ハードディスクとSSDの速度比較 | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

アイループでは、予算に余裕がある方、動きの良いパソコンをお探しの方向けに、ハードディスクではなくSSDを搭載した機種をご用意しています。「速い」と言われてもピンと来ない方に、SSDの快適さを理解していただくための記事を書きます。


とはいっても、性能評価の記事は初心者には難しいです。この記事はあくまでも、一般もしくは一般以上のパソコンスキルをもった方を対象とさせていただきます。


転送速度の計測方法は最も有名なクリスタルディスクマーク を使用します。測定5回、100MBの最も一般的な設定です。

◆◆◆まずはハードディスクについての計測結果です◆◆◆


アイループ パソコン修理日記-1  

①富士通_WA1/K_Cel-1.8_WD-HDD-320GB

富士通の新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。CPUは低ランクのCeleron_1.8、メモリは4GBです。ノート用ハードディスクとしては標準的な数字であり、「一般的なノートパソコン」という程度でしか評価できません。


アイループ パソコン修理日記-2  

②Lenovo_G500_Cel-1.9_WD-HDD-500GB

Lenovoの新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。CPUは低ランクのCeleron_1.9、メモリは4GBです。上の富士通と同じで、ノート用ハードディスクの標準的な数字です。


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③東芝_B353_Ci3-2.5_東芝-HDD-500GB

東芝の新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。CPUは標準ランクのCore_i3_2.5、メモリは4GBです。やはりどう頑張っても、ノート用ハードディスクはこのあたりが限界のようです。


アイループ パソコン修理日記-4
④HP_Omni220PC_Pen-2.7_ST-HDD-500GB

HPの2年ほど前の一体型パソコン、Windows7にて計測しました。CPUは標準ランクのPentium_2.7、メモリは4GBです。デスクトップ用ハードディスクはノート用より、少しだけ高い数字が出ます。


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⑤HP_110-040jp_Ci3-2.8_ST-HDD-500GB

HPの新品デスクトップパソコン、Windows8.1にて計測しました。CPUは標準ランクのCore_i3_2.8、メモリは4GBです。最新のデスクトップ用ハードディスクでこの数字、おそらく限界かと思います。一昔前までは転送速度を高速にする「RAID(レイド)」というものがありましたが、以下のSSDが出て以来、RAIDを組む必要性がほとんど無くなりました。


◆◆◆続いてSSDについての計測結果です◆◆◆


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⑥店長パソコン(ノーブランド)_Ci7-3.5_インテル-SSD-120GB
店長が事務用で使っているデスクトップパソコン、Windows8にて計測しました。CPUは高ランクのCore_i7_3.5、メモリは8GBです。インテル製のSSD_120GBを搭載しています。ハードディスクに比べて倍以上の速度であり、特に[4K]の項目、つまり「小さなデータを多数処理するときの性能」がハードディスクの50倍程度まで引き上げられています


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⑦東芝_B353_Ci3-2.5_ADATA-SSD-128GB

東芝の新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。ベースは③のパソコンと同じで、CPUは標準ランクのCore_i3_2.5、メモリは6GBです。SSDはノートかデスクトップかに関係なく、安定した速度が出ます。この機種にはADATA製のSSD_128GBを搭載しました。


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⑧Lenovo_G580_Ci5-2.6_サムスン-SSD-250GB(MZ-7TD250B/IT)
Lenovoの新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。CPUは高ランクのCore_i5_2.6、メモリは8GBです。この機種にはサムスン製のSSD_250GBを搭載しました。SSDの製品名は「Samsung SSD840 ベーシックキット250GB MZ-7TD250B/IT」、書き込み速度を低く設定されているようです。


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富士通_WA1/K_Cel-1.8_サムスン-SSD-250GB新型(MZ-7TE250B/IT)

富士通の新品ノートパソコン、Windows8.1にて計測しました。ベースは①のパソコンと同じで、CPUは低ランクのCeleron_1.8、メモリは4GBです。この機種にはサムスン製のSSD_250GBを搭載しましたが、上のLenovoに搭載したものの上位品です。SSDの製品名は「Samsung SSD840 ベーシックキット250GB MZ-7TD250B/IT」、読み込み・書き込みともに500MB/s近くの数字を叩き出しています



