地下鉄サリン事件② 自作自演 | 村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫は何故殺されたのか?徐裕行とは何者なのか?
オウム真理教や在日闇社会の謎を追跡します。
当時のマスコミ・警察・司法の問題点も検証していきます。
(2018年7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚らの死刑執行。特別企画実施中。)

林郁男の修行部屋。林郁男は、麻原の呪文を収録したテープ「決意」を聞いていた。

麻原の音源「修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ、徹底的に修行するぞ、徹底的に修行するぞ、徹底的に修行するぞ、徹底的に修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ、解脱するぞ、解脱するぞ、解脱するぞ、解脱するぞ、解脱するぞ、徹底的に解脱するぞ、徹底的に解脱するぞ」

信者「マンジュシュリー正大師が呼んでいます」
信者が村井からの招集を伝えた。林は村井のいる50号室へ向かった。

部下が集まると、村井は選んだ実行役の名前をホーリーネームで呼んだ。
豊田亨、林泰男、廣瀬健一、横山真人の4人。そこへ麻原から「それだけでは足りない」と林郁男も加えるよう指示があり、実行犯は5人となった。



村井「みんな集まりましたか。あとこのメンバーにヴァジラパーニャが加わります。近く、警察の強制捜査が入ります。騒ぎを起こして警察の強制捜査の矛先をそらす。そのために…」

村井「地下鉄の中にサリンをまいてもらいます」

村井「国家権力の代表、公安警察や検察、裁判所のある、霞ヶ関を通る幾つかの路線で、明後日の3月20日、月曜日、通勤時間帯に会わせてやります」

「何故地下鉄なのですか?」

村井「通勤時間であれば地下鉄が込み被害が大きくなる。電車の中は密閉した空間で、サリンが気化すれば必ず充鎮する。だから効果的に人を殺せる」

村井「前に、ボツリヌス菌をアタッシュケースに入れて噴霧したんだれど、これが大失敗だったんだ。やるなら簡単な方法でやらないとね」村井は苦笑しながら話をつづけた。



村井は、地下鉄の路線図を拡大コピーした紙を、皆の前に広げた。

「国家権力を代表する場所である千代田区霞ヶ関において、地下鉄の様な密閉した空間に、サリンを撒けば効果がある。それを実行するのが、3月20日(月曜)朝のラッシュアワーというわけだ。」

「どうやって撒くんですか?」

村井「はじめ科学技術省では、アタッシュケースから発散させるとか、いろいろ工夫してみたが、うまくいきそうにない。尊師のアイディアとしては、ジュースかヨーグルトのプラスチックケースにサリンを入れ、電車の中でひっくり返す。そして、まく時にフタをはずして床にころがして逃げる。一応これでやることにするが、君たちもいいアイディアがあれば出してほしい」

「それでは目立ちませんか?」「私たちに被害が及ぶのでは?」

「それはやりにくい」「自分たちに危険である」「たちまち見つかってしまう」

口々に非難の声が上がった。

村井はなだめるようにニコニコしながら言った。

「これは尊師のアイディアだから。とりあえずサリンを準備するから、電車内で発散させるために、君たちもいいアイディアを出してくれ」


村井「これは…」
村井はふと上を向いた。

村井「…からだね。嫌ならことわってもいいんですよ」

一同「…」
村井は直接名前を出さなかったが、皆尊師からの指示だと解釈した。

村井「じゃやってもらいますよ。」

一同「ハイ」

村井「これは正悟師になる心の修行です」

これで話し合いは終わった。

林郁男が席を立とうとすると、村井は呼び止めた。
村井「クリシュナンダ師長。これはマハームドラーの修行だからね」
「はい」

(マハームドラーの修行とは、心を動かさない修行を意味する。その修行をすると正悟師の位が与えられる。)

●自作自演

麻原「サリン攻撃の犯行を新進党か創価学会の仕業に見せかけてはどうだろう」

麻原の考えに石川公一は答えた。

石川「そりゃくるでしょう、その時私が、否定する街頭演説をするので、足をピストルで撃ってもらうと、世間が同情すると思います」

麻原は考えた。(自衛隊の第一空挺師団に、井上の部下がいる。そいつにヒットマン役を演じさせるか…否、ここはやはり)
麻原はおもいなおすと、石川に言った。
「お前はそこまで、やる必要はないだろう」

すると青山吉伸が提案した。
「島田(裕巳)さんのところに爆弾を仕掛けたら、世間の同情が帰るのではないですか」
島田氏は当時日本女子大の助教授で、オウムに好意的な学者なところがあった。ところが、教団の標的にされるものだから、酷いとばっちりである。

井上も提案した。
「だったら、青山の総本部にも、爆弾を仕掛けては?」

麻原「よし、島田さんのところに爆弾を、東京総本部には火炎瓶を投げろ」


3月19日夜、井上は自衛官の白井考久(三等陸曹)と共に「世間の同情が買える事件」を実行した。

午後7時25分ころ、杉並区上井草3丁目のマンション。
時限爆弾が大音響とともに炸裂した。厚さ5㎜の玄関ガラスが割れて飛び散り、オートロック装置と床タイルが割れた。

見届けた井上は、女性用カツラで変装した自衛官を連れて東京総本部へ向かった。



東京・南青山のオウム真理教総本部は、青山通りから裏道に入った5叉路の交差点の一角にあった。このビルは、地下鉄サリン事件から丁度20年目にあたる2015年3月に解体されている。1ヵ月後、このビルで残虐な事件が引き起こされるのを井上は知らなかった。

午後8時40分。自衛官がガソリンの詰まったコカコーラの瓶に点火すると、玄関ガラスへ向けて投擲した。瓶は自動ドアを直撃し、直径20㎝の大きなアナが開いた。炎が、店内の段ボールへえ燃え広がった。

店内が燃える中、自衛官は路上に「犯罪者集団オウムを断じて許さない」と記入されたビラをばら巻き、闇の彼方へ消え去った。