ヒゲ脱毛に通い出しました〜レポート〜 | 坂本龍~今夜は泡風呂ぐ~

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兼ねてからずっとコンプレックスであった
ヒゲの濃さから起因する青ヒゲというものに
ピリオドを付けるべく、
30歳にしてようやく決心した。




そう、脱毛だ。





もちろん医療脱毛。





割と高額なので
絶対に後悔や損はしたくない。
進学校の受験生くらいに近辺の
脱毛クリニックを調べ、
お前誰やねんというおっさんが
脱毛体験をひたすらに語るユーチューブも
見まくった。
もうおすすめに出てこないで欲しい。

その余念なき姿勢の果てに
ここのクリニックはこうだ、
ここのクリニックはあーだ、
という微細な違いを網羅した。


その末、1番無難な
ゴリラクリニックという医院を選択した。

めちゃくちゃ調べたけど
なんやかんや名前が有名なところが
間違い無いっしょwwwという
元も子も、身も蓋も、全く無い結論に至った。



まずは無料カウンセリングに赴いた。

とても爽やかなお兄さんに、
約1時間、要約すると
『うちのクリニックが1番だよ。
うちのクリニックは非の打ち所がないのさ。
うちのクリニックはとても最高なんだ。』
と言った自己肯定感高めの
カウンセリングであった。


まぁ、そんなもんだろうと思っていたので
僕も快く『はい!最高っすね!』
と言った相槌を機会のように繰り返した。



そして軽やかに契約を結び、
レーザーの種類はどうされますか?
との問いには間髪入れず
『1番強いやつをお願いします』と言った。



回数は18回。マックスコースだ。
俺の髭の濃さは超ド級だと自覚していたので
その辺は何もイレギュラーではなかった。



さて、
いざ脱毛1回目に当たって
懸念点は2つ。

やはり『痛み』である。

ヒゲ脱毛=痛い

という定説からくる恐怖だ。

そしてそれによる『麻酔』。

笑気麻酔という、漢字からは
何も連想出来ない得体の知れない麻酔が
とにかくなんか怖い。
というか笑気麻酔の方が怖かった。

なにやら鼻から吸って徐々に意識が
朦朧とし、会話はできる程度の
具合を保つという内容の麻酔なのだが、
なんやそれ。
擬似泥酔みたいな感じか?
擬似ストロングゼロ?
しかし舐めてもらっては困る。
こちとらほぼ毎日酒を飲む体たらくなので、
エブリデイ笑気麻酔と言っても過言ではなく
果たしてそんなものが
痛みを和らげる効果があるのか?
あまり俺様を舐めるなよ?
と、終始懐疑的であった。



そして遂に当日を迎えた俺は、
少しの緊張を纏いつつも
ここから生まれ変われるんだという
凛々しい感情に満ちていた。



16時ピッタリになると
どこに隠れていたんだというくらい
途端に大量の施術師さんが登場し
口々に『番号〇〇の方、どうぞ〜』
と呼びかける。


僕の担当してくれた施術師さんは
とても綺麗な感じのお姉さんだった。
口調もとてもお上品で優しく、
そのお陰で割とリラックス出来た。

照射日は必ずヒゲを剃ってから来院、
というルールがあるのだが、
ちゃんと剃ったつもりが
かなり剃りが甘かったらしく
限りなく優しいワードを
チョイスされながら怒られた。


そんなこんなで遂に笑気麻酔を体験する。

やはり、か。

全く効かない。
酒が強い人間は麻酔が効きにくいという
前情報は事実であった。


なんか意識が朦朧としてる気が
しなくもない。けど全然意識あるし、
7の段とかスラスラ言える。

人は7の段をスラスラ言える状態は、
完全に意識がハッキリしている証拠だよ
と母から教えてもらった。

つまりこんな程度では痛みなど純度100%で
感じられる事が想像出来た。

すみません、麻酔の代わりに
500mlのストゼロとかってありますか?
と聞きたかったが、
そんな妄言は逆に麻酔が効いていると
捉えられる可能性があるのでやめた。


『では、照射して参りますね!
輪ゴムでパチっと弾かれる痛みが続きますが、頑張ってください!』






はい!!!!!!!








バチッ











俺は笑った。






あまりの痛みに。






人は痛いと笑うのだ。








輪ゴム?
違う、火だ。





火炎だ。





絶対に火傷したと思った。





先生、冗談キツいですよ〜
これ、照射レーザーじゃなくて
ターボライターでしょ〜?



なんて言う間もなく、
施術師さんは『痛いですよね、、でももう少しです!』と言ったリアルタイム状況を
報告してくれる。


特に密度の濃いアゴに
スポットライトという名の
レーザーが当たった時、
『いってぇ...』とマジのやつの
情けない声が漏れた。


『痛いですよね〜...!痛い時は鼻呼吸を意識して麻酔で和らげてくださいね!』


この、痛みを毎回共感してくれるという
高等な手口により、痛みを我慢する事が出来た。

痛いのは俺だけではない、
むしろこんな優しい人が
初対面の見ず知らずの他人に
痛い目を浴びせてしまっている
気持ちの方が痛いのでは無いか?


という結論に至った。



なんとか耐え抜き、
最後施術師さんに『痛かったですよね...』
と、やはりかなりの罪悪感を
抱かれていたように見えたので
『いえ、全然大丈夫でしたよ』
と、さっき情けない声を漏らした同一人物とは
思えない紳士的な回答をし、その場を去った。

きっと連絡先を聞かれるだろう。




こんな感じで華々しい脱毛デビューを
飾った訳だが、安堵も束の間
あと17回残っているのだ。

どうにか自分と顔が似てる
影武者を探して、残りは全部
その人に行ってもらおうと思う。