2015新型エフェクトボード!徹底解説!~Part 1 | 山本安男 ~超速日誌~

山本安男 ~超速日誌~

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皆さんど~もです!


今回は、先日出来上がったばかりの最新エフェクトボードを紹介したいと思います。

         

          2015年2月現在




中々良い感じでしょ? 
ルックス的にも中々洗練されていると思います。


ちなみに昨年まで使用していたフル装備のボードがこちらです。時期によって2パターンあります。



          2013年8月頃






          2014年9月頃






堅牢な感じというか、ちょっとした要塞のような雰囲気がありますね。このドッシリとした雰囲気も好きです。
これらも色んなアイディアが詰め込まれておりとても愛着のあるボードでした。サウンドもナイスでしたし。

しかし、何度か現場で使っていくうちに幾つの弱点を見つけ、また新しいアイディアなども浮かんできていました。



そういうわけで、ここ2ヶ月ぐらいの間に新ボードの計画を練り、幾つかの新アイテムを導入してようやく新たな形の2015年モデルが完成いたしました!

ボード全体のアイディアや細かく工夫した点などもお伝えしていきたいと思いますが、まずはこのボードで使用した機材をザッと紹介しようと思います。

(ちなみに1年半前もこのような感じで当時のエフェクトボード解説を始めたのですが、途中で止まってしまった・・・今回は最後までしっかり書くよ!)





とういうわけで、初めにボード全体のシグナルフローチャートを軽く見てみましょう。





このような、信号の流れや配線が確認しやすい記録を残しておくと、後々ボードに変更を加えたい時などにとても便利です。

さて、各使用機材にクローズアップしてみましょう。





Junction Pro (ジャンクションボックス)
by Neotenic Sound





ボード全体の出入り口を一ヶ所にまとめてくれるジャンクションボックスです。

(もしこのジャンクションボックスが無かったとしたら) このボードの入り口はスイッチャーの右から2番目にあるインプット端子、そして出口はボード左手に設置してあるデジタルディレイのアウトプット端子です。

が・・・ボードの写真を見てもらえば分かると思いますが、周りのペダルが邪魔をしてこれらのペダルにシールドケーブルを直接抜き差し出来ません。
だからこれらのペダルの入り口と出口を延長してボード端にまとめるために、このJunction Proを使っています。
ローインピーダンスに変換される前の最初の入口であり特に重要で神経を使う場所なので、凄腕のサウンドメカニックであるハットマンいっぺい氏に製作していただいたハイクオリティなものを使用しております。





SP Compressor (コンプレッサー)
by XOTIC




実のところ、コンプレッサーにそれほどコダワリがなく・・・というより、コンパクトのモノはこれまで持ったことがないです。
必要な時はラック型マルチのものを使ってきました。
ですので他のペダルタイプのコンプレッサーと比較する事が出来ないのですが、直感的な操作で狙ったサウンドに持っていき易く、ツマミもシンプルで良いですね。
BLENDツマミによって原音とエフェクト音の混ざり具合が調整出来るので、自然なコンプサウンドが簡単に得られ気に入っています。





Harmonics Boost(ゲインブースター)
by Ovaltone




後段に接続してあるオーバードライブやディストーションなどメインのドライブペダルに、さらなるゲインを付加するためのブースターです。
僕が好む手法の一つは、メインのドライブペダルの歪み量はほどほどにしておき、そこにこのようなゲインブースターを使用して深い歪みを得るというやり方です。
歪ませ過ぎずにメインのドライブペダルに余力を残すと、音の立体感や空気感、ニュアンスなどが充実してくれます。
その状態にゲインブースターで足りない歪みを延長させて深い歪みを得ると、メインのドライブペダル単体で深く歪ませた時よりも自分好みな深いドライブサウンドを作ることが出来ます。

このHarmonics BoostはOvaltoneの最新作ということもありまだまだ隅々まで使い方をマスターしているわけではないのですが (熟知するまでもう少し時間を下さい! 笑) ブーストする帯域を別々に設定出来たり、自然なゲインブーストも出来れば「ボフボフッ!」とした感じの力強いブーストも可能だったりと非常に使い勝手がよいです。好みのドライブサウンドに追い込んでいく作業がとてもやり易いので早くも手放せないブースターとなっています。






