役立たずが役に立つ日 第5話 | この指とまれっ!

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5、ポルクの地

アイは安堵で溢れ出る涙を拭きながらシコンの手を引っ張った。

「シコン!扉あったよ!もう大丈夫だよ」

シコンは錯乱しているのか、アイの言葉に反応せずうずくまって泣き続ける。

アイはシコンの気を引こうと、パルミクが1人通れるくらいの小さな扉を開けた。

「ほら見て、中はちゃんと整備されてるよ。大丈夫だからね」

「う、うん…」

シコンはふらふらと立ち上がると、アイに手を引かれて扉の中へと入った。

扉を閉めると、炎の熱が一瞬にして遠ざかり、一旦2人は胸を撫で下ろす。

改めて周りを見ると、古びた電球が頼りなく暗闇を照らしているのがわかった。

電球は等間隔に通路の天井に取り付けられており、今にも消えそうなものもある。

「シコン、大丈夫?落ち着いた?」

アイが優しい目でシコンの顔を覗きこんだ。

「う、うん…。ありがとうアイちゃん…ごめんね…」

シコンはようやく平静を取り戻し、震える手で涙を拭った。

アイは安心したが、次の不安はすぐに訪れた。

「この通路…。どこに続いてるんだろ…」

真っ直ぐのように思えたが、通路の先は闇が広がるばかりで、あまり幸先が良いようには見えなかった。

「い、行かなきゃだめ…?」

シコンが消え入りそうな声で呟く。

アイは再び気合いを入れた。

「そうだね。ヨマさんに迷惑はかけられないし、自分の身は自分で守ろう」

「…………」

「大丈夫だよ、私がいるから。ほら、行こ」

「うん…」

アイに手を引かれ、シコンも何とか歩き出す。

まだそれほど身長が高くないアイとシコンは、簡単にパルミクの地下道を歩くことができた。

天井から吊るされる電球は頼りなく、気をつけていないと頭に当たりそうになる。

しかし、幸いにもやはり道はまっすぐだったので、やがて出口と思われる扉を見つけることができた。

アイが迷わず取っ手に手をかけると、シコンは震え上がった。

「だ、大丈夫かな…?」

「かなり歩いたし、きっと大丈夫だよ。もうあの男も火事もすごく遠くなったと思うよ」

「でも…」

シコンは勇気が出ず躊躇する。

アイは小さい子供を元気づけるように笑った。

「もーっ。しょうがないなぁ。私が見てきてあげるよ。ちょっとここで待ってて」

「や、やっぱりやめたほうがいいよ…」

「でもずっとここにいるわけにはいかないでしょ?」

「そうだけど…。待ってればヨマさんが追い付くかも…」

アイは少し考えたが、やはり気持ちは変わらなかった。

「ヨマさんはきっと必死に戦ってるよ。私たちも頑張ろう。それに…」

言いにくそうに、アイは視線を泳がせた。

「ヨマさんが合流できるとも限らないし…」

「…………」

シコンは俯き必死に涙をこらえた。

あの火事ではいくら猛植の森に詳しいパルミクでも逃げられないだろう。

アイは自分自身の迷いを振り切るように言った。

「とにかく、私行くね!シコンはここで待っててもいいから」

「あ、ま、待って…」

アイはシコンの制止も聞かずに一気に扉を開けた。

眩しい光が一度に通路の中に押し寄せる。

「うわ…。何これ…」

2人は息を飲み言葉を失った。

目の前にはやわらかな陽の光が降り注ぎ、大樹を中心に美しい花が咲き乱れる光景があった。

「ここ…ホントに猛植の森だよね…?さっきまでと全然雰囲気違う…」

シコンはアイの背中越しに扉の向こうを覗いて言った。

アイはシコンの言葉には答えず、おぼつかない足取りでパルミクの地下道を出た。

蝶が飛び交い、時間がゆったり流れているようだった。

シコンも恐る恐るアイに続いて外へ出る。

人間が怖くないのか、小動物も平然と大樹の下でくつろいでいた。

「ねぇ…これ…」

大樹の近くまで行くとようやくアイが口を開いた。

何千年生きたのか、蔓も多く絡んでおり大樹からは神々しい雰囲気すら感じる。

その蔓に包まれるように、大樹の根本に寄りかかっているものがあった。

「一応…木…なのかな…」

アイの言葉に促されてシコンも大樹に抱き込まれているものを見る。

枯れてしまった木のようだったが、あまりにも見覚えのある形だ。

シコンは震える声で言った。

「木…だと思う…。でも…」

"人間の形"、とは言えなかった。

