西口 あと一人でノーヒッター逃す | ほぼ日刊ベースボール

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野球選手の熱い過去や意外な背景を主な切り口に、野球への熱い想いを綴ります。

西口
 



9回あと一人、西口の中ではノーヒットノーランを確信したに違いない。投手が調子のいい時は神懸り的な精神状態になる。例えば巨人堀内監督の現役時代は投げる瞬間、キャッチャーミットまでの道筋が見えてそこにボールを置くだけで打たれなかったとか、まったくもって打たれる気がしない状態になる。




ノーヒッターを意識する、しないは投手によって違うが、少なくとも自分の得意なボールがいつも以上のキレで決まるとき、投手は自らの独壇場を意識する。

西口も宝刀スライダーがいつも以上に切れ、おそらく投げていて快感を覚えていたに違いない。その快感はさらに自らのテンションを高め、さらに投球の切れが増していく。




9回2死、清水の一発はまさかの一撃だっただろう。打たれたのはスライダー、この試合、スライダーに酔い、スライダーに泣いた西口の心境、いかなるものだったろう。




元々西口は投手でなかった。県立和歌山商高時代は左翼手、甲子園にも無縁の全く無名の存在だった。しかしその躍動感のあるフォームからも分かるように、まさに野球をするためでなく投手をするために生まれてきたようなタイプである。

立正大進学後、本格的に投手となり、その後の活躍は誰もが知るところである。大きなテイクバックから繰り出されるスライダーは、球界でも3本の指に入る代物だろう。




松坂の陰に隠れがちであるが、その実力は今回をもって再認識された。低迷西武であるが、柱になる投手が読めるのは強い。西口自身、今シーズンどのようなピッチングをしていくのか、久々に楽しみなシーズンである。




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