このように、今まで多くの人に意識されていなかった「データ転送速度」という項目もかなりの差があることが理解いただけると思います。パソコンの性能は、なにもCPUやメモリばかりではないのです。





ここで、クリスタルディスクマークの仕様について簡単に説明しておきます。



[Seq]...シーケンシャルの略。連続的なデータを読み込み・書き込みするときの速度です。100MBx1ファイル=100MBです。ハードディスクの得意項目です。従って、SSDと比べても数倍の差にとどまっています。



[4K]...4キロバイトの小さなデータを大量に読み込み・書き込みするときの速度です。4KBx25,000ファイル=100MBです。SSDの得意項目です。ハードディスクは小さなデータをあちこちから広い集めるのが非常に苦手で、「データ量は小さくても転送に時間がかかる」ことの原因が「ファイル数が多いから」だったりします。




上の画像で見ると分かる通り、ハードディスクは小さなファイルを数多く処理するとき、100分の1程度まで失速してしまうのです。その点、SSDは小さなファイルを読み込むときの速度低下は10分の1くらいです。ハードディスクに比べてSSDが優れている最大の理由は、この「小さなファイルを大量に読み込むときに、それほど速度低下が起こらない」ということなのです



では、なぜそれがSSDの強みとなるのでしょうか。次は実際にパソコンを使う時の状況を想定しながら話をすすめていきましょう。



Windowsが起動するとき、パソコンの中では何が起こっていますか?起動に必要なプログラムやデータなど、膨大な数のファイルを読み込みますね。その数は数百ではなく、数千の単位となります。つまりSSD搭載マシンは、起動時に読み込むべき膨大なファイルを高速に処理できるため、「SSD搭載マシンはWindowsの起動が非常に速い」と言えます。実際、Windowsの読み込みが開始されてからデスクトップ画面が出るまで10秒もかからないことがあります。



インターネットを開いて、例えばヤフーのトップページが出てくる状況を考えます。通常はInternet Explorerというソフトを起動しますね。たいていのソフトは、それ単体では起動せず、同時に複数の設定ファイルを読み込みます。このことから、「SSD搭載マシンはプログラムの起動が非常に速い」と言えます。インターネットを開く速度だけでなく、iTunesを開くのももちろん速いです。



一部のユーザは、パソコン用のゲームをされると思います。簡単なゲームではなく、ダウンロード・インストールが必要な「重たいゲーム」です。そういったゲームを起動する際、起動まで1分以上かかることなど普通と考える人も多いでしょうが、SSD搭載マシンはたいてい20~30秒もあれば起動します。



このように、ほとんどの人にとって「時間がかかって当たり前」だと思っていたことが、SSDを利用することにより何倍も速く動作してしまうのです。ハッキリ言って「世界が変わる」ので、一度SSDを使うとハードディスクには戻れなくなる、と言っても過言ではありません。



それでは、なんでもかんでもSSDにすれば最強のパソコンができるかというと、それは間違いです。SSDはあくまでも「データの転送速度」が速いというだけのパーツです。読み込んだデータを処理するのは主にCPUですし、データを一時的に置いておくメモリに充分な余裕があることも必要です。高性能なCPU(Core i シリーズなど)を使えばさらに性能アップを図れますし、画像処理や動画編集が目的であれば、必要とされるのはCPU、液晶の表示領域と枚数、およびDVDドライブの性能です。ゲームについてはSSDで起動は速くなりますが、一瞬の判断が生死を分けるゲームで必要なのはCPU、それとグラフィックの性能、敵の足音を把握するサウンドなどであり、データの転送速度はそれほど重要ではないのです。



念のため言っておくと、ハードディスクやSSDの「空き容量」は(※ある例外を除けば)パソコンの動作速度と無関係です、これは世間の常識が間違っている代表的な例。自称プロが「パソコンを速くするために空き容量を増やす」などと言っていたら、それは本物のプロではなく、実験研究が足りない受け売りの偽プロですのでご注意を。



※Cドライブの空き容量が1GBを下回ると危険です。