人間が木になって枯れたようにも見えるが、もしもこれが人間なら普通の部屋の天井からは突き出てしまうほどの身長だ。

恐らく、人間をかたどった木の人形のようなものだろう。

2人はそのように考えたが、お互いに口にすることは憚られた。

本能のようなものが"これは木ではない"と告げる。

平和な一角にあまりにも不似合いなそれがだんだんと恐ろしくなり、アイは扉を振り返った。

「あ、バレた。後ろから驚かそうと思ったのに」

アイの視線の先にはヨマが笑って立っていた。

「ヨ、ヨマさん…!?」

あまりにも無傷で普通にしているので、アイは一瞬ヨマの幽霊かと思ったほどだった。

シコンはヨマの姿に気づくと駆け出して行ってヨマの首にすがりついた。

「ヨマさぁん!無事でよかった…!」

「何言ってるんだよー。あんなのなんでもないよ。まぁ人間の方はどうなったか知らないけど」

ヨマは愛情深い笑みを浮かべると、その優しい眼差しをアイにも向けた。

「アイ、ここまでよく頑張ったな。もう大丈夫だぞ」

「ん…」

アイは素直に感情を表現できるシコンが羨ましかった。

こんな状況でも恥ずかしさの方が勝って、アイは懸命に涙をこらえた。

ヨマはアイの心を見透かしたように笑うと、シコンを立たせた。

「2人とも早く村へ帰ろう。アイとシコンを送ったら火も消さなきゃいけないから」

「え、あれ1人で消すの?」

アイは驚いて目を見張った。

「あぁ。村の消防団もすぐ気づいて来てくれると思うけど、猛植が多いところは入れないからな」

「なんでも1人でやりすぎだよ…」

アイは切なそうな目でヨマを見たが、ヨマは明るく笑った。

「いいんだよ。俺が好きでやってる仕事だから」

ヨマがなんでもないことのように言うのでアイはそれ以上何も返せなかった。

第6話

目次



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



おとといは歌の練習を2時間したあと夕方から旦那とまったり家で宅飲みしてました(*´ω`*)←私はノンアルだけどw

珍しく図書館で本を借りていたので、お酒を片手にソファでくつろぎながら読んでいると、旦那がこちらにスマホを向ける気配が。

咄嗟に顔を隠して「それ写メ撮ろうとしてるでしょ?」と抗議すると、「あー、バレだ。せっかく綺麗だから撮ろうと思ったのにー」と笑顔の旦那。

聞きました?皆様。妻にスラスラと「綺麗」と言えるなんてイケメンですよね(笑)

学生時代もみんなの前で特別扱いしてくれることが多かった旦那ですが、社会人になってから面と向かって「綺麗だね」と誉める技を覚えたようで。

卒業したばかりの頃デート気分で式場見学に行ったりしたんですが、式場も顧客獲得に必死なのでドレスとか着せてくれるんですよね。

そのときの旦那も「綺麗ー(*´ω`*)」って言ってくれたんですが、私の母に会ったときなんかはさらにすごくて、「アイスちゃんのドレス姿、かなり綺麗ですよ。いつもいかり肩気にしてるけど、ドレス着たときはそういう肩だからこそラインが綺麗で半端なく栄えます。色も白いし細いし」とベタ誉め。

母は娘をそんなふうに言われて当然ご満悦

そのときから3年くらい経ってようやく入籍したので最近またドレスの試着をしましたが、久しぶりのドレス姿を見て旦那は「時間が経てば経つほど綺麗になってる…!」と息を飲んでました(笑)

誉め方うますぎてかわいいと思いましたw

今年の夏に浴衣を着たときも帰り際に「今日は動画撮れてよかった(*´ω`*)アイスすごく綺麗だった(о´∀`о)将来子供にみせよう(←妊娠前)」って言ってくれてたしw

一応ここで真実を明かしておくと、私の容姿は普通より下だと思います(笑)

単に旦那が妻思いのイケメンなだけでw

しかも彼は本気で私を綺麗だと思ってるみたいだから、未だに恋の魔法が解けてないんでしょうね(笑)

おとといは良い夫婦の日だったので、旦那の良いところについて改めて思いを巡らせてみました(ノ´∀`*)

まぁ別に特別な日じゃなくても毎日旦那の良さなんて思い知らされてるんですけどねw

生まれてくる子が男の子だったら旦那に似てほしいと何度思ったことか(笑)

いやー、こんなに良い旦那だと、釣り合う妻になる日が来るのだろうかと心配です(*_*)

って、私も恋の魔法が解けてないんでしょうね。

周りにはよく「旦那君子供みたいwアイスちゃんがいなきゃダメだね┐('~`;)┌」って言われるのでね(笑)