私とプロレス マハロー・カタヤマさんの場合「最終回(第3回) マハローさんが選ぶ名勝負とは!?」 | ジャスト日本のプロレス考察日誌

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有名無名問わず、さまざまな分野から私、ジャスト日本が「この人の話を聞きたい」と強く思う個人的に気になるプロレス好きの方に、プロレスをテーマに色々とお聞きするインタビュー企画「私とプロレス」。

 

 

 

 今回のゲストは、YouTubeをプロレス動画を配信し続け、イベントにも出演されているプロレス研究家のマスクド・マハローことマハロー・カタヤマさんです。

 

 
 


(画像は本人提供です) 

 


 マスクド・マハロー(マハローカタヤマ)


BI砲時代からプロレスを見続けているプロレス研究家。
闘道館にてプロデュースイベント3回開催。
毎週末YouTubeチャンネル『昭和プロレス列伝』にてライブ配信
毎回異なるテーマで昭和のプロレスを深掘りする
&今のプロレスを語る「週刊・プロレスジャーナル」を配信しています。
 

【プロモーション情報】
 
  YouTubeチャンネル『昭和プロレス列伝』
  https://www.youtube.com/@introducingprowrestling8445
 
 闘道館イベント
・ 2019/3/9「プロレスファンがハワイを100倍楽しむ方法」
https://www.toudoukan.com/page/$/page_id/4323/

・2020/3/14 『プロレス温故知新』
https://www.toudoukan.com/page/$/page_id/5097/

・2023/10/15 プロレス温故知新2
https://www.toudoukan.com/onko2



マハローさんの取材はなんと3時間半に及びました。とにかくプロレスを骨の髄まで愛して深堀りしているマハローさんの超マニアックトークが炸裂した回となりました。


 かなりディープですよ! これぞプロレス研究家・マハローさんの面目躍如!
 
是非ご覧ください!
 




 
私とプロレス マハロー・カタヤマさんの場合「最終回(第3回)マハローさんが選ぶ名勝負とは!?」
 



マハローさんが選ぶ名勝負



──ここでマハローさんの好きなプロレス名勝負を3試合選んでください。
 
マハローさん 1試合目はアントニオ猪木VSアンドレ・ザ・ジャイアント(新日本/1977年6月1日・愛知県体育館/NWFヘビー級選手権試合)です。猪木さんとアンドレはこれまで幾度もシングルマッチを行ってきましたが、このNWF戦がものすごくスイングしてました。アンドレもノリノリでしたから。猪木さんがローリングクラッチホールドや逆さ押さえ込みをやったり、アンドレのカナディアンバックブリーカーを猪木さんが切り返したりとか。猪木さんとアンドレが信頼関係があるので、いい試合が多いんですけど、特に名古屋のNWF戦は素晴らしかったです。

──今思えば猪木さんとアンドレは10年くらいライバル関係だったんですよね。

マハローさん そうなんですよ。猪木さんはアンドレによって輝きますし、アンドレも猪木さんによって輝く。お互いが高める存在だったと思います。アンドレは新日本の対戦相手で心を許したのは恐らく猪木さんとスタン・ハンセンくらいかもしれませんね。他の新日本のレスラーにアンドレは心を許してなかったように思います。

──そうだったんですね。

マハローさん アンドレもダイナマイト・キッドもそうですが、全日本に行くと丸くなってましたね。新日本の場合はミスター高橋さんが外国人レスラーに色々と焚きつけていて、「本気でお客さんを殴っていい」「色紙をもらったら書かないで破れ」とかを言っていて、それを外国人レスラーは実行していたようです。

──ガイド役が吹き込んだ情報を外国人レスラーが則ってやっていたわけですね。

マハローさん 「猪木さん以外はみんな敵」という教えが新日本の外国人レスラーにはあったようです。新間寿さんはレスラーじゃないので、18時30分に興行スタートなら18時になると控室に入れてもらえなかったのでレスラーを焚きつけることはなくて、ミスター高橋さんがレスラーを焚きつけていたようです。

──だから高橋さんは色々な裏話をネタにしてプロレス本を書けるんですね(笑)。では2試合目をお願いいたします。

マハローさん ジャンボ鶴田VSキム・ドク(全日本/1978年9月13日・愛知県体育館/UNヘビー級選手権試合)です。

──中井祐樹さんがベストバウトに選出していた試合ですね!

