麺屋 極鶏®︎。 必死のパッチ日記 -308ページ目

続 新しい扉

そんな母ちゃんの手を握りしめてるだけの役に立っていないおっさんを横で見ていた看護婦さんが、奥さんの呼吸に合わせてヒィーヒィーハァーをしろと言う。

おっさんは慌てて一生懸命ヒィーヒィーハァーをした。

立ち会ってから、いったい何時間経ったのだろうか?

突然、オンギャーと元気の良い声が分娩室に響き渡った。

我が子がこの世に誕生した瞬間だった。

母ちゃん、本当によく頑張ってくれて有難う。

我が息子、産まれてきてくれて本当に有難う。

この時おっさんは、出産に立ち会う事ができて本当に良かったと心から思った。

すこぶる感動したおっさんの目に涙……。


だがこの後、出産を終えた母ちゃんに怒られる事を、この時おっさんはまだ知らない……。

新しい扉

新しい一歩を踏み出したおっさん。

意外と不安は無く唯一あるとすれば、勤務時間が朝から夜に変わってしまう事くらい。

店主が面接時に言っていた通り店は本当に忙しかったが、毎日を楽しく過ごしていた。

ラーメン店で働きだしてから2ヶ月が過ぎた頃、おっさんはいつもと同じように深夜2時頃に帰宅し、くつろいでいると1本の電話が鳴った。

出産を間近に控え母ちゃんが入院している産婦人科の看護婦さんからだった。

○時に生まれそうなので、その時間に来てくださいと言う電話だった。

嬉しさもあったが、無事に産まれてきてくれのか不安の方が大きかった。

出産予定時刻まで数時間あり、出産は長丁場になる事位はおっさんも知っていたので少し仮眠を取ってから病院に行く事にした。

そう、おっさんの睡眠は深すぎた!

こんな大事な時に、おっさん寝坊をしてしまった!

慌てて病院に到着すると、皆様の冷たい視線…。

到着すると看護婦さんから色々説明され、訳の分からないままおっさんは、出産に立ち会う事になった。


そして、分娩室に入りどうする事も出来ないおっさんは、母ちゃんの手をただただ握っていた。

続 道のり

キャリアアップの為、新しい美容室で働き出したおっさん。

ここで2~3年勉強し独立しようと考えていた。

しかし、1年が過ぎた頃に見てしまった求人募集 ラーメン店の文字・・・。

もうすぐ子どもが生まれるという時期に転職は経済的にも精神的にも

苦しくなるのは簡単に想像ができた。

不安もあった・・。

おっさんの不安より母ちゃんの不安のほうが相当大きかったはず。

こんな大変な時期に、おっさんは何を言い出しとるんや!と思っただろう・・。

しかし、おっさんの心中は既に決断されていた。

あの求人募集記事を見てから、1週間後に面接。

心中は決断されてはいたが、面接日までの1週間は全く違う職種に

本当に進んでいいのだろうか?

もう少しで自分の美容室を開業しようという夢を捨ててしまっていいの

だろうか・・・と本当に悩んだ。

そうこうしてる内に面接の日がやってきた。

迎えてくれたのは、ヒゲをはやした怖そうな店主。

色々、話を伺っていると、凄く優しくて個性的。

おっさんは店主に対して自分の熱い思いを語った。

そうすうと、店主から今すぐにでも来て欲しいという嬉しい返事を頂いた。

早速、美容室オーナーに退職願いを出し、1ヶ月後と決定した。

その事をラーメン店主に伝えると快諾してくれた。

ワクワク感と不安感が交錯しながら日々を過ごし2週間が過ぎた頃、

ラーメン店主から突然電話がかかってきた・・・・・。

やっぱり、うちで働くという話しは白紙に戻して欲しいと言う・・・。

もうすぐ息子が生まれるという時期に職が無い・・。

おっさんは必死のパッチで店主に理由を聞いた。

すると、店が忙しすぎるので他の誰でもいいから、即働ける人材を入れたい

と言う。

そんなん無茶苦茶すぎる!!!と怒りすら覚えたが、この状況で後戻りは出来ない。

至急、美容室オーナーに事情を説明し退職を早めて頂いた。

この短い期間の中で色々な事が起こり、美容室のスタッフからラーメン店の

従業員になった。



息子がもうすぐ誕生しようという頃の出来事だった・・・・・