オス猪の発情期の臭い話は
また今度まとめるとして
(鎧脂のあれはもうPTSDレベル)笑


お山で見る野生のオス鹿は
とても凛々しい。


この猟期で三度出合った。

これは年末の淡路のオス鹿。生きてた姿は見ていない。後学の為に頂いて繋がった部分を炊いてるところ。
‥結論、家では炊きたくない。笑



初めて対峙したのは兵庫県のはこ罠講習。


彼にしては小さいであろう檻の中で
自分を取り囲む人間たちを威嚇しながら
怒りにも似た剣幕でしっかり凝視してきた
あの眼光を忘れはしない。

(この時の角は店に置いてある)

これは鹿のラグーソースパスタ。もう少し改良したい。



二度目は半矢で逃げられた時。



初めて山で獲物を見た時だった。

50㍍近く離れていたけど
立派な大きい角が逆行に照らされて
そのシルエットがシシ神の如く
(え?急にもののけ姫なのって?)

神々しかった。

静かにこっちを見ていた。

初めての発砲だった。

嘲るように踵を返して
どれだけ血の跡を辿っても見つからなかった。




三度目は雪の中くくり罠に掛かってて
ベテランの大先輩が止め撃ち。


ライフルで近距離で撃ったのに全く倒れずに
こっちをしっかり凝視しながら
雄々しく前足を揚げた。

続けて撃ってもまだ動いていた。
絶命しても尚も四肢を動かす彼の生命力に
畏怖すら感じた。

くくりのワイヤーが足の骨まで深く食い込んでいて、引きずって運んでるうちに切れて三つ足になった。


彼は首ごと篠山の小屋の裏に埋めた。

(角の残し方って色々あるけど大体埋めるか炊くかの二択で、埋めることが可能な場所だったので埋めてみた。土の中の微生物が全て分解してくれて骨と角だけになるには一年は掛かると言われていて大先輩のおじさま曰く「わしは一年もよう待たんわ、死んどるかもしれんし」
‥猟場でよく聞くベテランのジョークだ 笑)




メスはこの時期殆どが妊娠していて
わなに掛かると身重の身体には辛いのか
観念したような表情(かお)をするらしい。
(大先輩曰く「もう、座って撫でさせよったわ~」らしい)


腹を割る時に早くも膨らんだ乳房から
母乳が迸(ほとばし)る時がある。

脂肪の乗ったその部位が美味だと聞いて持って帰ったこともあるけど、小さくて毛だらけで皮も上手く剥けなくて精肉に失敗してしまって以来挑戦していない。


胎児はハラコと言われ食べられるみたいで焼いて粉にすることに依って鹿胎と言う高級漢方にもなるらしく、効能は貧血や生理不順などの婦人病やアンチエイジングらしいけど何でも挑戦しがちな私でも抵抗があって食すのには到ってない。

(あれは無理だ‥東南アジアでよく食べられるバロット(孵化直前の卵料理)を食べられるひとならイケるかも)



猪ほど味では性別差は無いけど
個体差はあるように思う。

(例えば同じ背ロースでも肉の色が全然違ったり、内臓脂肪の付き方が違ったり‥特にレバーの違いが顕著なように思う)


大蒜と玉葱みじん切りと生クリーム、ブランデーで火入れしたレバーペースト。葡萄酒と合う。



ただ猪は焼いただけで美味いけど
(発情期のオスは別として←しつこい)
鹿ほど精肉と調理法で変わる肉はない。

皮剥きは猪より楽だけど、枝肉になってからの筋膜と筋を取る作業がなんせめんどくさいのと部位に依っての下ごしらえと火入れと味付けでも大きく変わるからジビエ後進国の日本では上手く流通しないのかもしれない。


フレンチおでん。鹿骨で取ったブイヨンで煮込んだ大根たちと鹿肉を、これまた鹿のブイヨンとポルチーニと生クリームと大蒜で作ったホワイトソースを掛けて。



恐ろしいほど話は変わるけど
もう一度もののけ姫でも観てみよう。


ジブリの作品ほど大人になってから見直してまた違う見方が出来るものはないから
デイダラボッチや乙事主(おっことぬし)に対しての見方が変わってるような気がする。



子供の頃ただの豚のオッサンが空飛ぶとか何がオモロいねんとか思ってた紅の豚だったけど、大人になってから観るとポルコ・ロッソが背負った過去や彼の漢(おとこ)の生き様がシャンソンの調べと共に心に滲みるようになったことだし。


死に様と生き様は表裏一体なのかもしれない。

熱く生きて熱く死にたいな。
(え?漢だったの?)

つーかポルコって豚か‥オスの‥家畜のオス豚は日本では生後一週間以内に去勢されるらしいけど、WWⅠ直後の欧州が舞台だから去勢されてないのかな。






Io sono qui.