マハローさん そうなんですね。この試合の前に戸口(キム・ドク)さんの頭に生卵が当てられて、新調したガウンが卵だらけになったんですけど、それでもめげずに鶴田さんと真っ向勝負をした名勝負で、互いに互いの攻撃を受け切った激闘でした。後に戸口さんに話を聞く機会がありまして、「鶴田戦は前日から燃えていたよ」と言ってました。戸口さんは直接話すとプロレスのことを丁寧に教えてくれるので、僕は好きな人です。

──鶴田さんはインサイドワークを使った試合が好きな印象があって、その鶴田さんの土俵で闘えた日本人レスラーはやはりキム・ドクさんだったように思います。

マハローさん おっしゃる通りです。戸口さんは未だに「ジャンボが一番」と言いますから。

──ドクさんは後に新日本に移籍するまで、「全日本第三の男」として活躍されますが、あのまま全日本に残り続ける世界線が見たかったですね。

マハローさん そうですね。天龍源一郎さんが出てこれなかったかもしれません。

──それはあり得ます。ちなみに中井さんは鶴田VSドクを大絶賛されてましたよ。

マハローさん  そうなんですね。これは別の話ですが、中井さんがおっしゃっていることかどうかは不明です。柳澤健さんの『1984年のUWF』(文藝春秋)の中で中井さんが「中学の時のプロレスごっこでキャメルクラッチをかけたけど、ギブアップを取れなかった。それがプロレスを見切った原因」という内容を言ったと書かれていて、それを鈴木秀樹選手に言ったんですよ。

──おおお!それは回答が気になります。

マハローさん 鈴木選手は鼻で笑って、「キャメルクラッチは岡林裕二がギブアップを奪っているし、座り方によっては凄いギブアップを取れる技なのに、なんで素人のアイツに分かるんだ。中井さんも怒っているんじゃないの⁈」と。

──中井さんの中にも柳澤さんの本にはいくつかの疑問があるかもしれませんよ。

マハローさん そうですよ。中井さんのプロレス愛は鈴木選手からもジャストさんのインタビューからも分かっていたので、そういうことを言うわけないと思いますよ。柳澤さんはプロレスをビジネスの道具として扱って文章を書かれている人じゃないですか。Facebook上で関わったことがありましたけど、「プロレスを好きですよ」と柳澤さんは言うけど、プロレスを愛してはいない。「私は知ってますよ。プロレスはショースポーツで、総合格闘技PRIDEやRIZNは真剣勝負ですよ」というスタンスがどうかと思いますよ。だから中井さんはキャメルクラッチのエピソードはしたかもしれませんけど、それを「プロレスは八百長」という論調に持っていったのが柳澤さんなんですよ。

──柳澤さんはプロレスは好きなんでしょうけど、書くとなると商業的になるかもですね。商業的になるのは構わないんですけど、問題は商業の仕方にあると思います。

マハローさん そうなんですよ。柳澤さんは「プロレスはショー」という書き方をします。アメリカではカミングアウトしていたり、ミスター高橋さんの暴露本の影響もありますが、
「お前に何が分かるのか?」と。だから中井さんのキャメルクラッチの下りは凄く柳澤さんに対して強い憤りを感じました。中井さんは純粋にプロレスを愛しているに、それを湾曲して伝える人がいるから厄介なんです。

