シングルマザーの家探しの難しさ。 | HappyWomanのすすめ。

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シングルマザーをはじめ、高齢者や障がい者など、住まいを見つけることが難しい人たちは「住宅確保要配慮者」と呼ばれています。

国土交通省を中心に、住宅セーフティネット法を制定するなどして支援を実施しているものの、まだまだ課題はあります。

 

東京都を中心にひとり親を支援している特定非営利活動法人リトルワンズが国の事業として請け負った、不動産業者や自治体に向けた「居住支援ガイドライン」の作成を、私も少しだけお手伝いさせていただきました。

 

 

私は、不動産業者と大学教授に現状の課題や考えられる解決策を聞きました。

 

シングルマザーはなぜ住まいを見付けるのが難しいのか?

そこには、根強い偏見があることを改めて実感しました。

 

・お金がなくて、家賃を滞納するのではないか

・ネグレクトや虐待などのトラブルを起こすのではないか

・子どもが騒ぎ、近隣からクレームが出るのではないか

 

こんな理由で、不動産物件を持つオーナーさんが、シングルマザーの受け入れを拒否するケースがあるといいます。話を聞いた不動産業者は「だいたい7~8割は断られる」と話していました。

最近はビジネスマンの投資家のオーナーさんも増えていて、本業が忙しい人が多い。不動産にすごく知識があるわけでもないし、余計なトラブルに巻き込まれたくないわけです。

 

ただ、実際にトラブルが多いかというと、決してそんなことはないそうです。家賃を滞納する人も、もちろん一部はいるけれど、シングルマザーでなくても滞納する人はいます。シングルマザーだけが特別に滞納率が高いというデータはないといいます。

 

仕事を探すときには住所を聞かれ、住まいを探すときには、仕事を聞かれます。基本的に、仕事と住まいはセットです。

でも、離婚とともに新しいスタートを切るシングルマザーは、仕事も住まいも両方とも持っていないことも多い。DVなどできちんと準備ができずに飛び出した場合はなおさら、生活に困ってしまいます。自治体が用意しているシェルターはありますが、長期間住むことはできません。

 

仕事と住まいをセットで支援するような仕組みが、今後ますます必要なんだろうと思います。縦割りの自治体をもう少し柔軟に横の連携ができるようにしたり、リトルワンズみたいなNPOと連携をしたり。

人口はどんどん減少していきますし、オーナーさんも自分の物件に人が住んでもらったほうが収益をあげられます。何かトラブルがあったときに、あるいは起こらないように、NPOと連携することは効果的な方法だと思います。

 

話を聞いた中に、こんなケースがありました。

狭く、隙間風のひどい部屋で暮らしていた親子が、親切な不動産業者と出会い、同じ家賃でずっと環境の良い部屋に引っ越すことができた。子供は「はじめて友達を家に呼べるようになった!」と喜んでいたそうです。毎日住む部屋の環境が良くなると、生活の質は上がります。

 

住む部屋って大事だなと思います。私は田舎で生まれ育ったので、戸建ての多い環境でした。幼い頃は2歳上の姉と同じ部屋で生活していたものの、受験期には一人部屋を与えてもらいました。当たり前だと思っていましたが、そのありがたみに気付いたのは、社会人になり、自分の部屋の家賃を自分で払うようになってからです。

毎月必ず発生する固定費の重さと、住環境がメンタルや肉体に与える影響を実感しました。

 

東京は賃貸マンションで暮らす人が多く、母子家庭では1Kの部屋で母親と2人の子供が一緒に暮らしているというケースも聞きます。私がサポーターとして関わっている都内の無料塾では、多くの子供たちが母子家庭ですが、家に自分の学習机を持っている子供はわずかです。自宅での勉強習慣はほとんどありません。内申点につながる宿題の提出物も出せない子が多い。

 

こういう話をすると、離婚する親が悪いとか、やる気さえあれば環境は関係ないという声が聞かれたりもしますが、離婚は母親だけの問題ではなく、その裏には養育の義務を怠っている父親の存在があるはず。そして、私はこれを子供たちのやる気の問題だけで片付けてはいけないと思います。教育格差は生活環境から生まれる面も多いと感じます。

 

未来の日本を担う子供たちの住環境が、少しでも良いものになるように。今後もライターとして、話を聞き、発信することで、微力ながらお手伝いをしていければいいなと思っています。