待ちに待った映画『ザ・バットマン』を映画館で鑑賞。
絶賛評も多いみたいだけど、なかなか判断が難しい。
さすがに3時間は長過ぎた。
でも2時間のテネットに覚えた苦痛は感じなかった。
たぶん、それがこの作品のすごいところだと思う。
3時間もあるのに苦痛じゃない。
それすなわち絶賛に値する。
とにかく暗くて重くて登場人物が誰も笑ったりしない。
悪役による不適な笑みや狂気じみた笑い声のみ。
そして間を溜めさせまくる。
さすがマット・リーヴス監督。
『猿の惑星』シリーズで感じた硬派な作り。
否定すると軽い人間だと思われそうで、褒めとけば賢くて深みのある人間だと思われそうな作品づくりに定評がある方!
とりあえず、この内容は2時間以内に収めてくれたら歴代バットマン映画トップ3に入っただろうなと。
スーパーヒーローものではなく、犯罪ミステリー映画だから、趣向を凝らしたアクションも、珍しい武器もない。
ヒーロー映画にダークでシリアスなトーンを持ち込んで話題となったノーラン版でさえ、ポップな娯楽サービスでいっぱいだったのかと分かるくらい、今回はスペクタクルの波を感じにくい。
しかしバットマンという大前提があるので、まずファンは受け入れ体制からスタート。間延びした箇所さえ丁寧かつ繊細と謳われるような変換作用をもたらす。
今までのシリーズと比べれば全てが新鮮に写るから、肯定的に捉える人も多いでしょう。
大好きなリドラーも銀幕で観られたし、ペンギンも面白いし、部分的には大満足なんだけど、やっぱ暗くて長いなあ。
ここまで暗くすると、間口が狭くなるような気がした。
今後、この監督で新たなバットマンシリーズが作られるとしたら、あと5年くらいは陰鬱MAXのゴッサム映画に付き合わなければいけない。
それはちょっと気が進まない。
ノーラン版でダークの傑作シリーズは満足したから、もうそろそろ奇妙ながら多少の明るさや、怪しげなファンタジー感を取り戻したバットマンも観てみたいと感じてしまった。
次回作でリドラーとジョーカーが組んでペンギンも騒いでる様相を呈すれば、ハードボイルド探偵物語から少しは方向転換して楽しめそうだから、ひとまず期待。