
ひろりんさんは、空にひまわりの黄色が映える風景を「夏色」と解釈されました。空は空でも、よくある真っ青な色ではなく少し赤みがかかっているのは、夕暮れでしょうか、それとも朝焼けでしょうか。夏の色鮮やかな1日が終わるちょっとした寂しさ、逆にこれからギラギラな夏の日差しに変わる前の期待感、どちらにも解釈できそうです。
タイトル=ビーチサイド 作者=Sophy 折り紙作品=ネコさん、カニさん・自作
Sophyさんのカードは、カニの赤が効いていて、ネコさんのビーチベッドのカラーバリエーションがとてもカラフルです。元々箸置きとして作られたというネコさんは、ボーダーシャツ(水着?)とネックレスがチャラいキャラクターを思わせて、夏の海によく合っていますね。背景の砂に使われている紙はギラギラのラメ素材で、夏の太陽の日差しを反射している感じが出ています。デフォルメがよく効いた、ストーリー性のある作品になっています。
左)
タイトル=ハイビスカスの花 作者=Reiko 折り紙作品=花:自作
右)
タイトル=さざえ 作者=Setsuko 折り紙作品=平面造形のさざえ:笠原邦彦・作
Reikoさんのカードは、深緑の葉っぱにハイビスカスの赤(とオレンジ)が映えています。一方、白く抜ける背景に3枚の葉っぱが台紙の枠内に納まり小さくまとまっているので、右下の1枚をもう少し大きくして台紙のフチのところで断ち落とすと、白が減り画面に奥行きが出たかもしれません。
Setsukoさんはオリジナリティのある感性を持っていらっしゃると思っているのですが、今回は大胆にサザエ一点豪華主義です。背景の模様は海の波のように見え、ラインストーンはサザエが吐き出す泡で、海中の記憶を思い出している姿にも見えます。
タイトル=夏のお楽しみ 作者=めぐぱん 折り紙作品=猫耳付きかき氷(くま耳にアレンジ):ちっしー折り紙より、折り紙スプーン:ナイス折り紙より
めぐぱんさんは、かき氷のシロップの色を連想されたそう。シロップ部分が着せ替えできるこの作品を、耳を折ったりして猫からクマにアレンジされています。お好みの味に変えられるよう、シロップパーツはクマの後ろに収納されていました。クマの鼻部分の緑はマスカットの見立てで、背景の水玉はシロップの色を意識して選ばれたそうです。さりげなく散りばめられたラインストーンも涼しげで、今回もサービス精神てんこ盛りの、めぐぱんさんらしい作品に仕上がっています。
以上で、「夏色:横構図のカード(前編)」は終わりです。
次回は、横構図のカード(後編)です。