SL Drive (オーバードライブ/ディストーション)
by XOTIC





どこにいくにも必ず持っていくお気に入りのドライブペダルで、メインの歪みの一つとして18V駆動で使用しています。

しっかりとピッキングのニュアンスが表れてくれながらも、決して弾きにくさがない。
弾き手の入力に対して忠実でありながらも、耳に痛く出すぎるキンキンした部分はうまく丸めてくれている感じです。
DIPスイッチの組み合わせによるサウンドバリエーションの豊富さは素晴らしい!のひと言。

それぞれの現場や使用アンプの方向性にマッチさせた調整が出来ますし、自身のサウンドに対する好みが微妙に変化することもあるため、そのような時にこのDIPスイッチで自分の「今のサウンド」にフォーカスすることが可能です。





OD-FIVE 2 Xtreme (オーバードライブ/ディストーション)
by Ovaltone





早くも伝説と化している、2チャンネルのハイクオリティなディストーション・ペダル。
とても太くて懐が深く、立体感と存在感のあるサウンドです。
コントロール類が多彩で、ザクザク切り裂くようなサウンドから甘くてクリーミーなサウンドまで変幻自在。コシが強く、「弾いている!」という感覚が強く体感できるお気に入りのペダルです。
ラッチコントロール端子を備えているので、スイッチャーのラッチ/アンラッチコントロール端子からステレオケーブルで接続することで、2つのチャンネルを自在に切り替え可能にしています。
とにかくクレバーなヤツ!
生産終了品ということで現在入手することは非常に困難ですが、メーカー様は後継機を開発予定とのこと。素晴らしく信頼出来るブランドですから、きっと本機を超える後継機を生み出してくれることでしょう!





Anadime Chorus (コーラス)
by Providence




モノラルでありながらステレオ感、そして奥行きまでを与えてくれる、立体感のあるコーラスペダル。清涼感がとても気持ちよく、サウンドを軽やかでまろやかに演出してくれます。
エフェクティブ過ぎず、原音の存在感がしっかりしているところも好きです。
クリーントーンとセットで使うことが多いですが、ドライブサウンドとの組み合わせで得られる密度感も気に入ってます。





Flight Time (デジタルディレイ)
by Free The Tone





2014年後期に発売されたばかりの、超ハイクオリティーなデジタルディレイ。楽器店で初めて試奏させてもらった時、そのサウンドの素晴らしさに驚愕し、数日後には購入しておりました。
ドライ音(元音)もウェット音も本当に素晴らしい!

これまではデジタルディレイをキルドライに設定することでウェット音のみを抽出し、それをミックス比 1:nのミキサーでドライ音に混ぜて使っていましたが、このFright TimeはエフェクトON時のドライ音が納得のいくハイクオリティだったので、ミキサーを使用するのは止め、ボードの最後段に設置し常に音声信号が通るような形にしました。各プリセットにはアウトプットレベルが付いているので、プリセットごとにマスターボリュームを任意の数値に設定できますし、プリセットの切り替えはスイッチャーからMIDIケーブルで接続することでコントロール可能です。
納得のいく音質だからこそ取ることが出来た方法です。





ARC-53M(スイッチャー)
by Free The Tone




このエフェクトボードの新構想は、このARC-53Mを導入することを前提として練ってきました。
多くの機材をこれ一つでコントロール可能であり、また特殊な方法で製作されたフットスイッチは従来のフットスイッチに比べとても静かです。
特にミスの許されない責任重大な現場では、スイッチャーのスイッチ部の高さが気になったり、切り替え時に二回以上ペダル類のスイッチを踏むことが凄くプレッシャーになり、演奏に入り込むところではなくなる経験をしたことかまあります。
また、とても静かな楽曲の途中で自身の踏む「ガチャッ」というスイッチング音がとても気になります。
広い会場などでは客席にはそうそう聞こえないと思いますが、ステージ上で自身の近くで歌っているボーカリストには聞こえてしまいそうです。実際はどうなのか分かりませんが、シビアな本番中にそこが気になってしまう事自体がすでに不健全なのです。
そういった経験を踏まえ、新しいエフェクトボードにはあらゆる面で優秀なARC-53Mを中心に組んでいきました。

Free The Toneが開発したHTSサーキットを通ったサウンドはまさにプロが使用することを前提としたようなハイクオリティーで、各ペダルのインピーダンスを絶妙にコントロールし、完成された本番向けのギターサウンドを生み出してくれます。





