⬆️このお話しの続き
三男の出産は、けっこう時間がかかり夜中になっていた。
40歳手前での出産はなかなか大変だった。
自分で産むしかないことは分かっているが、なんせ体力が落ちていて、気力も続かない。
ヘトヘトだったが、そのとき三男がお腹の中からわたしを励ましてくれた。
「ママ、もう少しだから頑張って!
ボクも頑張るから‥」
ちなみに出産のときにお腹の中から励ましてくれたのは三男だけだった。
最後の力を振り絞り、三男は無事に生まれてきた。
そして、処置が終わると三男はわたしのところに連れてこられて、その後2時間二人きりで過ごした。
おっぱいを飲んだり、お話したり歌を歌ったり‥
至福のひとときを過ごした。
ところが翌日になると、看護師さんから「そんなに心配しなくても大丈夫だけど、ちょっと問題があるみたいだから検査を受けてくださいね」と言われた。
総合病院だったので、あちこちの階でそれぞれ検査を受けた。
生まれて、まだそんなに経っていないのに、色んな検査を受けなくてはならなかった。
看護師さんはわたしに心配させないように「心配しなくても大丈夫」と言ってくださったけど、わたしはそれを聞いた瞬間、不安でいっぱいになり泣きそうだった。
ちなみにあの小さな産院だったら、検査は受けられなかった。
結果は「呼吸器がかなり未熟」というものだった。
まだ生まれたばかりだし、処置をするほどではないものの、これから寒くなるので、家に帰ったら夜は特に注意するように言われた。
三男の呼吸はスースーではなく「キーカカッ、キーカカッ」というかなり苦しそうなものだった。
夜中にその「キーカカッ」が突然止まったらどうしようと、夜もゆっくり眠ることができなかった。
あのときほど、温かな春が待ち遠しかったことはない。
そして、
ある日の夜中、恐ろしいできごとは起こった。
続く
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