令和二年一月十三日
初めて自分で獲物を仕留めました。

鉄砲持っての巻き狩り
八回目にしてやっと。



見学を含めると前期から
十数回はお山に行ってるけど
生きた獲物を見かけたのが
これで二回目と考えると幸運だった。
(ビギナーズラックってやつかもしれん)


十年獲れんかった、とか
一年目で獲れる試しない、とか
そもそも猟隊全体で坊主とか
あるある過ぎるし

大体勢子とみんなの
無線のやり取り聴きながら
おやつ食べて山降りるだけだし

この日は連休最終日の祝日で
猟隊の人数も少なく
斜面と斜面の谷近くの自分のマチ場で
ゆったりしてました。

この木に隠れるようにゴザ敷いて座ってた。


すると急にガサガサって聴こえて
見ると前から走ってくる鹿が三頭。

しかも私の方に向かって
ピョンピョン駆けてくる!

離れて後方には吠える猟犬たち。
(鹿の方が足早いって感じした)


この距離ならいける、と
慌てて銃を構えて

いつも大体このように銃を抱えて座ってます。


セーフティを外す。

チャンスはたった三発。


そうこうしてる間に
30、20、10メートル‥
犬に追い立てられてるせいか
早くて焦ったけど

前回みたいに半矢とか嫌だし
なるべく落ち着いて

細いワタリ(獣道)を縦に並んで
連なって通り過ぎようとする一頭一頭に
続けて一発ずつ発砲。


その銃声すら聴こえなかったように
走り去る三頭。

それを追う猟犬たち。


あれ?中らなかった?
この近距離で?多分10㍍程度で撃った

しかも三頭もいて三発撃ったのに
ちょっと凹むやんとか思いつつ

走り去った方向を見上げると
30㍍位先の斜面で
一頭の動きがゆっくりになって
姿が消えた。


無線で三発鳴ったけど誰かこかした?
(こかす=斃す、の意)
と入ってきたので
「三頭見えて撃ちましたが(こけたかどうか)分かりません」と言ったら

まだその辺にいるかもしれないから
装填してノリ(血痕)を探してとのことで
慌てて付近のノリを探す私。

「ノリ無いんですけど中らなかったんですかねぇ?」とかテンパりながら話す私。

犬が固まっておるからそこでこけとんちゃうかとのお言葉を頂いて
(わんこにGPS付いててそれを見れる機械を持ってる人が多い、私は持ってないけど)
急斜面を登る。


さっき姿が消えたと思ったところで
シュウとマル(猟犬)が興奮していた。

其処にこと切れた彼女がいた。




無線で一頭こけてました、
確認しましたと報告。

そしたらもうちょっと先にも犬が固まってるから、(この日は合計六匹の猟犬を入れてた)そこでももう一つ(一頭の意)こけとんちゃうか誰か確認しに行ってとか何とか、わやわやとやり取り。



ここで気付く。

私、血抜きのナイフ持ってない!

犬や獲物を回収するロープも!

マチ場に着いた時にリュック降ろして
ナイフもロープもその中やん!


かなりの急斜面だったので
たった数十㍍の距離でも
どんくさい私には時間が掛かる。

マチ場に戻ってまた登ったものの
いつもは可愛いわんこたちの
もうご飯にありついたと言わんばかりの
狂喜乱舞な興奮具合に圧され

中々血抜きが出来なくて
泣きそうになった。

つーか一応習ったけど、いざとなったら難しかった…イマイチ場所が分からなくて色んなところブスブスしてしまって蹂躙してるような気持ちになって泣きそうになってしまった。



なんだかんだやってる内に
もう一つ(一頭)も150㍍位先で
こけてたことが確認されて
ほんま鹿って凄い…撃たれてもそんな距離走れるとか野生の力強さときたら。
 

無線でみんなにおめでとうって言われて
やっと実感した。




当たり前だけど一人で出来ることじゃない。

マチ場の配置に猟隊の連携
勢子や猟犬たちの頑張りやスキルが
あってこそやなって思う。


サッカーに例えてばかりだけど(蹴球馬鹿)
ゴールを生むには監督の采配や
チームプレーが必要なのと同じだ。


もし
「初獲物で2ゴールおめでとうございます」
って、インタビューされたら

「いや~、猟犬やみんながアシストしてくれたんで‥」
って、答えよう。(なんじゃそら)



勿論ゴール(獲物)はみんなのものだから。