消化管内視鏡検査について | アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記

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大阪府羽曳野市にある『アイリス動物病院』です。
「犬や猫の病気について」と「看護師日記」を掲載していきます。
大切な家族であるわんちゃん、猫ちゃんが健康で長生きしていくためのお役に立てればと考えています。
是非ご覧下さい。

元気食欲はあるけど、よく吐く事がある。
便が柔らかい、またはよく下痢をする。

このような症状がみられる場合には、病気が潜んでいる可能性があります。


上記のような慢性の嘔吐、下痢には様々な原因が考えられます。

例えば、
・感染症(ウイルス、細菌、寄生虫など)
・異物摂取
・悪性腫瘍(消化管型リンパ腫、胃がんなど)
・炎症性腸疾患
・肝臓や膵臓の病気
・その他


これらの病気の診断には一般的には血液検査、レントゲン検査、超音波検査、糞便検査などを行いますが、実は胃腸の病気の多くが、これらの検査だけでは確定診断は出来ません。

・レントゲンにはっきりと写らない胃内異物
・シコリを作らない事が多い消化管型リンパ腫などの悪性腫瘍
・特徴的な異常所見が無い場合が多い炎症性腸疾患

そのためこれらの病気を診断するためには、内視鏡検査が必須です。
(内視鏡検査でも診断がつかない場合には、試験開腹での診断が必要になる事もあります)



~症例紹介~
2~3年前から元気食欲はありましたが、間欠的な嘔吐、下痢を繰り返していました。
ここ数週間で症状が悪化し、体重が減少してきました。

血液検査で炎症反応や栄養状態の低下がみられましたが、レントゲン検査、腹部エコー検査などでは明らかな異常所見は診られませんでした。

そのため内視鏡検査で胃、十二指腸、結腸を観察し、それぞれ数カ所ずつ組織を採取しました。
内視鏡

内視鏡鉗子02 内視鏡鉗子01

病理診断の結果、中等度~重度のリンパ球形質細胞性腸炎(炎症性腸疾患)という病気である事が判明しました。

この病気は通常の嘔吐や下痢の治療では改善する事が出来ません。
完治することは難しい病気ですが、食餌療法や様々な投薬により出来るだけ快適な生活を送ることができるかもしれません。

動物病院に内視鏡が普及するまでは、これらの診断にはお腹を開いて腸の一部を採取しなければなりませんでした。

しかし内視鏡検査が出来るようになってからは、状態が良ければ日帰りで、しかも翌日には食餌をとることも出来ます。


内科治療で十分な改善がみられない慢性の嘔吐や下痢でお困りのわんちゃんは一度詳しく検査することをお勧めします。



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