魚と水 | Diary

Diary

The way I am…

もうだいぶ前のこと
10月の末に「東京国際映画祭プレゼンツ 歌舞伎座スペシャルナイト」というのを観に行きました。

映画関係者やプレスの人も多かったらしいです。案内レターに、スペシャルナイトですからおしゃれしてお越しください!とあったので、一般客も老若、和服の方が多く、この晩の歌舞伎座はいつにも増して華やいだ雰囲気でした。

{AD2EA50F-B61A-4A38-BA23-E03F0E25A3A7}


映画祭のイベントらしく、弁士付き無声映画の上映もありましたが、映画より尾上菊之助さんの舞踊「鷺娘」が観たくて行きました。(^_^;)
鷺娘と映画、どっちが主だったのだろう?個人的にはもちろん「鷺娘」!(*´∀`)♪


{A1015A42-84B7-4121-9E2F-0F7FC7479267}


菊之助さんのしなやかな体が、恋する乙女の恥じらいから、鷺の本性を現して、責め苦に苦しみ瀕死になるまでを、淡く、激しく、儚く舞い分けていて、それは一夜の夢のように美しかったです。

途中何度も引き抜きで衣装が変わり、目にも楽しめました。

女方特有の背中を大きく反らせる振り(イナバウアーみたいの)は、見る度に思うのですが、菊之助さん程綺麗に反れる人はいないのじゃないかと思う程綺麗でした!


{2B60A46C-D943-4890-9F1C-3548893A65BA}


無声映画が2本上映されて、2本ともとても貴重なフイルムということでした

「血煙高田の馬場」〈喋り屋〉古舘伊知郎
「忠臣蔵デジタル最長版」〈弁士〉片岡一郎

無声映画独特の動きや俳優さんの表情が面白かったです。大河内傳次郎さんとか名前だけは聞いたことがある名優さんの顔も初めて見ました。

片岡一郎さんの弁士では音楽がライブ演奏で、すごい迫力でした。

古舘伊知郎さんは、ニュース‥ーションを引退されてから、時々TVで拝見するようになりましたが、生で見たのは初めて。

ニュース‥ーションの時は、報道という枠にはめられて、古舘さんらしさが封印されてしまっていた気がしました。局アナでなく、ジャーナリストや専門家でもない古舘さんだからこそ、古舘節のニュース解説を期待したのですが…最後までそれは実現されなくて、残念でした。

この晩の古舘さんは、〈喋り屋〉のタイトルどおり、弁士の前に、ご自分で調べた「血煙高田の馬場」に纏わる史実を元に、一人で30〜40分喋りまくって、水を得た魚のごとく古舘節全開でした(笑) 

古舘さんは某TV番組で、これからはいろいろなことをして行きたいとおっしゃっていましたので、これから古舘さんのトークをもっと聞く機会が増えることを期待したいです!

この日の席は、歌舞伎では座ったことがない前列3列目で、周りには菊之助さんのご贔屓の方々が多くいらしたようでした。

奥様の瓔子さんが、すぐ近くの方のところにみえて、にこやかにご挨拶されていました。 
休憩の間、ご贔屓の方々何人にもご挨拶に回られているようでした。

こういう時、美しい奥様方に周囲の注目が集まるのは当然です。この日の瓔子さんは、朱色の着物に緑がかった帯で、スペシャルナイトの華やいだ雰囲気にマッチして、一層美しく引き立って見えました。

歌舞伎俳優の奥様方が、舞台で演ずる俳優さんたちと一心同体で、"家"を支える重要な役割を担われている一コマを垣間見て、大変な役目だなーと思いました。

イベントにはお弁当も付いていました (^O^)

{1E87CA73-50A1-4FB1-AA37-45788A241629}

かなり豪華版!
周囲からも豪華ね!美味しいわね!と好評でした。

終わって、ロッカーから荷物を取って出口に向かうと、受付のところに先ほどの瓔子さんがお一人でいらっしゃいました。

何かお声がけしたくなって、咄嗟に「今日はありがとうございました」と伝えると、手にしかけていたスマホを止めて、反射的に「ありがとうございましたー」と笑顔で応えてくれました。

梨園の名家の水で育ち、梨園の名家に嫁がれた方ならではと思われる、純粋で翳りのない笑顔が印象的でした。

魚は水を得てこそ、生き生きと泳ぐのですね。