⬆️このお話の続き




わたしは、その「静かにしてください」とおっしゃった方に手紙を書いた。



「大変、ご迷惑をおかけしました。

これから赤ちゃんも生まれますし、ご迷惑をおかけするわけにはいきませんので、引っ越しをすることにしました。

しかし転職して引越しをするため、少しだけお時間をください。

必ず引っ越しはしますのでご安心ください‥」



その方はあわてて、「そんなつもりじゃなかったんです。

引越しはしないでください」と言いにこられた。



「赤ちゃんが泣くたびに、ご迷惑になるわけですから、ここにいることはできません。

引越しはもう決めたことですから」とお帰り頂いた。



そして、その5ヶ月後、私たちは神戸に引っ越した。




実は手紙の中で、わたしは一つだけちょっと意地悪なことを書いた。



そこのお宅には3人のお子さんがいた。



もう高校生とか大学生くらいになっておられた。



なので、こんなことを書いた。



「きっとお子さんたちは静かなお子さんたちだったのだと思います。

わが家の子どもたちはうるさくて、大変申し訳ありません‥」



なんだか、そのことはどうしても書きたかった。



誰にも迷惑をかけずにお子さんたちは大きくなったのですか?




わたしはそのときに思った。



子どもたちが成長しておとなになっても、大変だったときのことを決して忘れないようにしよう。




小さなお子さんを抱えて大変な思いをされているお母さんの味方でいよう。




だから、ベビーカーを持って階段を登っているお母さんと一緒にベビーカーを持って階段を登ったり、



ギャン泣きの赤ちゃんの横で、自分にオレンジのオイルをつけたり(赤ちゃんは直ぐに泣き止んだ)‥



自分にできることをする。




広島のその出来事は、忘れちゃいけないことがあるってことをわたしの心に深く刻んだ。




続く