──柳澤さんは最初から仮説があって、そこに導くために関係者にインタビューをして自身の仮説を正当化するんです。

マハローさん 結論ありきなんですよ。 柳澤さんの作品はノンフィクションのように見せているけど、実はフィクションなんですよ。

──俗にいう「柳澤史観」ですね。

マハローさん 鈴木選手も「フィクションでしょうね」と言ってましたよ(笑)。


プロレスは上書きの世界である


──ありがとうございます。では3試合目をお願いいたします。

マハローさん  船木誠勝VS鈴木秀樹(ZERO1/2015年3月1日・後楽園ホール)です。この試合で興行の空気が全部変わったんですよ。入場テーマ曲が流れない中で船木選手と鈴木選手が入場してきたんですよ、この試合目当てで会場に足を運んだプロレスファンは多くて、緊張感が半端なくて。クラシカルで果たし合いのような試合で、最後は鈴木選手がダブルアームスープレックスで勝利したんですけど、本当に21世紀の名勝負でした。

──あの試合は船木選手のいいところが全部出ていたんですよ。

マハローさん  そうなんですよ。実は小泉悦次さんと一緒に見に行って、小泉さんが「よかった!」と絶賛してました。ノアでの再戦(2022年3月24日・後楽園ホール)は船木選手が勝つんですけど、「なんでここで鈴木選手は負けるのだろう」と思いました。鈴木選手は「弱いから負けたんです」とコメントしたそうです。船木選手の老獪さと懐の大きさや深さが勝因なのかなと思います。

──これは以前、鈴木選手に聞いたことがあったのですが、再戦で船木選手の掌底が偶発的に右目に入ったようで、一瞬目が見えなくなったらしくて、そこからパニックになってくっつきに行っていて、そこからアンクルホールドを取られているんです。だから色々な意味を込めて「弱いから負けた」とおっしゃったのかなと思います。

マハローさん  そうだったんですね。ジャストさん、プロレスって上書きの世界だと思うんですよ。昭和、平成、令和と時代が変わって、その情報を更新していくことが楽しんですけど、それが「懐かしかったね」と終わってしますともったいないじゃないですか。情報を上書きしていって、新たな事実とか裏話とか出てきて、より深みが出てくる不思議なジャンルがプロレスなんですよ。

──その上書き作業の繰り返しがプロレスをより好きになったり、深く掘り下げる意欲に繋がるんですよね。

マハローさん その通りです!


今後について


──ありがとうございます。ではマハローさんの今後についてお聞かせください。

マハローさん ジャストさんにインタビューされたので、また新たな展開もあるのかなと思いますね。YouTubeでライブ配信をやってますけど、ジャストさんにインタビューされたことによって、僕の活動が広がっていくのかなと思います。

──ありがとうございます。

マハローさん プロレスのYouTube動画で伸びているのはムック本の写しとか暴露系が多いんですよ。でもそうじゃないプロレスの見方や考え方を継続的に発信していきたいですね。   


マハローさんにとってプロレスとは? 


──ありがとうございます。では最後の質問です。あなたにとってプロレスとは何ですか?

マハローさん プロレスは…人生になっちゃいますね。1971の師走に新宿の小田急百貨店で、「日本プロレス博覧会」という催し物があったんです。そのイベントで百貨店の屋上にリングを設置してサイン会をやっていて、ジャイアント馬場さん、吉村道明さん、坂口征二さん、大木金太郎さんがいらっしゃってサインをいただきました。そこで最後に大木さんのサインをもらった時に当時小学校2年生だった僕の頭を撫でながら「大人になってもプロレスを見続けてくれよ」と声をかけてくれたんです。大木さんの言葉が今も心に残っていて、プロレスを見続けている部分もあります。

──素晴らしいです!これでインタビューは以上です。マハローさん、長時間お付き合いいただきありがとうございました。今後のご活躍とご健康を心よりお祈り申し上げます。

マハローさん こちらこそありがとうございました。

(「私とプロレス マハロー・カタヤマさんの場合」完/第3回終了)