ST-200 Strobe Tuner(チューナー)
by Sonic Research





とにかく測定が正確で速いチューナーです。一度これを使うと、他のチューナーを使った時にイライラしちゃう・・・(笑)
チューニング時の感覚に多少の慣れは必要ですが、慣れてしまえばこれ以上素晴らしいものは中々無いのではないでしょうか?
様々なチューニングをプリセット出来るのも便利です。





Bulwark(オプション)
by Neotenic Sound




僕が使用しているチューナーは本来、信号ライン・本線に入れて使うもの。そのためにアウトプット端子が備えられており、次のエフェクターなどのインプットに繋がるようになっています。

しかし、現在の使用法はスイッチャーから信号を分岐させ、本線とチューナーにそれぞれ送っている形です。
この場合、チューナーに向かった信号が本来ならばアウトプットから流れ出ていくはずがチューナーで止まってしまい行き場を失い、やがては本線に逆流して入り込み本線の音に影響を及ぼしてしまいます。
それを防ぐため、チューナーアウトにこのBulwarkを繋ぎ、これで行き場を失った信号を消化させるのです。





PT-3D(パワーサプライ)
by Free The Tone




もともとはVoodoo LABのPedal Power 2を使用していました。この製品は間違いなく最強のパワーサプライの1つだと心得ていますが、今回のボードには少々オーバースペックであり、運搬やセッティングも含めたトータル的な目標を達成するために、Free The Tone製のPT-3Dに変更しました。
各ペダルをより良い状態で稼働させるために十分なクオリティを有しており、ノイズ対策もしっかりなされているとの事です。






PT-2(パワーディストリビューター)
by Free The Tone




ボード内における、ある意味最も重要な役割を果たしているのがこのパワーディストリビューター。各ペダルの電力の大元はここなのです。
なので、やはり家庭内で使っているようなものは使いたくなく、音楽のことを考えて作られた信頼のおけるプロフェッショナルなディストリビューターを選びました。





ギター用シールドケーブル & 電源ケーブル
by Neotenic Sound






シールドケーブルも電源ケーブルも、僕が絶大な信頼を寄せているブランド、Neotenic Soundのものを使用しています。
シールドケーブルは、ギターから最初のインプットまでのケーブルをSS(ストレート~ストレートのプラグ)、そしてボードアウトプットからアンプに向かうケーブルをSL(ストレート~L字型プラグ)という風に使用しています。
プラグの形状により信号の伝達速度が違うので、ギターからのケーブルには標準的でまろやかさのあるSSを、アンプまでのケーブルは比較的シャキッとした感じで出てくれるSLを使っています。





Solderless Cable(パッチケーブル)
by Free The Tone




このパッチケーブルのおかげで、配線がどれほど楽になったことか。
ハンダ要らずで組み立ても簡単。長さも方向も好きなように作れるので非常に効率がよく、最適な配線が実現できます。
パッチケーブルの事を語れるほどあれこれ試してないので、他社のものとの音質的な比較が出来ないのですが、トータル的に満足のいく音を出してくれているので、自分的にはこれでOK。
そのような点で問題があるというような情報も見かけたことはありませんし、僕は信頼出来る製品だと思います。





18V adapter RPA-1000 (18ボルトアダプター)
by One Control




SL Driveを18Vで駆動させるためのアダプター。
特にこだわりもなくこれを使ってますが、ディストリビューターを1口空けときたいので、いずれはXOTICの電圧コンバーター「Voltage Doubler」を導入し、PT-3Dから電源を供給したいと考えてます。





EC-5(エフェクトボード)
by PULSE




以前はペダルトレイン2SCを使用していましたが、今回からこのボードに切り替えました。

ペダルトレインはボード裏スペースも利用でき非常に便利だったのですが、エフェクターを設置する面のスペースが空き過ぎており、エフェクター本体をしっかり固定するには不安がありました。
またスイッチングを行う際にボード本体の高さも個人的に気になっていました。

今回選んだPLUSEのボードはマジックテープがかなり強力に接着してくれるので安心してエフェクターを固定させれますし、高さもないので気持ちよくスイッチングを行うことが出来ます。
ケースも非常に頑強で、運搬時も大切な機材をしっかり保護してくれます。
ボードの縁が浅い点も、ケーブルの抜き挿しが問題にならず良いですね。






はい! とまあこんな感じで、まずはそれぞれの機材について解説きました。


ここからは、ボード製作の過程で工夫したことやポイントなどを語っていきたいと思います。



パート2に続く~(近日公開)